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環境報告
事業活動を通した環境負荷低減

マテリアルバランス

2015(H27)年度におけるIHIグループのマテリアルバランスを示します。
IHIグループは,事業活動による環境負荷を低減するために,資源使用量や各種排出物の低減活動に積極的に取り組んでいます。

エネルギー使用量・CO2排出量の削減への取り組み

IHIグループでは,エネルギーを効率よく使用し,CO2排出量を削減するための省エネ活動を推進しています。活動目標は,売上高あたりのエネルギー使用量(エネルギー消費原単位)を前年度に比べて1%以上削減することとしています。この目標を達成するために,省エネ型設備の導入,外部専門家による省エネ研修などを実施しています。省エネ研修では,設備ごとに管理標準を見直し,エネルギー管理レベルの向上を図っています。 IHIグループの2015(H27)年度のエネルギー消費原単位は10.0(原油換算kL/億円)となり,前年度と比べて2.9%削減することができました。IHIグループのエネルギー使用量は2012(H24)年度以降増加傾向にありますが,エネルギー消費原単位は減少しており,省エネ活動の効果が表れています。 IHIグループの2015(H27)年度のCO2排出量は29.7万トンで前年度に比べて0.5%増加し,CO2排出原単位は19.3(t-CO2/億円)で,前年度に比べて4.9%削減となりました。 2016(H28)年度も引き続きエネルギー使用量・CO2排出量を削減するための取り組みを積極的に進めていきます。

■ IHIグループ エネルギー使用量

■ IHIグループ CO2排出量

輸送におけるエネルギー消費原単位削減への取り組み

IHIグループでは,製品の輸送に必要なエネルギーを削減するために,前年度に比べてエネルギー消費原単位を1%を超えて削減することを目標として様々な取り組みを行なっています。
例えば,航空エンジン部品を生産する相馬第一・第二工場および呉第二工場から,エンジン組み立てを行なう瑞穂工場に輸送する場合に,トラックの大型化,相積み,定期便の採用による積載率の向上など,輸送効率を高める工夫をしています。また,愛知工場で生産される舶用デッキクレーンを輸送する場合は,台船への相積みを進めています。さらに,RO-RO船の積極的な利用により,トラック輸送の一部をエネルギー効率の高い海上輸送へ転換する取り組みも実施しています。
これらの活動を継続し,強化するために,各工場において製品単位で輸送にかかるエネルギーを見える化し,エネルギー使用量の推移について環境担当役員を委員長とする全社環境委員会に報告しています。

  • ※RO-RO船:Roll-On/Roll-Off shipの略で,フェリーのようにランプを備え、トラック,トレーラーなどの車両が自走して車両甲板に乗り込んで積込む方式の船舶。

資源循環型社会形成への貢献

廃棄物管理強化の取り組み

IHIでは,3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進するとともに,廃棄物の適正な処理に努めています。IHIでは2012(H24)年度からすべての事業所に電子マニフェストを導入し,廃掃法関係法令の遵守に努めています。
また2015(H27)年度はIHI独自の「廃棄物取組要領」を作成しました。今後はこの廃棄物取組要領に沿って,廃棄物管理レベルの更なる向上を図っていきます。

廃棄物排出量の推移

IHIグループでは,事業活動における廃棄物の分別による再資源化,有価物化に取り組んでいます。
2015(H27)年度のIHIグループの廃棄物排出量は31,394tで,前年度と同等となりました。

■ IHIグループ 廃棄物排出量

水資源使用量の推移

IHIグループでは,水資源(上水,工水,地下水)の使用量を低減するために,再利用を含めた様々な取り組みを行なっています。また,河川,海域などの公共水域や下水道への排水量の低減にも取り組んでいます。
IHIグループの2015(H27)年度の水資源使用量は4,148千m3で,前年度と比べて0.5%減少しました。

■ IHIグループ 水資源使用量

PCB使用機器の管理・処理

IHIグループでは,2009(H21)年度より高濃度PCB使用電気機器について無害化処理を開始しており,2015(H27)年度末時点で約97%の処理が完了しています。低濃度PCBは23%,安定器は29%の処理が完了しており,2018(H30)年度末には処理困難物を除き処理を完了する予定です。

土壌汚染に対する取り組み

土壌汚染により有害物質を直接または間接的に摂取することで,人の健康や生物に影響を及ぼすおそれがあります。
IHIグループでは,事業所内の定期的なパトロールや老朽設備の更新等により,有害物質の漏えいを防止しています。また,2013(H25)年度までに,工場跡地などを含む68の生産拠点で使用されてきた特定有害物質や油脂類の使用履歴調査を完了し,その情報をデータベース管理しています。

土壌汚染対策法第2条に規定される25物質(鉛,六価クロム,水銀など)

化学物質情報管理の推進

製品含有化学物質,PRTR制度への対応

IHIグループでは,当社の製品等に含まれる化学物質(製品含有化学物質)の情報を管理する仕組みの構築に取り組んでいます。サプライヤーとの協働を進め,お客さまに製品含有化学物質情報を適宜提供できるようにつとめています。
また,IHIグループでは,PRTR制度(化学物質排出移動登録制度)に基づき,工場で使用される化学物質を対象に,事業所ごとに指定された化学物質の排出量(大気,公共水域,土壌)と移動量(下水道,廃棄物)を適切に把握し,国へ届け出ています。2015(H27)年度のIHIグループにおける第一種指定化学物質の排出量および移動量は次のとおりです。

■ IHIグループ PRTR法 第一種指定化学物質 排出量および移動量

【単位:t】

政令
番号
第一種指定化学物質
物 質 名
排出量
(大気・水域・土壌への合計)
移動量
(下水道・廃棄物への合計)
37 ビスフェノールA 0.0 2.8
53 エチルベンゼン 76.5 14.5
80 キシレン 175.8 34.4
87 クロム及び三価クロム化合物 0.0 39.8
186 塩化メチレン 3.6 4.6
240 スチレン 1.1 0.0
296 1,2,4-トリメチルベンゼン 2.1 0.0
300 トルエン 79.2 7.5
374 ふっ化水素及びその水溶性塩 0.0 4.2
384 1-ブロモプロパン 4.6 1.3
448 メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート 0.0 1.3
453 モリブデン及びその化合物 0.0 1.0
  小計 342.9 111.4
合計 454.3

2015(H27)年度は,IHIグループにおける「第一種指定化学物質」の取り扱い実績はありません。

生物多様性保全の取り組み

生物多様性に関する国内外の動向

1992(H4)年,国連環境開発会議(地球サミット)で生物多様性の保全を主たる目的として,「生物多様性条約」が調印され,以後,国際的な議論を経て,国際生物多様性年とされる2010(H22)年,愛知県で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されました。COP10で採択された「新戦略計画・愛知ターゲット」では,企業を含むあらゆるレベルの関係者が持続可能な生産および消費のための計画を達成するための行動を行なうことが明記され,具体的行動を求める考え方が示されました。また,日本国内においても,1995(H7)年の「生物多様性国家戦略」策定に続き,2008(H20)年には「生物多様性基本法」が制定され,政府としても企業の自発的な取り組みを促す状況となっています。

IHIグループの生物多様性保全活動

生物多様性に関する国内外の動向をふまえ,IHIグループでは,生物多様性保全を進める取り組みを行なっています。

■IHIグループにおける生物多様性の位置づけ

IHIグループでは,「IHIグループ環境基本方針」に基づき,環境保全に取組んでいます。この活動を通じて生物多様性に影響を及ぼしていることを認識し,環境負荷低減と生物多様性保全を推進しています。また事業所周辺においては地域と連携した活動によって生物多様性保全に貢献しています。
今後は,生物多様性に関する役員・従業員の啓発に努め,事業活動や社会貢献活動を通じて生物多様性の保全や持続可能な地球・社会の実現に取組んでいきます。

■生物多様性保全の取組み事例

  • 事業所内緑地の外来種の在来種への転換
  • 事業所内にビオトープ設置 ・管理
  • 事業所内緑地見学会の実施
  • 森林保全活動

■ IHI愛知事業所における取り組み

IHI愛知事業所のある愛知県知多市は,農地や村林地を中心に市全体の54%が緑に覆われ,臨海工業地帯の「グリーンベルト」や市街地の公園緑地など,多くの緑があふれています。IHI愛知事業所でも,産業道路沿いに長さ約230m,幅約100mのグリーンベルト(緩衝緑地)を中心に68,613m2の緑地を保有しており,調査の結果,この緑地にも生物多様性を保全する機能があることがわかっています。
IHI愛知事業所では,事業所内の緑地を整備して地域住民の自然観察会や,地元大学生による在来種の植樹会など生物多様性に配慮した活動を進めています。

詳細な活動は以下をご覧ください。
■ 2015年度の活動
■ 2014年度の活動
■ 2013年度の活動
■ 2012年度の活動
■ 2011年度の活動
■ 2010年度の活動

■ 2015年度の活動

2015(H27)年8月29日(土),30日(日)に知多市で開催された「LOVE GREEN DAY 2015」に参画し,参加者20名に当社の構内緑地を解放して自然観察会を実施しました。
また2015(H27)年9月19日(土),知多市主催の「知多市自然調査隊」に協力し,構内緑地を解放して自然観察会を実施しました。観察会参加者(30名)は,虫取り網片手にトンボやバッタを追いかけて,事業所構内・周辺にいる生き物について学びました。
今後もこの構内緑地(グリーンベルト)が一般市民や社員の憩いの場・勉強の場となるよう,この活動を続けていきます。

■ 2014年度の活動

2014(H26)年9月20日,愛知事業所内において「LOVE! GREEN DAY 2014」が開催され,近隣住民の皆さん総勢25名に参加して頂きました。このイベントはNPO法人日本エコロジスト支援協会が主催し,近隣企業十一社で共催したものです。
大グラウンドでバッタ捕りを楽しみ,ビオトープでヌマチチブやヤゴ,ゲンゴロウといった水辺の生き物を観察しながら,事業所周辺地域の自然やそこに棲む生き物の生態について学びました。
森の中を探索する時間も設けられ,参加者の方からは「事業所の中に様々な生き物がいることを初めて知った」「もっと色々な生き物を見たい」といった喜びの声も聞かれました。

■ 2013年度の活動

■「命をつなぐPROJECT」が環境省主催の2つの賞を受賞

学生実行委員会メンバーによる在来種の苗の植樹

IHI愛知事業所が連携企業として協力している公共支援事業「命をつなぐPROJECT」が環境省主催のグッドライフアワード審査委員特別賞「環境と地球づくり」特別賞を,「命をつなぐPROJECT」学生実行委員会が「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰を,それぞれ受賞しました。「命をつなぐPROJECT」はNPO法人日本エコロジスト支援協会・学生・企業・行政等が連携して地域の生態系ネットワークの形成を目指す取り組みです。自然環境の保全および普及啓発活動や次世代の担い手育成などの取り組みが評価され,今回の受賞に至りました。
IHI愛知事業所は,敷地内に保有する緑地を整備して地域住民による自然観察会などを行なっています。その活動の一環として,IHI愛知事業所は「命をつなぐPROJECT」に協力しており,本プロジェクトの学生実行委員会メンバーによる在来種の苗の植樹など,工場緑地における生物多様性保全活動を進めています。

■「知多市自然調査隊」の受け入れ

参加者の皆さまの様子

2013(H25)年9月28日,IHI愛知事業所内のグリーンベルトに知多市自然調査隊を受け入れました。当日は知多市が公募した約40名の親子が参加し,オリジナルバッジの製作や生き物クイズ,虫捕りなどを行ないました。参加者はグリーンベルトに生息する動植物に触れ,楽しい一日を過ごすことができたようです。このイベントは地元メディアからの取材を受け,イベントの様子は地元のケーブルテレビにて放映されました。

■在来種の苗の植樹会を開催

植樹会の様子

IHI愛知事業所では,敷地内の樹木を外来種から在来種へ転換する活動の一環として,在来種の苗を生育させるための種苗園を設置しています。この種苗園で苗から樹木に生育した在来種を敷地内の緑地に戻すことによって,在来種への転換を図っていきます。2014(H26)年2月21日,その種苗園に敷地内の在来種の苗を植える植樹会を開催しました。植樹会には,IHI愛知事業所が協力している「命をつなぐPROJECT」の学生実行委員会メンバーが参加し,在来種と外来種について一通り知識を共有した後,実際の作業を行ないました。

■ 2012年度の活動

■愛知環境賞「優秀賞」を受賞
愛知事業所が行政・学生・企業・NPOとともに取り組んでいる公共支援事業「知多半島臨海部の企業緑地における生態系ネットワーク形成担い手育成事業『命をつなぐPROJECT』」が愛知環境賞「優秀賞」を受賞しました。この愛知環境賞は,2005年愛知万博の開催に合わせて県内企業や県民の省資源や省エネルギー,リサイクルなどの優れた取り組み事例を表彰することで,愛知県が環境先進県であることを広くアピールすることを目的に創設されたものです。「命をつなぐPROJECT」は行政・学生・企業・NPOが協働して知多半島臨海部の広大な企業緑地群を活用して生き物のすみかをつくる活動を行なっていますが,この活動が生態系ネットワーク構築のモデルとして先駆的な取り組みであり,他地域への波及効果が期待できると高く評価され,今回の受賞に至りました。

■知多市主催自然観察会を開催

参加者の皆さまの様子

2012(H24)年9月に,知多市主催の自然観察会「自然調査隊 秋の生き物を見つけよう」が開催されました。このイベントは,地域住民の方々に愛知事業所内グリーンベルトに生息する動植物に触れていただき,自然について学んでいただくものです。当日は,48人の地域の方に参加いただき,植物の観察会や虫取りを実施しました。

■企業緑地を一般公開

イベントに参加された皆さま

2012(H24)年12月,「命をつなぐPROJECT」を取りまとめているNPO法人 日本エコロジスト支援協会主催のイベント「LOVE GREEN DAY 2012」が開催されました。このイベントは,知多半島臨海部の企業緑地を一斉に一般公開するもので,愛知事業所ではカミネッコンと呼ばれる再生紙段ボールでつくられた植栽用ポットを使って,在来種であるエノキやケヤキの植樹会を行ないました。

■ 2011年度の活動

■「命をつなぐPROJECT」ワークショップを開催

「命をつなぐPROJECT」ワークショップの様子

2011(H23)年12月に愛知事業所の緑地において,「命をつなぐPROJECT」の大学生ワークショップが行なわれました。
このプロジェクトでは,知多半島臨海部(東海市・知多市)に立地する企業群が持つ緑地(グリーンベルト)を結び,生態系ネットワーク形成するとともに,その緑地内でフォーラムを開催したり,実験区を設定してモデル的な整備を行なったりすることで,その担い手を育成することを目的としています。愛知事業所はこのプロジェクトに活動の場となる緑地を提供することによって,近隣企業や大学,行政などと連携し,活動を支援しています。
ワークショップには,このプロジェクトの取りまとめを行なっているNPO法人 日本エコロジスト支援協会の引率のもと,愛知県や三重県の大学生など23名が参加し,愛知事業所の緑地で野鳥の観察や緑地の整備作業体験などを行ないました。その後,参加した大学生の皆さんは,前日に行なわれた近隣企業におけるワークショップ体験もふまえて,「知多半島に豊かな生態系を形成するための企業緑地のあるべき姿」を検討し,企業緑地を題材としたフリーペーパーや生態系MAPの作成を行ないました。

■従業員向けに親子環境教室を開催
2011(H23)年9月,「海の上に作った森で遊んで学ぼう」というテーマで従業員向けの親子環境教室を開催しました。これは,愛知事業所の整備した緑地をとおして多様な動植物が生息している実態を確認しながら自然の大切さを学ぶことを目的としたイベントです。
当日は,さまざまな生き物を見つけるゲームをしたり,「コオロギハウス」をつくったりして,子どもたちは工場内の自然に親しみました。

コオロギのすみかづくり

カナヘビのすみかづくり

貯水層でのいきもの観察

■ 2010年度の活動

愛知事業所の半径3km圏内の緑地面積率
[ 写真提供/エコアセットコンソーシアム (株式会社インターリスク総研, 住友林業緑化株式会社,株式会社地域環境計画,住友林業株式会社)]

2010(H22)年度,愛知事業所の広大な緑地を生物多様性の保全という観点で活用できないかを検討し,今後どのような役割を担うことができるかを確認するため,愛知事業所の緑地を含めた地域生態系ネットワークの現状分析を実施しました。人工衛星画像を利用して事業所周辺の緑地の面積の割合を計算し,周辺の緑地とその緑のつながり具合を地図として「見える化」を行ないました。分析の結果,愛知事業所の緑地は,グリーンベルトの緑地を中核として背後の里山の緑と海とをつなぐ生態系ネットワークの中に位置していることが確認できました。

これと並行して,事業所内および周辺の現地調査も実施しました。10月に行なった踏査だけでも,事業所内で哺乳類のタヌキ(痕跡),鳥類はカワセミ,コゲラ,昆虫類ではコクワガタやモンキチョウなど33種の存在が確認され,これまでのグリーンベルト周辺地域の調査による生物相ともよく合致していることがわかりました。結果と合わせて,周辺環境にとても近い生物相があることがわかりました。

タヌキため糞

コクワガタ

ベニシジミ

[ 写真提供/エコアセットコンソーシアム (株式会社インターリスク総研, 住友林業緑化株式会社,株式会社地域環境計画,住友林業株式会社)]

緑地の利活用・整備構想
[ 写真提供/エコアセットコンソーシアム (株式会社インターリスク総研, 住友林業緑化株式会社,株式会社地域環境計画,住友林業株式会社)]

この調査・分析の結果,愛知事業所の緑地にも生物多様性を保全する機能があることがわかり,今後の緑地整備をするにあたっての方針と作業の優先順位を検討しました。そして,周囲の生態系の一部として,さまざまな動物が生息,往来できるように緑地の活性化を開始しました。

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