 |
皆さんは「超電導」という言葉を聞いたことがありますか?
「超電導」とは、電気抵抗がゼロになる現象であり、リニアモーターカーに使用されるなど、まさに夢の技術です。
ここで紹介する「超電導モータ」は、この超電導という現象を利用して作られたモータのことです。
超電導モータは普通のモータに比べて、
(1)小型でも大きな回転力が得られる
(2)電気の無駄がなくなり高効率である
といった具合に、たくさんのメリットを持っています。
夢の技術とも言える超電導と超電導モータとはどんなものなのか、見ていきましょう。 |
 |
|
|
|
 |
 |
先ほど超電導とは、電気抵抗がゼロになる現象であるとお話しました。
ここでは、超電導の話に入る前に、電気抵抗について触れてみましょう。
小学生の頃、鉄や銅などの「導体」と呼ばれる物質は電気を通す性質を持っていると習ったと思います。豆電球の実験では、豆電球と電池をつなぐ導体を経由して豆電球のフィラメントに電気が流れるため、豆電球が点灯するのです。 |
 |
しかし、導体の中には電気抵抗というものがあり、電気の流れ(=電流)を妨げる働きがあります。この電気抵抗が大きくなると、回路を流れる電流が少なくなり、また、大きな熱が発生してしまいます。
「超電導」とは、この電気抵抗がゼロになる現象のことです。同じ物質(導体)でも、温度を上げていくと電気抵抗は大きくなり、逆に温度を下げていくと電気抵抗は小さくなっていきます。導体の中には、ある極めて低い温度まで冷やした時、電気抵抗がゼロになる物質があり、こうした超電導になる物質のことを「超電導体」といいます。 |
 |
2007年、IHIを取りまとめ役とした産学グループ※1が、ビスマス系超電導線(DI−BSCCO)という素材を使い、それを液体窒素でマイナス196℃に冷却することで、超電導モータを開発しました。
電気抵抗がゼロになると、同じ太さの電線でも大量に電流を流すことができ、熱も発生しません。こうした特徴は、モータに、1)大きな回転力を得ることができる、2)同じ回転力を得るにも、通常のモータより小型化できるというメリットをもたらします。また、熱を発生しないため電流が無駄にならず、効率の良いモータができることにもつながります。
※1:(株)IHI、住友電気工業(株)、太陽日酸(株)、ナカシマプロペラ(株)、新潟原動機(株)、(株)日立製作所、国立大学法人 福井大学 杉本英彦教授、富士電機システムズ(株) |
|
|
|
 |
 |
超電導モータの内部は、次のイラストのようになっています。
固定部の超電導コイルを液体窒素(マイナス196℃以下)で冷却して超電導状態を作り出します。その超電導コイルに交流電流を流して磁石を作り、回転部にある永久磁石を引き付けたり、反発したりしながら、回転部を回転させています。 |
 |
| モータは、磁石の「同じ極は反発し合い、違う極は引き付け合う」性質を利用しています。ここでは、1つの永久磁石の動きに注目して、モータが回転するしくみを説明します。 |
|
| 回転部は出力軸に固定されているため、回転部が回転すると出力軸も回転します。この出力軸に、例えば船のプロペラを取り付けると、船の推進力を得ることができます。 |
|
|
|
 |
 |
IHIでは、超電導モータを内蔵した、世界初の船舶用推進装置を開発しています。
これは、「ポッド型推進装置」と呼ばれるもので、その形状がえんどう豆のさや(POD:ポッド)に似ていることから付けられた名前です。 |
 |
| 次のイラストは、このポッド型推進装置を装備した船舶の例です。ほとんどのポッド型推進装置は、装置を回転させることができるので、船の舵の役割も果たすことができます。 |
 |
2009年、液体窒素冷却では世界最大出力となる400kW超電導モータの開発に成功し、現在、2台の超電導モータを直列につなげた出力800kWの船舶用推進装置の開発に取り組んでいます。出力800kWの船舶用推進装置は、内航船では主流になります。
また地球環境にもやさしく、出力800kWクラスの超電導モータは、同クラスのディーゼルエンジンと比べて、燃費、CO2排出量とも約25%削減できます。
超電導モータは船舶用推進装置だけでなく、陸上用の機械や鉄道用モータなど、様々な用途への応用が期待されています。 |
 |
|
|
|
 |
 |
| ■身近な超電導 |
超電導の技術で、既に実用化されているものもあります。
例えば、病気の早期発見に有効な医療機器として、病院への導入が進んでいるMRI(磁気共鳴画像診断装置)には、すでに超電導磁石が広く利用されています。
超電導の技術は、私たちの暮らしの中に、静かではありますが、着実に浸透しつつあるのです。 |
 |
|
|
|
 |