

IHIの研究開発活動は「先端技術分野の開拓」「共通基盤技術の高度化」「技術の総合化による新機種の開発」を3つの柱において進められています。「新素材技術」「熱流体・燃焼技術」「制御・ロボティクス技術」「構造解析技術」など、さまざまな技術分野で継続的に研究活動を行っています。今までより少しでも効率を高める、より信頼性を高める、より耐久性を高める、より環境への負荷を少なくするといった地道な活動は、一つひとつ新たな研究成果として結実し、社会への新たな貢献の種を、芽を創り出し続けてきました。研究開発は、技術のIHIの原点と言えます。



材料技術は、あらゆる産業の基盤となる技術です。新材料には、結晶制御合金、金属間化合物、高分子材料、ファインセラミックス、さらに樹脂基、セラミックス基、金属基の各種複合材料など数多くのものがあります。付加価値の高い新素材の研究・開発や、新材料の製造加工技術、材料分析評価、材料試験・検査など多種多様な研究・開発を行っています。


構造解析技術は、製品の健全性や寿命の推定に不可欠な基盤技術です。最近では、亀裂進展解析、粒子法などの最新の解析手法、最適化問題、コンクリートなどの非金属材料の非線形解析に取り組んでいるほか、熱や流体と構造の連成問題、爆発や衝突といった衝撃問題などにフィールドを広げており、構造をベースにし た広い観点から計算力学手法の研究開発を行っています。溶接変形シミュレーションでは解析結果を製造現場にフィードバックし、製品の精度向上を図っています。


機械要素技術はあらゆる機械の基盤となる技術であり、特に回転機械についてはキーテクノロジーの一つです。機械要素には軸、軸受、シール、歯車から各種しゅう動部位、翼に至るまで数多くのものがあり、これらの研究・開発を行うとともに、これらの要素技術を基にロータダイナミクスに関する研究・開発を行い、機械の性能と信頼性の向上に貢献しています。


ボイラ、ガスタービン、往復動エンジン(ディーゼルエンジン、ガスエンジン)、工業炉、焼却炉等の機器の設計や性能向上を図るためには、これらの機器における複雑な熱、流れおよび燃焼の状況を把握し評価する必要があります。これに対し、新しい数値解析技術や試験計測技術を通して、現象評価・機器設計技術を開発しています。また、環境保全やエネルギ有効利用を目的とし、高温高圧燃焼や新蓄熱システムなど先進技術の開発を行っています。


ボイラや原子力機器などは、より長く、より安全に利用されることが期待されています。そのためには、定期的に材料がどの程度劣化しているかを計測する必要があります。劣化機構の研究をはじめとしてメカトロニクスを駆使した診断装置の開発など、IHIの総合力を活かしています。メンテナンス事業において非破壊評価による損傷・劣化診断技術は重要であり、新技術の開発を鋭意推進中です。


IHIグループのエネルギー・化学プロセス技術は、発電・化学プラント、医薬品製造プラントなど、様々な分野に生かされています。発電・化学プラントにおいては、バイオマス等の未利用資源からのエネルギー交換や化学原料化技術の開発により、地球温暖化や化石燃料の枯渇の問題解決に取り組んでいます。また、燃焼方法の改善・有害物除去方法の開発・新規プロセスの開発などにより、地球の環境保全に貢献しています。医薬品製造プラントにおいては、医薬品の高品質化を目指して、動物細胞を用いた医薬品生産プロセスの開発などを行っています。


IHIグループでは自動車用過給機や橋梁、船舶、海洋構造物、宇宙ロケット用ポンプなど、流体に関わる機種を多く扱っています。水槽・風洞などにおける高い実験技術は、これらの機種の高精度な性能評価に寄与しています。またCFD技術を用いた三次元流れ解析を駆使し、機器開発や流体性能の向上に貢献しています。


風や地震による構造物の揺れ(振動)を抑えることは、様々な分野において要求されています。IHIは、このような要求に対し、大型振動台を用いた振動試験や振動解析など長年にわたり培ってきた制振・耐震・免震技術をベースに研究開発を進めています。また、最近では環境問題の一つである騒音評価・抑制技術にも取り組んでいます。これらの技術は、貯蔵プラントや原子力、コンテナクレーンなどの耐震基準や、超高層ビルや吊橋主塔に用いられる制振装置などの製品として結実しています。


コンピュータの中で仮想的に製品をつくり動作させることで、性能予測、機構解析、制御シミュレーション、加工シミュレーションなどを事前に実施して、設計品質の高度化、生産の合理化と開発期間の短縮を目指しています。これらCAE技術の開発と並んで設計ノウハウの組込みにも取り組んでいます。


原子炉内部やボイラ配管内などを動き回る小型ロボットから物流システムや発電プラントなどの大規模システムまで、さまざまな機器・システムを制御する最先端の制御技術、ブロードバンドや無線通信を利用した情報通信技術、視覚情報処理などのセンシング・環境認識技術およびエレクトロニクス応用技術の研究開発を推進しています。また、次世代ロボット、ファクトリーオートメーションなどのメカトロニクス技術の研究開発にも積極的に取り組んでいます。


液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに薄膜トランジスタを形成する工程において、非晶質のシリコン膜を結晶化させる装置を開発しています。当社独自のYAGレーザ技術とレーザビーム成形光学技術の応用により、均質性の高い結晶膜の形成を可能としています。また、クリーン環境下で使用する低発塵の物流機器や、大型ガラスを高速かつ安定してハンドリングする要素技術開発やそれらを活用したマテリアルハンドリングシステムの開発を進めています。


接合技術は、IHI製品の進展と多様化に伴って変化しています。そのため、より高い信頼性の要求や高度な溶接自動化の要求に対して、たゆまぬ研究・開発を進めています。IHI式高能率TIG溶接、大電流AC-MAG溶接などのアーク溶接技術の開発をはじめ、航空宇宙製品用の特殊接合、YAGレーザを用いた 水中溶接、溶接部可視化装置などの最新接合技術の開発を進めています。


鋳造、塑性加工、機械加工、表面改質などの伝統的な生産技術においても、より高度なニーズに応えるべくたゆまぬ技術革新を行っています。また、検査・計測などの品質関連技術についても最新のIT技術を適用した技術開発を展開しています。さらに、生産工程全体を最適化するためのデジタルエンジニアリングなど生産システムの高度化にも積極的に取り組んでいます。