化学系 山上 泰弘

回転機械の設計・開発、その全てを任される醍醐味。

私の部署では、固体と液体を分離する固液分離装置の設計・開発を全般的に手掛けています。一口に固液分離装置と言っても、分離機とろ過機の2種類があり、分離するプロセスが全く別ものです。分離機は回転を加えることで遠心力を発生させ、重い固体を沈ませ、固体より比重の軽い液体を浮かせるという比重差を用い分離させるのに対し、ろ過機はろ布や金網のフィルターで固液を分離させます。
取引先は化学業界や食品業界・医薬品業界など多岐に渡り、処理物も様々。お客様の要望を汲み取り、固液に応じてどの分離処理が最適かコンサルティングすることが私たちの強みです。先輩には、処理物を聞いただけで製造方法を的中させ、使い方をアドバイスする方もいます。「製品性能」+「アプリケーション技術」がお客様に評価されているのです。

例えば、私が入社1年目に担当することになったろ過機の場合、お客様の「処理物に含まれる微粒子を分離・回収して、原料として再利用できる装置が欲しい。しかし、どのメーカーに頼んでも十分な性能が出せない」という声が開発の出発点でした。そのようなニーズに基づき、見積や基本設計を行い、パイロットテストを行ったところ、ろ過速度・処理量など従前の製品よりもお客様が満足するデータが得られたのです。トントン拍子にその後の詳細設計から納入後の試運転立会いも任されることになりました。

永遠に無くならない装置。ずっと必要にされるスキル。

ところが、実機を納めて試運転してみると、テスト結果の半分も性能が出ないのです。現場でろ布を変更するなどハード面の検討をしたものの、根本的な解決には至りません。もしかして、パイロットテストの方法自体に問題があったのではないかと不安にかられました。しかし、自分が出したテスト結果なので、自分がなんとかしなければならない。
元来コミュニケーションが得意ではありませんでしたが、現場に1~2ヶ月はりつき、顧客と真正面から向き合いました。時に上司に相談しながら数限りない試行錯誤を重ねた末、突き止めたのが溶液の性質の違い。パイロットテスト時の溶液と納入後の溶液のpH値が異なっていました。pHを調整するという工程を加えることで、遂に想定通りの性能を実現できました。おかげ様でお客様からは、ご指名で機械の発注を頂けるほど良好な信頼関係を築いています。現在では10数台を納入し、数億円の取引にまで発展させることができました。

このように私の部署では、化学系出身者でも電気回路や機械の詳細設計といった化学系以外の業務もひと通りこなします。そのためハードウェア設計だけでなく、納めた機械が使われる生産工程全体のソフトウエア知識も身に付ける必要があります。ただ、今回の案件で「pH調整」という解決法を見出せたのは、化学系ならではのアプローチかもしれません。つまり、機械の設計・開発には、実に多彩な知識を有効活用できるチャンスがあるということです。入社して初めての案件で、営業支援から装置の試運転まで一気通貫で携わることができたのは、とても恵まれていたし自信にもなりましたね。固液分離とは、幅広い業種のあらゆる製造工程で例外なく必要とされる技術。非常にバリューあるスキルが、仕事を通じて身につけられている手応えをひしひしと感じています。

Career Step

2002年 現部署で、ろ過機の基本設計を担当。
2004年 株式会社仁方鉄工所に出向。ろ過機の詳細設計を担当。
2007年 現部署に出向復帰。ろ過機の受注工事を担当。
2010年 現部署で、分離装置の研究開発を担当。

My Pleasure

入社1年目のあの時、お客様先で四苦八苦している私に対して、上司は「現場を一番良く知っているのはお前だ。だから思い切ってやってみろ」と言ってくれました。そして「何かあったら必ずフォローする」とも付け加えてくれました。若いうちから任せてもらえる。その一方で、放ったらかしでは決してない。こうした環境があるからこそ、未経験のことにもノビノビと挑戦できるし、成長もできる。エンジニアとして、ひと回りもふた回りも大きくなれる機会を次々と手に入れられることが、IHIで働く喜びの一つです。

「職」選びアドバイス

私たちの部署では、エンジニアが中国や韓国をはじめとする海外のお客様先へ出張することも少なくありません。お客様と打ち合わせする場面も多いです。学生時代まで、私は人と話すのがどちらかといえば苦手でした。でも、やってみると「意外と適性があるな」とも感じました。あまり偏見をもたず、色々な仕事に選択肢を拡げてみることが「自分の未知なる可能性」を発見する大きな一歩なのかもしれませんよ。

関連事業 産業機械
関連事業所 横浜事業所
関連社員[部門] 秋山 雄一郎酒匂 直人遠藤 剛
関連社員[専攻] 佐々木 雄基香取 孝太郎初谷 智美
関連社員[同期] 大寺 一生坂元 理絵