新型舶用小型中速ディーゼルエンジン「17AHX」を開発
~世界最高水準の低燃費を実現し,電気推進船の発電主機としての使用も可能な新エンジン~

 IHIの子会社である新潟原動機株式会社(以下NPS,社長:犀川淳一,本社:東京都中央区)は,このたび,世界最高水準の低燃費を実現した新型舶用小型中速ディーゼルエンジン「17AHX」(500~1,125kW)を開発し,試運転を開始しました。本エンジンは,2008年に開発した環境対応型舶用中速ディーゼルエンジン「28AHX」(2,070~3,330kW)を小型化したエンジンであり,小型船舶および作業船の主機や市場の拡大が有望視されている電気推進船の発電主機として年50台の生産を目指します。

 本エンジンの開発は,環境負荷低減と省エネに主眼をおいた「28AHX」の設計思想を継承して行い,IMOのNOx二次規制対応と世界最高水準の低燃費を両立させました。また,本エンジンでは,メンテナンスの容易性を重視し,シリンダユニット(*1)ごとの分解・組立を可能とし,シリンダ毎に分割可能のカム軸,分割構造の排気管,水平3分割の連接棒,フロントエンドユニット(*2)の採用などの新技術を取り入れています。また,本エンジンは,シリンダ数では列型の5,6,7,8,9シリンダの5シリーズ,回転数では毎分900回転~1,200回転のバリエーションがあり,燃料は軽油,A重油,C重油などを使用することができ,顧客のニーズに合わせた仕様にすることが可能です。これにより舶用だけではなく,陸用発電用としても使用することが可能となります。

 NPSでは,1977年以来,韓国STXグループ(*3,以下STX)とNPS製ディーゼルエンジンの技術供与契約を結んでおり,本エンジンについても,本年6月29日に技術供与契約を締結しております。STXでは,本エンジンを船舶用発電補機として販売する事を検討しており,NPSとは異なる市場で本エンジンの市場展開を行います。また,本エンジンにおける技術供与は,テリトリーの制限を設けておらず,両社とも様々な地域で販売することが可能な契約となっています。

 NPSでは,今後,舶用および陸上用発電用の両市場で「17AHX」の積極的な営業活動を行っていきます。

*1 シリンダユニット : シリンダヘッド、ウオータージャケット、シリンダライナー、ピストン、連接棒をシリンダ単位で取りまとめたもの。ユニット一括の分解・組立を可能とした。
*2 フロントエンドユニット : 潤滑油ポンプ、クーラ、フィルタ、清水ポンプ、温調弁、コントロールバルブ、エアクーラなどエンジンに必要な補機類をエンジン前側に効率的に組み込んだユニット。
*3 STXグループ : 傘下に韓国造船大手のSTX造船海洋,STXエンジン,STX建設,パンオーシャンなどを有するグループ。

以  上

お問い合わせ先:新潟原動機株式会社 管理室企業情報グループ 鈴木(03-6214-2812)
株式会社IHI     広報・IR室    山本(03-6204-7030)

主要目
  舶用主機 発電機
回転数 900 min-1 1000 min-1 1200 min-1 900 min-1 1000 min-1 1200 min-1
連続最大出力 kWm PS kWm PS kWm PS kWm kWe kWm kWe kWm kWe
5L 500 680 525 714 625 850 500 475 525 499 625 594
6L 600 816 630 857 750 1020 600 570 630 599 750 713
7L 700 952 735 1000 875 1190 700 665 735 699 875 831
8L 800 1088 840 1142 1000 1360 800 760 840 798 1000 950
9L 900 1224 945 1285 1125 1530 900 855 945 898 1125 1069

*舶用主機の連続最大出力は、クランク軸端における出力を示します。
*発電機用の出力kWmは、クランク軸端における出力を示します。kWeは、発電機効率95%として換算しております。