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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 9 まず,下図@の状態で立坑を掘削します. 所定の深さまでの掘削を終えると,A 内周カッタ と外周カッタを分離します.次に,内周カッタを引き 上げ,内周カッタを球体に収めます.続いて,B 少 しずつ球体を回転させていきます.回転が終ると,内 周カッタを押し出して,C 横坑を掘削していきます. 球体シールドのポイントは,縦から横に方向転換さ せる際に球体を用いた点にあります.シールド掘進機 は地中での施工となるため地下水があり,深くなれば なるほど高い水圧が働きます.このため,方向転換さ せる際は,地下水を機内およびトンネル内に入れない 工夫が必要になります.もちろん,シールドトンネル には止水するためのさまざまな機構が用いられていま すが,球体シールドでは方向転換時の止水方法がキー となる開発要素でした.最終的には,幾つかの止水方 法の中から,ボールバルブの構造に着目し,球体の回 転を用いたシール機構のアイデアが選ばれました.こ の工夫により,地下水があっても支障なく方向転換す ることができるようになりました. また,今回は縦横( タテヨコ)に焦点を絞って紹 介しましたが,この構造で交差点の真下で直角に曲が るヨコヨコも球体シールドは可能なんです.これらの トンネル形状がアルプホルンに似ていることからホル ンシールドとも呼ばれます. さらに,球体のシール機構を用いた例としては,横 坑から上向きに立坑を掘進し地上に出る・ ・ デルンシール ドや,カッタを180 度くるん・ ・ ・ と回転させてビットを 新しいものに交換し,また元に戻して掘削を続けるこ とで長距離掘削を可能にしたクルンシールドというも のもあり,バリエーションはルンルン・ ・ ・ ・ と多彩です. シールド掘進機の分野は,今回紹介した以外にも2 台のシールドを地中で接合させる工法,トンネルの幅 を途中で変える拡幅工法,眼鏡形などの非円形を掘る 工法など社会のニーズに対応するためのさまざまなア イデアにあふれています.これからも,世界の地下イ ンフラを支えるために,多くのすばらしいアイデア が,IHI のグループ会社であるジャパントンネルシス テムズ株式会社から生み出され,皆さんの好奇心を刺 激してくれることでしょう. ( 文責:知的財産部) 球体シールド工法 @立坑掘削 Aカッタ分離 外周 カッタ 内周 カッタ B球体を回転C横坑掘削