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22 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) の流れをくむもので,その3 代目にあたる( 現在は, 一つ前の型式であるR1,R2 も在籍).全長20 m の 大型車体を用い,座席は大きなテーブル席を囲む4 人掛のボックス席を12 個配置.デザインは,一時代 前のヨーロッパをイメージし,木目を活かした床面や シックでレトロな柄のシートなどの内装,外装は,高 貴なイメージを感じさせる深い紫色に仕上げた. これまでの流れをくむデザインのため,内装にはそ れほど手が掛からない予定ではあったが,細部の調整 には時間と手間も掛かっている.例えば照明器具のカ バーは,前回はチューリップ形であったが,走ると揺 れて不安定に見えた.そこで揺れない丸型に変更した が,鉄道の法令で定められている難燃素材のものがな かなか見つからなかった.そこで灯具関連のショウ ルームを見て回り,一般住宅用のガラスのカバーを見 つけ,それが落ちないように装飾性のある落ち留めを 作って鉄道旅客車用にアレンジした. 古民家でのくつろぎを演出 36-Z1 形( Z1 形の「Z 」は,「zashiki 」の「z 」を とったもの)はお座敷車両で,「三陸の技 まるごと 博物館」というコンセプトに基づき,外観も内装も 岩手県の古民家のイメージで統一し,車内随所に岩手 の伝統工芸が活かされている.座席は三つのパターン に組み替えることが可能で,通常は掘りごたつ式の テーブルを挟んだ4 人掛のボックスシートだが,同 じテーブルを中央に縦につなぐと車窓を背に向かい 合って座る形式にもなり,さらにはテーブルを撤去し て全面を畳敷きにすることもできる.観光客のグルー プの人数,イベントの内容に合わせてレイアウトが変 更でき,最大で観光バス1 台分の人数を受け入れら れる. 実は,このお座敷列車はなかなかデザインの方向性 が決まらず苦労した.ところがある日,デザインの打 新潟トランシス 株式会社 掘りごたつでゆったりくつろげるお座敷車両室内 車庫にて全線再開の日を待つお座敷車両お座敷車両の一角にある囲炉裏スペース アンティーク調の室内