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24 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 株式会社 ディーゼルユナイテッド 船の心臓をやさしく,しなやかに 最先端の電子制御テクノロジーを融合し 生まれ変わった舶用大型エンジン 舶用大型ディーゼルエンジンに電子制御技術を取り入れ,燃料噴射系や排気弁駆動 系の自由度を大幅に向上させた.この結果,相反する関係にあるNOx と燃費の両方 を低減させるだけでなく,燃料噴射量の極めて少ない低負荷運転における安定燃焼 を実現するなど,地球環境にもやさしく,使い勝手の良いエンジンに生まれ変わった. 舶用大型エンジン 昼夜問わずコンテナターミナルに接岸するコンテナ 船や,石油を運ぶタンカーに代表されるように,貿易 立国日本の物流は船舶によって支えられており,重量 ベースでは輸出入の99.7%( 2011 年)が船舶に依存 している.これらの船舶を動かしているのが大型 ディーゼルエンジンであり,燃料が着火・燃焼して発 生した圧力によりピストンを押し下げ,クランクシャ フトを介してプロペラを回すことで船は推進力を得て いる.基本構造は乗用車用エンジンと変わりないもの の,乗用車用エンジンの高さが1 m にも満たないのに 対し,舶用大型エンジンの高さは最大で14 m にもな り,スケールが大きく異なる.エンジン出力が膨大で, かつ年間運転時間が7 000 時間以上( 稼働率80%以 上)と長いこともあり,数%の熱効率( 燃費率)の違 いで年間の燃料代が数千万円から数億円も変わってく る.このため,高耐久性,高効率が厳しく求められる. 1897 年にルドルフ・ディーゼル博士により初号機 が完成されたディーゼルエンジンは,高性能化,有害 排出ガス低減,信頼性向上,燃費改善といった社会的 要請に応えて年々進化し続け,舶用大型エンジンは世 の中で唯一熱効率50%を超える移動動力用原動機と なっている. 株式会社ディーゼルユナイテッド ( DU ) と技術提 携するバルチラスイス社( スイス)は,環境負荷低 減に関する機運の高まりを受け,世界に先駆けて電子 制御大型舶用低速エンジンである6RT-flex58T-B を搭 載した船を2001 年に就航させて以来,競合他社と一 線を画す根本的な電子制御技術を積極的に取り入れて 大型コンテナ船 ( DU製RT-flex エンジン搭載) 舶用大型エンジン6RT-flex50