IHI 技報　Vol.54 No.3 ( 2014 ) 35 我が社の看板娘 �A 表層面にたまった細かなごみ，珪砂，ゴムチップ をかき上げ，振動ふるいへ送り込む． �B 振動ふるいを前後に振動させながら，珪砂とゴム チップは芝面に，切れている芝やごみは後部の ホッパーに，それぞれ自動的に選別する． �C 後部のローラーとブラシで傾いた芝面を矯正し， 美しく仕上げる． 最高のコンディションが生み出す最高のプレー MR-1200 によってメンテナンスを行うことで，つ ねに新設当時に近いコンディションでのプレーが可能 になるため，プレーヤー個々の技術レベルの向上に役 立つ．また，最高のコンディションをつねに提供でき ることにより，グラウンドの利用機会の増加，利用者 の増加，グラウンド稼働率にもつながることから，今 後，さらなる需要拡大が期待される． ヨーロッパでは，国際サッカー連盟 ( FIFA ) 公認グ ラウンドだけでも1 400 か所以上がロングパイル人 工芝で人工芝管理機を常設しているが，日本ではほと んど知られていないのが実情である．まずは，ロング パイル人工芝を設置している施設の維持・管理をして いる方々に，MR-1200 を使っていただき，メンテナ ンスの効果を実感してもらいたいと考えている． そのため，ゴルフ場やグラウンド事業者向けの 「芝地用管理機械・資材総合展示会」や「ジャパン ターフショー」でMR-1200 の展示を予定している． 学校関係者には，校内緑化活動のなかで積極的にア ピールをするなど，多種多様なPR 活動を行ってい る． 全国各地の人工芝のグラウンドで，美しさの象徴で あるゼブラ模様を目にすることを願い，人工芝メー カーと連携して，さらなる技術革新に努める所存であ る． 問い合わせ先 株式会社IHI シバウラ 機械事業本部　管理部 電話（ 0263 ）88 - 0200 URL：www.ihi-shibaura.com/ メンテナンス技術の秘密 このようなニーズに応えるために，株式会社IHI シバウラは，株式会社テクニカルイケジマとロングパ イル人工芝管理機MR-1200 を共同開発した．ロング パイル人工芝のメンテナンスを行う機械として，主に 全国の自治体所有の多目的グラウンドや，学校，民間 所有のサッカー場，多目的広場，野球場などで使用さ れている． ロングパイル人工芝のメンテナンス作業は， (1) ほぐし＆起こし（ ブラッシング+ レーキ） 芝目に詰まった充填材をほぐし，倒れた芝生を起 こして，クッション性の回復を図り，ボールの転が りすぎ防止や膝に対する負担の軽減，芝の見た目を よくする． (2) ゴミ除去（ クリーニング） 芝生の繊維かすや，樹木の枝葉などをかき出して 掃除する． (3) すり込み 珪砂とゴムチップを芝と芝の間にすり込む． 人工芝のメンテナンス機械として，刈り取った天然 芝を集める「スイーパー」や，人工芝目の間に珪砂 とゴムチップをすり込む「すり込みブラシ」が存在 していた．しかし「スイーパー」には，芝目に充填 されている砂やチップまで除去してしまうという難点 があり，「すり込みブラシ」は倒れた芝を起こすこと ができなかった．MR-1200 は，ブラッシング，クリー ニング，すり込みの三役の作業を同時に行うことがで きる国産初のメンテナンス専用作業機である． その仕組みは，以下のとおりである． �@ 倒れた人工芝の葉を，回転ブラシとレーキでブ ラッシングして起こす． ロングパイル人工芝管理機MR-1200 構成 回転ブラシ 前ローラー後ローラー 振動ふるい ホッパー すり込み ブラシ ゴムチップ 珪砂 ロングパイル芝繊維