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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 39 我が社の看板娘 A スポンジ担体はセルに固定されているので流動に 伴う物理的損傷が少なく,流動床方式よりもスポ ンジ交換の頻度が激減した. B INC バイオリアクタ中でスポンジ担体の偏りがな く多くの微生物が均一に保持される.流動床方式 の場合はスポンジ担体の分布が時々刻々変化し偏 りも大きかった. C 処理量に応じてリアクタのスケールアップ設計が 容易にできる.リアクタ内の担体と排水の分布す なわち反応の分布が均一であることによって可能 になった. まとめ 新開発のINC バイオリアクタがこれまで生物処理 単独では処理できなかった「蛍光浸透探傷剤洗浄排 水」を廃棄物を出さずに高効率で処理できることを 実証した. 代表的な探傷剤であるZL-37,ZL-67 ( Magnaflux 社:カナダ)とA-7X7( Cee-Bee Chemical 社:アメリカ)を含む排水の処理量2 m3 /日を達成 した.今後,他の難分解性排水へ適用範囲を拡大し排 水処理をINC の新事業として育てたい. 問い合わせ先 株式会社アイ・エヌ・シー・エンジニアリング 技術本部 環境技術部 電話( 03 )3360 - 3228 URL:www.ihi.co.jp/inc/ バイオリアクタ,B 後処理リアクタ,C 活性炭吸着 槽,D 下水タンクから成り,従来不可欠であった沈 殿槽のない点が最大の特長である.これによって装置 全体がコンパクトになり,沈殿槽で発生する余剰汚泥 をなくすことができた.このようにコンパクトな構成 を可能にした最大の要因は新開発のINC バイオリア クタである. INC バイオリアクタ バイオリアクタの主役は有機物と反応して分解する 微生物である.微生物を排水中に固定するために担体 と呼ばれるものが使われる.担体の材料としては多孔 質ガラスや高分子材料が用いられる.INC バイオリ アクタでは内部の空隙が大きく均一であるなどの特徴 からスポンジ担体を採用した. 従来のスポンジ担体を用いたバイオリアクタは排水 中にスポンジが浮遊する流動床方式であったが,INC バイオリアクタでは多段に積み重ねた仕切り( セル) の間に立方体のスポンジ担体を保持して半固定床方式 とした( 特許出願中).従来の典型的スポンジ担体は 直径10 mm 程度の球状であったが,さまざまな担体 を比較・検討した結果,INC バイオリアクタでは一 辺の長さが25 mm の立方体スポンジ( EMW 社:ド イツ)を採用した. INC バイオリアクタの特長 INC バイオリアクタは以下の特長がある. @ 担体流動床方式よりもスポンジ充填密度を大幅に 増やすことができ,大きな反応表面積が得られて 処理能力が倍増した. INC バイオリアクタのスポンジ担体 排水処理前後 ( a ) 蛍光浸透探傷剤    洗浄排水( 原水 ) ( b ) 生物処理水( c ) 活性炭処理水