【DO!BOOK・ページリンク】
gihou_54_3   44 / 84

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


40 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 株式会社 IHI 検査計測 金属のドライクリーニング レーザ光を利用した非接触洗浄装置 「レーザクリア20 」 「レーザクリア20 」は,材料の表面に付着した異物,酸化膜などの被膜,表面の変性部な どの除去を目的として開発したレーザクリーニング装置.塗装膜やめっき層の除去,金型や 部品表面のさび取りと清掃,溶接の前処理( 脱脂,酸化膜除去)や仕上げ処理( 清掃), 表面変性部( 熱変性,加工硬化部)の精密削除や除染処理などに優れた性能をもつ. 自動車や航空機をはじめとする工業製品では,金属 材料表面の洗浄に,@ 有機溶剤や酸などの薬品洗浄, A 水などを用いた高圧洗浄,B 砂などを用いたブラ スト,などの方法が広く用いられてきた.近年,環境 規制が厳しくなり,洗浄に使用した溶剤や水,砂など の二次廃棄物処理の課題が取り上げられ,これらの方 法に代わる新しい洗浄方法として,レーザ光を使う洗 浄方法が脚光を浴びている. レーザクリーニングは,高いエネルギー密度のレー ザ光を固体あるいは液体の物質に照射したとき,その 表面から構成元素が爆発的に昇華,蒸散されるレーザ アブレーションと呼ばれる現象を利用している.塗装 膜やめっき層の除去,金型や部品表面のさび取りと清 掃,脱脂や酸化膜除去を目的とした溶接の前処理,清 掃や仕上げ処理,熱変性や加工硬化による表面変性部 の精密切削や除染処理などに優れた性能を発揮する. レーザ光は波長が単一でかつ位相がそろっているた め,高い直進性,集光性をもっている.加えて,レー ザ光をパルスで発振させる技術の発展により,瞬間的 に高いエネルギー密度の光を断続的に照射することが 可能となり,材料表面の微細な精密加工や処理ができ るようになった.基本的な機能は,レーザの研究で世 界をリードしているドイツで開発され,高品質な集光 特性をもつファイバーレーザをエネルギー源として用 いてから工業分野への展開が図られた. 環境規制が厳しいドイツでは航空・自動車分野を中 心に適用が進んでいるが,一方,日本においては適用 できる産業分野を模索している段階である. レーザクリーニングプロセスは溶剤や水などを用い ないドライ環境でのクリーニングで,二次廃棄物の処 理を必要とせず,機械的な切削とは異なり非接触加工 であるため,母材自身を傷つけずにクリーニングを行 レーザクリア20 レーザクリアヘッド