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42 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) ロボットと新しい産業革命 私は10 年程前,ある研究機関で世界のロボット技術調査 を行い,それ以来ロボット技術の発展を見守って来ました. そして昨今,欧米そして日本で新たな産業革命の推進役と してロボット技術が再び注目され始めました.そこで今,そ の可能性について私なりに考察して見たいと思います. 1999 年にソニーの犬型ペットロボットAIBO,2000 年にはHonda の二足歩行ロボットASIMO が相次いでデ ビューしたのを覚えている人は多いと思います.それ以 来,ロボットブームに火が付き,いろいろなロボットが家 庭やサービス分野で開発されてきましたが,長くは続か ず,実用化されたものは非常に僅かです. しかし,最近では,SoftBank が,ネットワークを利用 した,普及型家庭用人型ロボットPepper を発表するな ど,にわかにさまざまな分野でロボットが熱気を帯びてき ております. アメリカでは,あのGoogle が,ロボットベンチャーの 買収に走り,自動車の自動走行などのロボット技術開発 に非常に力を入れ始めており,ヨーロッパでは,ドイツ が「Industry 4.0 」というキャッチフレーズで,ICT( 情 報通信技術)やロボットを活用した新産業革命を推進し ています.このようにロボットが世界でまた盛り上がって きたこの春( 2014 年5 月),安倍首相はOECD 閣僚理 事会で,「日本は,ロボットによる新たな産業革命を目指 す! 」と宣言しました. 現在,普及している世界の産業用ロボットの生産量 は,’80 〜 ’90 年に急速に伸びましたが,ここ数年は7 千〜 8 千億円で停滞しています.また,サービス用など の「次世代ロボット」は,少子高齢化で需要の増加は期 待できるものの,ほとんどが研究・開発の段階で,生産量 はまだ僅かです.また,経済産業省などによると,10 年 後( 2025 年)には産業用ロボットが約2 兆円,次世代 ロボットが約3 兆円と予測していますが,実は10 年前 の予測値からそのまま10 年先延ばしになっており,ほと んど立ち上がっていないのが現状です. 産業・ロジスティックスセクター 星野 修二 SoftBank のPepper