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46 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) ルブ,もう一方をパッシブバルブと呼び,両方の弁体が 合体・回転し,初めてバタフライバルブとして機能する. より高い封じ込めレベルが求められる場合は,集じん機 能が付いたエアブローを行う装置を併用し,使用後SBV の開放時の粉じん飛散・浮遊を低減できるタイプを使用 する. 使用方法の一例としては,SBV のパッシブバルブにフ レキシブルバッグやボトルを取り付けることで,反応槽な どに取り付けたアクティブバルブ経由で粉体の投入を行う などがある. 3. 2 二次封じ込め 二次封じ込めは,部屋のレイアウト,気流,室間差圧な どによって,人・物・空気の移動に伴いハザード物質が外 部に漏えいし,交叉汚染などしないよう防止することを目 的とする.その際,空調管理がキーとなるが,その代表例 を以下に挙げる. 3. 2. 1 HEPA フィルタ( 排気フィルタユニット) 製造室からの排気口には,漏えいしたハザード物質が空 調ダクト経由で外部に流出しないよう,HEPA フィルタ を設置する.アイソレータと同様,ダブルHEPA フィル タタイプを設置する.高い封じ込めレベルが求められる場 合,完全性試験( フィルタの性能,ろ過品質の確認)に 合格したフィルタを使用する. 3. 2. 2 室圧の管理 封じ込めが必要となる部屋の場合,外部への漏えいを考 慮し陰圧下にすることが重要であるが,陰圧の場合,入退 室経路から気流に乗って異物の流入が起こり,交叉汚染の 原因となってしまう.このため,廊下に対しては陽圧にす ることが望ましく,相反する要求となる.そこで,製造室 と更衣室の間に室圧の調整目的の部屋 ( AL:Air Lock ) を設ける方法が採られる.各部屋間の室圧差は一般的に5 〜 15 Pa とし,室圧の山谷を付けることで,気流方向の 管理も行える. 3. 2. 3 換気回数 浮遊粉じんの部屋内での滞留を低減するため,換気回数 を多くすることで対応できるが,空調の運転費のコスト アップにつながるため,適切な回数を設定する必要があ る. 4. 封じ込め設備構築上の課題 3 章で挙げた封じ込め設備をどこに採用し,封じ込め機 能を満足させたうえでいかにコストも抑えるかが,ケミカ ルハザード対応プラント構築上のポイントとなる. 封じ込め設備選定の大きな流れとしては,まずハザード 物質が曝露する可能性のある作業において,ハザード物質 の取扱量と飛散のしやすさから曝露度合いのレベル分けを 行う( 第2 表) ( 3 ). 次に第3 表 ( 3 ) に示すように,設定されたOEL と曝露 度合いのレベルから,曝露度合いが高く,かつOEL の小 さい組み合わせ( 例:EPS4,D が交差)では,封じ込め 性能の高い封じ込め設備( 設備グレード4 )となり,曝 露度合いが低く,かつOEL の大きい組み合わせ( 例: EPS1,A が交差)では,封じ込め性能が低い設備( 設備 グレード1 )となるようなマトリクスを作成し,この区 分に沿って設備を選定する( 第4 表) ( 3 ).一般的には封 じ込め性能が高い設備ほどコストが高いため,このような 手段で設備選定をすることは,コスト的にも適正な設備の 選定につながるうえ,設備を構築するうえで論理的であり 説明もしやすいことから,有効な手段といえる. しかし,上記選定方法にも下記のような問題がある. ( 1 ) ハザード物質の飛散のしやすさは,粉体か液体 か,粉体の場合ペレット状/粒状/微粉などの形状 第2 表 曝露度合い ( EPS ) の設定 ( 3 ) Table 2 Definitions of Exposure Predictor Solid Bands based on amount and exposure potential ( 3 )             取 扱 量 ( 単位) 飛散の度合い 低 い中程度高 い 少 量( mg/g ) EPS1 EPS1 EPS2 中 量( kg ) EPS2 EPS3 EPS3 多 量( t ) EPS2 EPS4 EPS4 ( 注) EPS:Exposure Predictor Solid Bands    ( 曝露度合い) 第3 表 曝露度合いと封じ込め装置区分の関連性 ( 3 ) Table 3 Relationship between Exposure Predictor Solid Bands and containment equipment grades ( 3 )       ハザード グループ OEL ( μg/m3 ) 設備グレード EPS1 EPS2 EPS3 EPS4 A > 1 000 1 1 1 2 B 100 〜 1 000 1 1 2 3 C 10 〜 100 1 2 3 4 D 1 〜 10 2 3 4 4 第4 表 封じ込め装置区分に対する具体的な設備例 ( 3 ) Table 4 Containment equipment grades with specific examples ( 3 ) 設備グレード設  備  例 1 一般空調 2 局所排気,部分封じ込め,気流管理 3 封じ込め 4 専門家の助言を求める領域