【DO!BOOK・ページリンク】
gihou_54_3   51 / 84

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 47 から判断されるが,大まかな分類しかできない. ( 2 ) 封じ込め性能に応じた設備を選定することになっ ているが,一般的に性能を保証した設備が売られて いるわけではなく,どちらかというと,適正な使用 方法で使用すれば目標とした封じ込め性能に合致し た設備としての使用実績があるため採用可能である, という論法である.このことは,封じ込め設備への ハザード物質取り込み方法や作業者の作業内容など の運用によって封じ込め性能に影響を与えるため, 最終的には模擬粉による封じ込め性能確認テストで 確かめてみないと性能が実証できない.つまり一概 に対応設備が決まるものでもなく,また一般的な実 績が当てはまるとは限らない. ( 3 ) 特に原薬プラントにおいては,製品に含まれる原 薬成分の質量が一般的にmg 単位であることから, 生産量が少なく,粉体の取扱いは人手作業が主体と いう特徴があり,操作性は機器選定の重要なポイン トであるべきだが,この設備選定方法において操作 性は考慮されていない. このように,上記に紹介した設備選定方法によって簡便 に設備を構築することが可能にみえるが,レベル分けや区 分に当てはめるためには多くの知見が必要であり,それが なければ裏付けの希薄な設備構築となってしまうことか ら,封じ込め機器の選定は簡単にはできないのが実情であ る. 5. 医薬封じ込め技術実験室の紹介 上記課題の解決策として,株式会社IHI プラントエン ジニアリング ( IPEC ) では医薬封じ込め技術実験室( 以 下,実験室と呼ぶ)を開設している( IHI 横浜事業所 内). 実験室は,カテゴリー6( OEL 0.1 μg/m3 未満)対応の クリーンルームと同等な機能( カテゴリー6 対応ではあ るが,実際にはハザード物質は取り扱わず,ラクトースを はじめとする安全な模擬粉体を使用する)をもたせてお り,作業室の陰圧運転,作業室の入退室経路の複数室化に よるAL・室間差圧の設置,空調給排気へのHEPA フィ ルタ設置( 排気側はダブルHEPA )など二次封じ込め対 応も採られている( 第4 図). 作業室内にはさまざまな封じ込め設備を保有しており, 「実績に基づく設備提案/お客さま目線での設備提案をす るための検証設備」というコンセプトに基づき,封じ込 め設備の性能確認,設備の操作性確認・運用方法の追求, 封じ込めに関するお客さまの課題解決のサポートを行って いる. また「お客さまとIPEC による設備イメージの具体化 を図るための設備」というコンセプトも掲げており,封 じ込め関連機器の展示・デモンストレーション・お客さま による操作確認,施工見本の展示,模擬粉による操作シ ミュレーションに対応可能であり,これらを体感型ショー ルームと称している.ただ実験するだけでなく,体感型 ショールーム機能をもたせることによって,基本計画・基 本設計時という初期設計段階において,機器の操作感の確 認などができるため,IPEC とお客さま間で言葉では表し きれない設備イメージの統一を図ることが可能となってい る. 対応可能な模擬粉による操作シミュレーション例として は以下のものがある. 洗浄室 分析室 廊 下 作業室 .13 Pa 脱衣室 .6 Pa AL 20 Pa AL .6 Pa AL .6 Pa PR 13 Pa 着衣室 20 Pa 脱着衣室 6 Pa シャワー室 .20 Pa .20 Pa .10 Pa 器具乾燥室 ( 注 ) 青色数字: 陰圧設定時の各室圧 :人の動線 :物の動線 AL :Air Lock PR :Pass Room 第4 図 医薬封じ込め技術実験室のレイアウト Fig. 4 The layout of the laboratory