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54 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 力域全般にわたる高効率化などの強みを大いに発揮し,環 境に優しい省エネ舶用機関として市場投入された.近年, 大型舶用機関の市場では,環境負荷低減のために受注機関 のほぼ全数が電子制御機関となりつつあるが,DU では, すでに2008 年から,生産機関のほぼ100%が電子制御機 関となっている.これはシンプルかつ柔軟で多機能な特徴 をもつRT-flex 機関のコモンレール式電子制御技術が市場 に高く評価されている結果と考えている. 電子制御化によって,各種制御自由度を獲得し,環境負 荷低減対策だけではなく,経済性追求のための連続減速運 転への対応をも容易としている.また,電子制御部品から の各種フィードバック情報に基づいた自動トラブルシュー ト支援機能の充実などにも大きく貢献しており,これまで に述べた機関性能以外に関するメリットも大きい. 現在,重油を燃料としたディーゼル燃焼に加えて,天然 ガスを燃料とした予混合燃焼も可能な,Dual Fuel 機関も W-X 機関シリーズとしてラインナップされつつある.こ のDual Fuel 機関実現には,これら電子制御技術が不可 欠である. このように,コモンレール式電子制御は,今後の大型舶 用機関発展のベースとなる技術であり,また,コンセプト のシンプルさ,制御自由度の高さは,さらなる進化が十分 に可能であることを示している. 今回報告した大型舶用機関と電子制御技術の融合をベー スに,今後も,燃料消費率の低減とNOx 排出量低減の両 立,運用出力全域での柔軟な使い勝手に配慮した環境負荷 低減技術のさらなる進化を目指して尽力していく.