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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 59 る.制御装置の一方が主系,もう一方が従系となり, 従系の制御装置も主系と同じ入力データを用いて制 御演算を常時実行している.主系の制御装置に障害 が発生した場合,従系の制御装置へ無瞬断で主従を 切り替えて運転を継続する. このような無瞬断切替を実現するためには,リ モートI/O システムも同様に待機冗長系2 重化 ( ホットスタンバイ)の機能が実現できなければな らない.しかし,採用した産業用イーサネット規格 のマスタ局2 重化システムの実現例は,主従切替を 行った後,数秒後に通信が再開するコールドスタン バイの事例はすでにあったものの,無瞬断で切り替 わるホットスタンバイは世界的にも前例がない機能 であるため,マスタ局のホットスタンバイ機能を独 自に開発した.詳細は3 章で後述する. ( 2 ) 通信系統2 重化機能 リモートI/O システムでは,以前から,通信系統 2 重化( A 系,B 系)を適用しており,リモート局 を2 重化して,それぞれを別の通信系統で制御装置 へ接続している ( 3 ). 第5 図に示すとおり,新型システムにおいても一 つの制御装置へ二つの通信系統( A 系,B 系)のマ スタ局を搭載し,それぞれのネットワークを構成す ることで本機能を実現している. マスタ局はリモート局との通信状態やリモート局 の自己診断情報などを監視しており,あるリモート 局との通信が途絶えた場合や,リモート局が自己診 断異常を検知した場合などは,これを制御装置の CPU へ通知することができる.これによって,一方 の系のリモート局に障害が発生した場合でも,瞬時 に正常なリモート局へ切り替えて入出力を継続する ことができる. ( 3 ) 通信経路2 重化機能 本リモートI/O システムのネットワークは,リン グ型のトポロジーを採用しており,産業用イーサ ネット規格で規格化されている通信ケーブル2 重化 機能を利用して通信経路の2 重化を実現している. 第6 図に示すとおり,通信ケーブルの断線などが1 か所に発生しても,その前後のリモート局で瞬時に フレームをループバックすることで,すべてのリ モート局との通信を継続することができる. また,多くのリモート局がプラント内に分散して 制御対象 CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) ガスタービン制御装置1 リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) ガスタービン制御装置2 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) ・・・・・・ プラント制御ステーション A 系ネットワーク  B 系ネットワーク センサ センサ アクチュエータ アクチュエータ 障 害 A 系のリモート局に障害が 発生した場合でも,B 系か らセンサデータを取得 第5 図 通信系統2 重化機能( リモート局2 重化機能) Fig. 5 Remote I/O network redundancy ( remote unit redundancy )