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60 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 配備されるため,通信ケーブル断線などの障害発生 箇所をプラント監視装置 ( OES ) から遠隔で特定で きるようにしている. 3. マスタ局待機冗長系2 重化機能 本システムの特長として2. 2. 3 項で述べた待機冗長系 2 重化機能への対応に当たって開発した,産業用イーサ ネットマスタ局の2 重化機能は産業用イーサネットのプ ロトコルを独自に拡張したものであり,本システムの開発 における大きな特長の一つである.これについて詳細を述 べる. 3. 1 従系マスタ局の通信処理 制御装置の待機冗長系2 重化( ホットスタンバイ)に おいて,主系のマスタ局の通信データと同一の通信データ を従系のマスタ局が取得する手段が必要となる.また,主 系と従系の両方が通信フレームを送信すると,ネットワー ク上の通信量が2 倍に増えてしまい帯域使用効率が悪化 すること,通信分配・集約装置にて通信フレームが待たさ れてリアルタイム性が確保できないことが問題となる. このため,第7 図に示すように,主系のマスタ局のみ がリモートI/O のネットワークに通信フレームを送信し, 戻りの通信フレームを主系と従系の両方が受信できるよう に,通信分配・集約装置にて通信フレームをコピーして二 つのマスタ局へ分配するようにした. 主系のマスタ局は単一系の場合と同様に,自身が送信し た通信フレームの戻りの通信フレームを受信して処理する が,従系のマスタ局は通信フレームを送信せずに受信のみ を行い,主系と同一の入力データを得る. このように,従系時のマスタ局の通信処理を独自に開発 し,入出力データの同一性の保証,ネットワークの通信量 削減,マスタ局の受信処理負荷軽減,通信のリアルタイム 性保証を実現している. 3. 2 リモート局初期化の通信処理 今回採用した産業用イーサネット規格では,高速にデー タを通信するための周期通信,リモート局の設定や状態管 理などを行うための非周期通信の2 種類の通信機能が規 定されている.リモートI/O のデータ通信は周期通信を 利用しているが,システムの起動時にはマスタ局がリモー ト局へ初期設定を行うために非周期通信を実行し,この通 信によってマスタ局とリモート局間のデータ通信( 周期 制御対象 CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) ガスタービン制御装置1 リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) ガスタービン制御装置2 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) ・・・・・・ プラント制御ステーション A 系ネットワーク  B 系ネットワーク センサ センサ アクチュエータ アクチュエータ 障 害 通信ケーブルの断線などが発生 しても,前後のリモート局で通信 フレームのループバックを行い, 全リモート局との通信を継続 マスタ局は,二つのポートから 同じ通信フレームを送信する 第6 図 通信経路2 重化機能 Fig. 6 Cable redundancy