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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 61 通信)が確立する. 2 重化システムでは,主系のマスタ局のみがリモート局 の初期設定の通信を実行し,従系のマスタ局はリモート局 への初期設定の通信を行わずにデータ通信を確立するよう にした.これは,両方のマスタ局からリモート局への初期 設定通信を行ってしまうと,非周期通信が混在することで ネットワーク管理状態の不整合が発生してマスタ局とリ モート局との通信が確立できないためである. 3. 3 無瞬断主従切替 制御装置の主従切替によって,従系であったマスタ局が 瞬時に主系となって通信を実行することが必要となる. 制御装置の主従を決定している主従判定装置からの情報 を常時監視し,従系から主系に替わった場合は瞬時に通信 フレームの送信を実行し,また,主系から従系に替わった 場合は瞬時に通信フレームの送信を停止する.第7 図に 示す状態から主従切替が行われると,瞬時に第8 図の状 態に切り替わることになる.主従切替の瞬間においても, お互いに通信フレームを監視して必ず一方のマスタ局のみ が周期通信および非周期通信の送信を行うようにして,通 信データの同一性とリアルタイム性を保証している. 500 ms 間隔で制御装置の主従切替を行う連続試験を行 い,通信データが正しく取得できること,通信が一瞬で あっても途絶えないこと,必ず一つのマスタのみがフレー ムを送信すること,など,ホットスタンバイ機能が正常に 動作することを確認した. 4. 性    能 本システムにおいて,接続されるリモート局ユニットの 数と通信性能の関係を確認した.マスタ局のCPU に動作 クロック400 MHz のマイコンを使用した場合のリモート 局数とマスタ処理時間の結果を第9 図に示す. マスタ局の処理時間はリモート局16 ユニット時におい て280 μs,障害が発生してマスタ局の処理負荷が高く なった場合においても450 μs となっている.これによっ て500 μs 周期の通信も可能な性能であることが確認でき た.また,30 ユニットまで1 ms 周期の通信が可能な性 能であり,目標仕様である16 ユニット時の通信周期 1 ms の通信が実現できていることを確認した.従来シス テムと比較して最短通信周期が1/4 以下まで短縮され, 通信が高速化されている.これによって,排ガス対策や省 エネのために必要となる,より周期の短い,高度な制御に 対応できる. 制御対象 CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) CPU 基板 マスタ局 基板( A 系 ) マスタ局 基板( B 系 ) ガスタービン制御装置1 リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) リモート局 ( アナログ入力 ) リモート局 ( デジタル入力 ) リモート局 ( アナログ出力 ) リモート局 ( デジタル出力 ) 主従 判定装置ガスタービン制御装置2 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( A 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) 通信分配・ 集約装置( B 系 ) ・・・・・・ プラント制御ステーション A 系ネットワーク  B 系ネットワーク センサ センサ アクチュエータ アクチュエータ 送 信 受 信 受 信 主 系 従 系 主系と同じ入力 データを使用し, 制御演算を実行 通信フレームを コピー 第7 図 マスタ局2 重化機能( ガスタービン制御装置1 が主系の場合) Fig. 7 Master redundancy ( Controller #1 is active, Controller #2 is in standby. )