2 IHI 技報　Vol.54 No.3 ( 2014 ) 世界シェアは約30％ 株式会社IHI ターボ ( ITJ ) では，軽自動車から高 級車までの乗用車，トラック・バスなどの商用自動 車，ディーゼル機関車・気動車に搭載する車両用過給 機（ ターボチャージャー）をトータルで年間127 万 台（ 2014 年度見通し）生産しています．大きさは手 に乗るような小さなものから30 数kg の重さのもの まで，およそ680 品目．国内シェアは6 割でトッ プ，グローバルなシェアは3 割弱を占め，業界第3 位の実績を有しています． ITJ は，長野県の木曽郡大桑村と上伊那郡辰野町に 工場があり，木曽工場ではお客さまの要望に細かく， かつ素早くお応えする多品種生産に対応する一方，辰 野の新町工場には大量生産ラインを備え，高まる需要 に対応すべく新工場や物流センターの拡充も図ってい ます．また，IHI のターボチャージャーの生産拠点と しては，ドイツ，イタリア，アメリカ，タイ，中国， 韓国に現地法人を展開しており，ITJ はこれらの母工 場として，生産技術や品質管理，設備開発などの技術 面および人材育成などソフト面の支援を行っています． 各国の環境規制を追い風に需要の伸びが続く ターボチャージャーとは，高圧の空気をエンジンに 供給することでエンジン出力を向上させ，燃焼効率を 高めることにより省エネと排ガスの清浄化を実現する 装置です．ディーゼルエンジンには必須であり，ダウ ンサイジング化が進むガソリンエンジンにおいても， ターボチャージャーを搭載すればエンジンと車両を軽 ターボチャージャーは，かつてはエンジンのパワーアップ装置と認識されていましたが，90 年代以降は燃 焼効率向上による排ガス浄化の役割が求められ，加えて昨今は，エンジンのダウンサイジング化に伴う出力 維持と燃費向上を目的に，世界的に需要が高まっています．株式会社IHI ターボは，これらを背景に新工場 を拡張しつつ各種ターボチャージャーを生産．また，母工場としてIHI の海外拠点工場と交流し，技術支援 などを行っています． 株式会社IHI ターボ 増大するターボチャージャー需要に 　　大量生産はもちろん， 　　　　多品種少量生産でも対応する 株式会社IHI ターボ 代表取締役社長 米谷　　彰