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66 IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 合,軌道上をタンブリング状態で移動することを想定する と,有効断面積は4.3 m2 にしかならない. この構造のデブリ除去衛星を折り畳んだ図が,第3 図 - ( b ) である.これをさらに第3 図 - ( c ) の形まで折 り畳み,搭載することを想定している.この時,フォイル 質量は8.6 kg となり骨組みを合わせた総質量は,25.9 kg となる. この展開機構を利用する場合は,有効断面積を大きくす るため,第4 図に示すように複数のデブリ除去衛星によ る衛星群としての運用をする必要がある. 折り畳み時に生じる骨組みなどの重なりによる厚みが 10 cm と想定した時,第5 図に示すような扇型と仮定し て,円状に搭載していく場合,フェアリング内には54 個 の衛星を搭載できるスペースがある.しかし,質量の制限 と照らし合わせると,200 kg の制限内では7 個の衛星し かロケットには搭載することができず,すべての衛星の有 効断面積を合わせても,30.1 m2 にしかならない.また, 300 kg の制限でも,11 個の衛星しか搭載ができず, 47.3 m2 の有効断面積となる. 2. 2. 2 傘型デブリ除去衛星 次に,第6 図に示す傘の骨組みを参考としたデブリ除 去衛星の構造を考案する.この構造の除去衛星は,軌道上 における展開時には円形の平板となる. 本研究では,ヨー軸周りの回転による安定を目指すので はなく, 衛星に掛かる重力傾斜トルクを利用し,( 1 ) 式で 得られたパラメータを基に,第7 図におけるLagrange 安定領域か,DeBra-Delp 安定領域を利用して展開面をつ ねに衛星の進行方向に向けられるよう,平板型除去衛星の サイズを決定する ( 3 ) 〜 ( 6 ). K I I I y p r y = I I . I p y r = . Kr , Kp , I I I r y p = . … ( 1 ) K r :ロール軸安定化パラメータ K p :ピッチ軸安定化パラメータ K y :ヨー軸安定化パラメータ I r :ロール軸慣性モーメント I p :ピッチ軸慣性モーメント I y :ヨー軸慣性モーメント サイジングの結果,円の傘では,除去衛星単独の有効断 面積40.7 m2 となる.ポリイミドフォイルの質量は15.14 kg であり,総質量は51.4 kg となる.群衛星としての運用で は,200 kg の制限では3 個の除去衛星の搭載が可能であ り,総有効断面積は,122.1 m2 となる.300 kg の制限で は5 個の除去衛星の搭載が可能であり,総有効断面積は, 203.5 m2 となる.第8 図に,群衛星として運用された傘 第4 図 紙風船型デブリ除去衛星群 Fig. 4 Group of “paper balloon” type ODR satellites 第5 図 フェアリング内搭載時の除去衛星( 平面図) Fig. 5 ODR satellite in payload fairing : top surface 第6 図 傘型のデブリ除去衛星 Fig. 6 ODR satellite: “umbrella” type ( a ) 1 枚の正方形から 成形された紙風船 ( b ) 展開前の紙風船 型除去衛星 ( c ) フェアリング搭載 時の除去衛星 第3 図 紙風船型デブリ除去衛星 Fig. 3 “Paper balloon” type orbital debris removal satellites