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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 69 箱の中に収める.これを,フェアリング内に5 個,第16 図に示す形で搭載する.カバーの箱同士は1 辺を接続し てあり,軌道上で1 本の直方体に展開するような機構を 備えておく.今回,5 個のロールとした理由は,ロールの 数を増やすことよりも,ロールの直径と巻き数を増やす方 が,より展開面積の増大が図れることが分かったためであ る. このロール型デブリ除去衛星は,第17 図に示すよう に,軌道上でフォイルを99.5 m2 展開可能である.フォ イルの質量は37.0 kg となり,総質量242.8 kg であり, これは300 kg の制限内に収まる.これを200 kg の制限 と照らし合わせた場合,4 個のロールを搭載でき,79.6 m2 の面積を展開できる.フォイルの質量は29.6 kg となり, 総質量は194.3 kg となる. 2. 3 各展開機構トレードオフの総合評価 デブリ除去衛星群の運用は,衛星群の離散をどう防ぐ か,衛星のフォイル部が進行方向から見て重ならないよう に配置を保つことが可能かなど,問題が多い.そのため, 本トレードオフでは衛星群としての運用が必要な展開機構 は低く評価している.第1 表に各展開機構トレードオフ 評価を示す. 展開可能面積と質量を比べた結果,今後も継続した研究 が多く必要であるものの,紫外線硬化樹脂を用いたロール 型の展開機構の評価が高く,次いで,傘型を高く評価でき ることが分かった.引き続き,紫外線硬化樹脂を用いた ロール型展開機構を使用した場合を想定して,デブリ除去 効果の検証結果を述べる. 3. デブリ除去衛星の投入軌道 デブリクラウドがデブリ除去衛星に多く衝突する軌道と して,破砕した親物体と同じ軌道と,その軌道のカウンタ 軌道の二つが考えられるので( 第18 図),この二つの軌 ( 注 ) :デブリ除去衛星 :デブリ ( a ) 順行軌道( b ) 逆行軌道 第18 図 デブリ除去衛星の投入軌道 Fig. 18 Injection orbits of ODR satellites 第16 図 フェアリング搭載時のロール型デブリ除去衛星 Fig. 16 Roll-type ODR satellite in payload fairing 第17 図 軌道上で展開されたロール型デブリ除去衛星 Fig. 17 Roll-type ODR satellite after deployment 第1 表 各展開機構トレードオフ評価 Table 1 Trade-off analysis for each deployment mechanism 展開機構区分 単独での 200 kg 制限下 単独での 300 kg 制限下 群衛星での 200 kg 制限下 群衛星での 300 kg 制限下 衛星群運用総合評価 展開面積 ( m2 ) 質 量 ( kg ) 展開面積 ( m2 ) 質 量 ( kg ) 展開面積 ( m2 ) 質 量 ( kg ) 展開面積 ( m2 ) 質 量 ( kg ) 紙風船型4.3 25.9 4.3 25.9 30.1 181.3 47.3 284.9 あ り× 傘型40.7 51.4 40.7 51.4 122.1 154.2 203.5 257.0 あ り△ 小円筒型1.95 7.8 1.95 7.8 37.1 147.5 37.1 147.5 あ り× ロール型79.6 194.3 99.5 242.8 − − な し○