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IHI 技報 Vol.54 No.3 ( 2014 ) 73 200 kg,300 kg の質量制限があった場合の二つの有効断 面積,質量を用いて計算を行った.順行軌道,逆行軌道の 比較,また,どの領域のものが除去できているのか定性的 な違いを調べるため,自然浄化されたものとデブリ除去衛 星が除去したものの高度分布を作成した.最後にデブリ除 去衛星の軌道投入時期を,破砕発生直後,破砕発生10 日 後,破砕発生30 日後の3 ケースで調べ投入時期が違う ことでどの程度効果に差がでるのかを計算した. 5. 2 投入軌道の違いによる比較 第23 図に有効断面積99.5 m2 と79.6 m2 のデブリ除去 数について順行軌道,逆行軌道での結果を示す.デブリ除 去数の比較結果を第5 表に示す.これより逆行軌道にデ ブリ除去衛星を投入した方が大きな除去効果が得られる. 5. 3 デブリ除去衛星の有効断面積による比較 すでに触れた第23 図に,5 日ごとのデブリ除去衛星の デブリ除去数の推移を示す.図中の青色の線は有効断面積 99.5 m2,黄色の線が79.6 m2 の逆行軌道投入時の計算結 果を示す.傾向はほぼ変わらず,除去効果は99.5 m2 が 僅かながら高い.傾向として40 日ごろから効果は減少 し,2 か月ごろに最小となる.その後効果は回復し半年ご ろに再び極大となる. 本研究では,デブリ除去衛星自身も摂動を受けて動くこ とを考慮している.このため1 年間で検証を行っている が,以降も摂動を受けてこの周期を繰り返すことが分かる. 5. 4 除去されたデブリの高度分布 自然浄化されたデブリと,デブリ除去衛星によって除去 されたデブリの高度分布について解析した結果を以下に述 べる.第24 図は横軸に高度,縦軸に個数をとり,除去さ れたデブリの高度分布を出力したものである.自然浄化さ れるものとデブリ除去衛星に除去されるデブリとではその 空間領域にほとんど差がないことが分かった.ただし,今 回の解析では破砕後1 年間のうちに「自然浄化されな かったデブリ」を除去対象としているため,単純に両者 を比較し自然浄化の1%しかデブリを除去できていないと いう訳ではない. 第25 図に示した結果から,破砕事象が発生した高度よ 100 000 10 000 1 000 100 0 10 50 100 150 200 250 300 350 日 数 ( d ) 5 日ごとに除去されたデブリの個数 ( 個) :順行軌道有効断面積99.5 m2 :順行軌道有効断面積79.6 m2 :逆行軌道有効断面積99.5 m2 :逆行軌道有効断面積79.6 m2 第23 図 順行軌道,逆行軌道の除去効果 Fig. 23 Removal effectiveness for prograde and retrograde orbits 第5 表 投入軌道によるデブリ除去数比較結果 Table 5 Results of comparison of number of pieces of removed debris with injection orbits of satellites         投入軌道有効断面積 ( m2 ) デブリ除去数 ( 個) 順行軌道99.5 17 604 順行軌道79.6 14 083 逆行軌道99.5 105 015 逆行軌道79.6 84 029 ( a ) 自然浄化( b ) デブリ除去衛星 400 600 800 1 000 1 200 1 400 1 10 100 1 000 10 000 100 000 高 度 ( km ) 除去されたデブリの個数 ( 個) 400 600 800 1 000 1 200 1 400 10 100 1 000 10 000 100 000 高 度 ( km ) 除去されたデブリの個数 ( 個) ×103 第24 図 除去されたデブリの高度分布 Fig. 24 Altitude distribution of removed debris