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Project   Story

個人の技量と総力戦で挑む、イプシロンSロケット開発の舞台裏

日本の新型基幹ロケット・イプシロンSの開発プロジェクトが始まったのは2018年。IHIエアロスペースのイプシロンシリーズの最新型で、ペンシルロケットから続く日本の独自技術を継承する固体燃料ロケットである。その特徴は、液体燃料ロケットに比べるとコンパクトで安価に打上げができる点にあり、それを可能にしているのが、数多くのスタッフの努力と情熱だ。
この日集まったのは、3名のメンバー。3名とも2021年度以降の入社であり、プロジェクトには途中からの参画となっているが、いずれも若手ながらもロケット開発の中核を担っているスタッフ達である。

Y.O
Y.O

制御設計

2023年度入社

宇宙輸送事業推進部
システム技術グループ

大学で学んだ電気や制御の研究を活かし、ロケットがまっすぐ飛ぶための制御系設計・解析業務に従事。現在は飛行経路の設計にも関わる。

L.K
L.K

飛行経路設計

2021年度入社

宇宙輸送事業推進部
システム技術グループ

宇宙飛行士の若田光一さんに会った経験から、宇宙開発に携わる仕事を志す。ロケットが安全に飛ぶルートと、その条件を検証する飛行経路設計に携わる。

M.M
M.M

構造設計

2021年度入社

宇宙輸送事業推進部
ロケット技術グループ

マンガ『宇宙兄弟』の影響から、宇宙工学の道を志す。ロケットの構造設計に従事し、主にイプシロンSロケットを担当する。

長年に渡るロケット開発は、,メンバーの総力戦で挑む

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長年に渡るロケット開発は、メンバーの総力戦で挑む

L.K
「ロケットの開発はまず、求められる搭載物とその規模から、コンセプトやサイズを決めます。続く設計には3つのフェーズがあり、概念設計、基本設計、詳細設計と、順を追ってより精密な内容を詰めていきます。現在はまさに最後のフェーズである詳細設計に合わせて作られた部品を、順に発射場に送っている大詰めの段階です」
飛行設計を担当するL.Kはそう語る。さまざまな開発フェーズの積み重ねに、年次を問わず協力し、総力戦で挑むのがIHIエアロスペースのロケット開発の特徴だそうだ。
M.M
「私は構造設計を行っています。特に、ロケットに搭載する機器の搭載構造やロケットの各段同士の分離機構を担当しています。実際のフライトでは、機体や部品に凄まじい負荷がかかりますので、設計においては耐荷性を保ちつつ、小さく軽量な構造を検討していくことが求められます。また試作品にさまざまな試験を行い、設計意図や必要な機能を発揮できるかを確認し、浮き彫りになった課題を各所にフィードバックしていきます」
ロケットの構造設計を担当するM.Mによれば、その飛行経路を設計することも、ロケット開発における重要なタスクなのだという。ロケットの主な役割は、目的の軌道上に荷物を運ぶことだからだ。
L.K
「飛行経路と聞くと、ロケット打上げのライブ映像に出てくるようなモニター上の飛行コースシミュレーションを想像するかもしれません。まずは、万が一事故が起きても地上に被害を及ぼさないルートの考案などを行います。ほかにも、目的の軌道に届くかの検証や、飛行中に壊れるような力や熱は発生しないか、その飛ばし方は性能上可能かなど、安全を踏まえた飛ばし方の設定が、この分野における飛行経路の設計なんです」
飛行経路のシミュレーションと並行して、制御系の設計が行われる。ロケットの姿勢制御は、Y.Oの担当領域だ。
Y.O
「制御系設計とは、ひと言で言えばロケットがフライト中にひっくり返らないようにするバランスの調整です。ロケットは下部に付いているノズルという機構から燃焼ガスを噴射して飛ぶのですが、機体の傾きに対してノズルをどれだけ動かすかを考えます。機体が飛行経路設計で作成したルート通りに進めるよう、機体の姿勢を変えて進行方向を曲げるロジックの設計解析を行います」
「正直、壁の連続です」,開発とは、幾多のハードルを,乗り越える日々

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「正直、壁の連続です」開発とは、幾多のハードルを乗り越える日々

このように各部署がチームとして連携し、互いにフィードバックし合いながら、イプシロンSが完成へと導かれていく。しかし、長年にわたるロケット開発の道のりは、そうたやすいものではないようだ。
M.M
「開発を進めていると壁にぶつかることがありますが、さまざまな人と協力しながら、本当に地道に解決していくんです」
Y.O
「正直、壁の連続です。開発途中、横風など特定の条件下で飛行中の機体がひっくり返る可能性が判明し、設計や解析をいったんやり直さなくてはならなくなったこともありました。制御と飛行経路のスタッフで協力してあれこれ検証した結果、飛行経路の再設計によって解決することが出来ました。設計開発は、常にこうした想定外の出来事と隣り合わせです。色々な人の力を借りながら、少しずつ前に進めています。L.Kさんの島はいつも和気あいあいとしていて明るいんですよね。そういった雰囲気にも助けられています」
L.K
「ひとつ壁にぶつかると、ほかのところに波及して壁が増えていきます。たとえば飛行経路の検証においては、ロケットの理想ルートと誤差の範囲を検証するとき、どうあがいても許容範囲に収まらない誤差が出てきたことがありました。それまでの解析とも傾向が違ったため、変更すべき箇所を確認するために、各項目の有識者に訊いて回りました。そして原因を突き止めては調整することを繰り返し、ついに誤差の影響を抑え込むことができました。そのときはY.Oくんに、本当にお世話になりました」
Y.O
「いえいえ、お互い様ですから(笑)」
それは、なにもない荒野を開拓する仕事。,ロケット作りで得られる手応え

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それは、なにもない荒野を開拓する仕事。ロケット作りで得られる手応え

壁を乗り越える作業とは、あらゆる事態を想定し、万が一のリスク要素を消していくこと。この慎重さが、実際の打上げにおいて失敗の許されないロケット作りには求められる。それらを打破する小さなブレイクスルーの連続こそが、この世にまだない新型ロケットを形にしていく。
M.M
「設計のみならず、試験も大切です。確認事項やデータの整理をし、試験の手法や計測など、試験計画を念入りに固めていきます。実際の試験は多くのスタッフが関わりますから、その調整も重要です。そうしたことをこなし着手した試験が無事完了したときには、製品設計から試験準備、実施までの一連の努力が報われたような気持ちになります」
Y.O
「ひとつの節目を迎えたとき、今初めからもう一回設計をやったらずっと早くできるだろうなという気持ちになるんですよね」
L.K
「ロケット作りは、なにもない荒野を開拓するような感覚で進みます。ひとつのハードルを越えたとき、まず安堵が訪れて、『前より詳しくなれたという喜び』を噛みしめます。ロケットというのは本当に多くの部品から構成されていて、それら全てが正常に動作するような飛行経路を定めることは至難の業です。設計途中でパラメータが変わったり、条件や制約が変わったりなど、ロケット機体とそれを取り巻く環境は日々変化していきますから」
目指すは年間10本の打上げ。,和気あいあいとしたプロ集団が,挑む、次の目標

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目指すは年間10本の打上げ。和気あいあいとしたプロ集団が挑む、次の目標

国際的な宇宙開発競争が高まる中、「2030年代前半までに、年間30本のロケット打上げ能力を確保する」ことが国の基本方針として打ち出されている。それに合わせ、イプシロンSロケットも、2030年には年間10機の打上げ能力を持つことを目標に掲げているという。3名は未来を見据えて、何を想うのだろうか。
M.M
「ロケットの量産化が必要となるため、製造しやすい機体構造を実現できるような設計をすることで、目標達成に向けて貢献していこうと考えています」
L.K
「現在運用中の射場だけでは能力不足で、新たな打上げ環境の整備が検討されています。試験の度に飛行経路も制御系も変動がありますから、恐らく、私は今後も継続的に関わり続けると思います。だからこそ経路については、訊かれたら答えられるプロフェッショナルになっていきたいし、わかりやすく説明できるようになりたい。“教わる側”から“教える側”として、もっと成長していきたいです」
Y.O
「デジタル化をさらに進め、パラメータの主従関係やバージョンを簡単に追えるようにし、ミスなく解析を進められるような取組みを進めています。制御系から飛行経路に仕事の幅を広げ始めたばかりですが、その分野の理解も深めたい。より広い知識を付けて、解析できるようになりたいと思っています」
Y.O自身は、もうひとつ目標があるらしい。
Y.O
「出張にも行きたいです。同期が種子島に行ってH3ロケットの打上げを見たそうで、ぜひ一度自分たちが携わったロケットの打上げを、この目で見ておきたいんです」
L.K
「“教える側”としてひとつY.Oくんにアドバイスするなら、実は若手のころの方が打上げを見に行く機会は多いんだよね。年次を重ねると難しい作業を割り振られて、現地で見られないケースが増えていくから、今のうちに『行きたい』と言っておくといいよ」
Y.O
「なるほど、勉強になります!」
繊細かつイノベーションに溢れたロケット開発は、メンバーの明るい情熱と、和気あいあいとした雰囲気に彩られ、今日も群馬県富岡市の一角で日々行われている。
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