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第54巻 第1号(平成26年3月発行)新技術・新製品特集号

1.巻頭言

巻頭言

技術開発本部 副本部長 村上晃一

2.センター長が語る

センター長が語る

株式会社IHI 車両過給機セクター 技術統括センター センター長 鬼束和宏

3.我が社の看板娘

我が社の看板娘1

株式会社IHIエアロスペース

2013年9月14日午後2時0分.白い軌跡を残しながら青空を切り裂き,イプシロンロケットが一直線に宇宙に飛び立った.予定どおり惑星分光観測衛星「ひさき」を目標とする軌道に投入し,固体燃料式ロケットによる衛星打ち上げを,国内では7年ぶりに成功させた.このロケットは,M-Vロケットの後継機として,株式会社IHIエアロスペースが機体システムを担当した.新たに開発した発射管制システムにより,今後ロケットの射場整備期間は大幅に短縮される.

我が社の看板娘2

株式会社IHI

今,各種の工場では100℃未満の温水が利用されず,廃熱として捨てられている.この使われていないエネルギーから電気を生み出す,小型バイナリー発電装置を開発した.

我が社の看板娘3

株式会社IHI

原子力施設の除染・解体において洗浄汚染水による二次汚染と液体廃棄物の処理コスト増が大きな課題である.ナイトロジェットは液体窒素を使うことでこれらの問題を本質的に解決する除染・解体の切り札として期待されている.

我が社の看板娘4

株式会社IHI

LNG(液化天然ガス)を利用する社会的要請が高まり,LNG基地の安定操業の重要度が増している.プラント運転技術力の維持向上や技術伝承のための「運転訓練用」と,設備増設・更新工事時の「事前検証用」として,限りなくプラント実機を再現した運転訓練シミュレータを開発するとともに,これまでにない発電設備側の運転シミュレータとの連携訓練を実現させた.

我が社の看板娘5

株式会社IHIインフラシステム

局地的に1時間に100mmを超えるゲリラ豪雨が大都市を中心に社会問題化している.河川流域における雨水の直接流入を緩和する対策として,地盤の保水機能を回復させる施設が求められている.

4.我が社のいち押し技術

我が社のいち押し技術1

株式会社IHI

ものづくりにおいて,作業の自動化は生産性向上や品質の安定化の実現など,多大なメリットがある.しかし,精密仕上げと呼ばれる工程は,熟練技能者の長年にわたる経験から得られた繊細な力の感覚と勘を頼りに作業をせざるを得ない領域であり,自動化は難しいと思われてきた.IHIは,これまでに培ってきたロボット制御技術とシステム化技術を組み合わせることにより,精密仕上げ作業を自動で行えるロボットシステムを完成させた.

我が社のいち押し技術2

株式会社IHIエアロスペース

燃料電池は環境に優しいエネルギーとして家庭用ではすでに市販され,2015年には燃料電池自動車も市販されると言われている.航空機でも油圧や空圧などの動力をすべて電気にする動きがあり,電源の一つとして燃料電池が考えられている.IHIグループでは再生型燃料電池の開発に注力しており,2012年ボーイング社と共同で,世界に先駆け,再生型燃料電池搭載機の飛行実証試験に成功した.

我が社のいち押し技術3

株式会社IHI

物質をすり抜ける透過の力と,物質の成分や種類を見分ける透視の力を併せもつテラヘルツ波は,発生と検出が困難で,最後の未開拓の電磁波とも言われていた.超短パルスレーザーを活用しIHIが開発したテラヘルツ分光分析技術により,テラヘルツ波の利用が夢ではなくなった.

5.箸休め

箸休め

技術開発本部 内田博幸

6.論文

論文1

下浦美那,辻本圭史,森田康志,大依 仁

近年,モデルベース開発の適用は組込みシステムに対して広がりつつある.モデルベース開発は,上流工程でのシステムレベルの不具合検出や,要求トレーサビリティ確保の容易さなどの点において,開発をより効率化できることが期待される.本研究ではロケット電子制御システムのソフトウェアに対して開発をより効率的,効果的に進めるためのモデルベース開発の実用化について試行した.制御設計の開発で課題である制御モデルでの検証(MILS)に対し,実機を用いた制御設計の検証(HILS)との組合せ工程の時間短縮の効果測定によって,従来と比べて後戻りの少ない設計が可能であるモデルベース開発の有用性が確認された.次に,制御モデルから自動生成するコードは,手動によって実装したコードの性能上の有意差および,ハードウェア性能への影響が小さいことが確認された.そのため手動によるコードと同レベルの品質を確保しながら開発の短縮化などに貢献することが確認できた.本稿では,これらの評価結果を示しながら,株式会社IHIエアロスペースにおけるモデルベース開発に対する取組みと,今後の課題について述べる.

論文2

宮﨑繁文,富田宣子,福島高夫,岡本久夫,高橋克巳

株式会社IHIエアロスペース・エンジニアリングではオゾン分解触媒,メタン分解触媒,脱臭触媒や酸化反応を利用した触媒の開発・製造を行っている.近年では窒素酸化物の排出に対して規制が強化され,特にディーゼル車の排ガス処理用触媒が注目されている.窒素酸化物の主要な処理法に,アンモニア(NH3)を還元剤として窒素酸化物(NO, NO2)を窒素(N2)に分解する選択触媒還元法(SCR:Selective Catalytic Reduction)があり,ディーゼル車の排ガスのようにNO2が主成分の場合は,反応速度が遅い還元反応になる.今回,NO2主成分でも活性の高いFe/ゼオライトを塗布したハニカム触媒を開発した.このハニカム触媒の高い活性や特徴を,従来の固定系の排ガス処理用の酸化チタン系ハニカム触媒と比較して紹介する.

論文3

中村善彦,鈴木 透,山内昭弘,広川清司,高林和生,塩永亮介

近年,気候変動に伴う集中豪雨によって都市部を中心に浸水被害が増加している.このような都市災害の低減や雨水の有効活用を目的とした施設として,IHIグループでは新しいプラスチック製地下雨水浸透貯留槽を開発した.技術的な課題は,より広い貯留空間を確保できること,ブロック同士の組立が容易なこと,耐震性も含めた十分な強度をもつこと,であった.これらを達成するためブロックの新規設計を行うとともに,強度特性を把握する各種試験や有限要素法による解析的評価を実施した.

論文4

中島富男,佐藤英一,津田 浩,佐藤明良,川合伸明

光ファイバセンサの一つであるFBGセンサを宇宙用固体ロケット複合材モータケースの構造健全性監視に適用する研究を行った.研究成果として,多重発振させたファイバリングレーザを採用し,多点のFBGセンサによって1%までのひずみを計測しながらアコースティックエミッション(AE)も計測可能なシステムを製作した.開発したシステムは広帯域光源を使用し,高速なひずみ計測も可能である.システムの評価の一環として,イプシロンロケット開発中のモータケース耐圧試験の一部に適用した.

論文5

白石浩一,南 俊一,古寺正識

タグボートは船体に対して大出力の推進用主機関を有しているが,稼働時間の多くは低負荷で使用される.タグボート全体をシステム効率の良い状態で稼働させるには,動力の複合化が必要であると考え,ハイブリッド推進システムを開発した.本システムは,エンジンとモータおよびリチウムイオン電池を用いた推進システムであり,従来機構に比べ燃料消費量およびCO2排出量は,目標の20%低減を達成できた.2013年3月に,日本初のハイブリッドタグボートが就航した.リチウムイオン電池はタグボート内の発電機で充電できるほか,停泊場岸壁に設置された給電設備からも充電が可能である.

7.報告

報告1

榎本 聖

アメリカテキサス州Sandy Creek発電所向けに納入した超臨界圧ボイラの計画と運転実績を報告する.本ボイラは,高水分で低灰融点が特徴であるアメリカ西部亜瀝青炭に各種配慮を払った同炭の専焼ボイラであり,かつアメリカ最大級の容量となる高効率な超臨界圧ボイラである.本プロジェクトを通して,超臨界圧ボイラで高水分亜瀝青炭専焼に対応できることが検証できた.今後,この成果を活用し,国内外の石炭焚きボイラに対する適用炭種の拡大および高効率化の要求に応える製品,技術を提供していく.

報告2

佐藤勇太,高野伸一,海宝 哲,平山功一

当社は,高発電効率を実現するUSC(超々臨界圧)ボイラの技術および豊富な運転実績をもち,近年重要な役割を担っている石炭火力発電のCO2排出量削減とランニングコストの削減に貢献している.2013年7月にお客さまへ引き渡したドイツのリューネン発電所(発電端出力813MW)は,USCタワー型ボイラを採用し,低位発熱量ベースで約46%という世界最高クラスの送電端熱効率を実現した.当社は,ボイラEPCコントラクタとして本発電所の建設に携わり,ボイラおよび環境設備の設計,製作・調達,据付け,試運転を一貫して実施した.本稿ではプロジェクト概要,USCタワー型ボイラの計画概要と特徴,および試運転実績を紹介する.

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