R&D TOPICS
航空機電動化によるCO2の低減
航空機のCO2排出削減が世界的に重要な環境問題となりつつあり、航空機・エンジン電動化システム(MEAAP:More Electric Architecture for Aircraft and Propulsion)が注目を集めています。
航空機の電動化は、燃費の改善にとどまらず、エネルギー供給のための複雑な油圧系統、空気圧系統、機械式機構が不要となり、設計自由度の向上、整備性の向上および質量軽減が可能となります。
一方で、航空機の電動化を実現するには、大容量発電機をエンジンに搭載する方法、またエンジンの排熱に対する発電機の耐熱性が技術課題です。
I H I ではそれらの課題解決に向けて、エンジン内蔵型電動機、自律分散空冷システム、電動燃料システムなどの開発に取り組んでいます。
それぞれの開発は試作、評価試験段階にあり、機体メーカーや機体部品供給メーカーから高い評価を受けています。
構内重量物搬送の省力化・自動化
製造事業所や物流貨物ターミナルなどの構内では、構内車両による工場-倉庫間、荷揚げ降ろし場-仮置き場間などの搬送が頻繁に行われています。しかし、近年のドライバ不足から物流システムを維持できなくなる懸念が生じています。
屋内の物流システムでは、さまざまな自動化ソリューションが提案されていますが、屋外では有効なソリューションが殆どありません。そこで I H I では、特に屋外を含む構内重量物搬送に着目しました。これまで防衛・災害対応分野で培ったロボット・無人車両技術をもとに、NEDO助成事業で実走行データを得ました。その成果を活用して、構内車両にアクチュエータ、センサ、制御・通信装置などを装着して自動搬送させるシステムの開発・実用化・事業化を進めています。
I H I は重工メーカーとして、大型・重量物を扱う物流システムの構築に強みを持っています。開発中の自動搬送システムを従来の物流システムに統合することで、搬送に留まらず、構内物流全体を省力・効率化するソリューションへの発展を目指しています。
IHIグループ共通のIoTプラットフォーム
I H I グループでは、お客さまに納めた製品や工場内設備の稼働データの分析・活用することによる、お客さま価値の創造に取り組んでいます。この取り組みを支えるのが
I H I グループ共通のIoTプラットフォームILIPS®(IHI group Lifecycle Partner System)です(※)。
ILIPSに蓄積される稼働データを分析することによって、より早く故障を検出するための情報や設備の最適な運用につながる情報など、より価値の高い情報を抽出することができます。この付加価値の高い情報をもとに、設備の効率的運用サポートや新しいビジネス提案などの新しい価値を創造・提供します。
お客さまに適した価値のあるサービスを、よりスピーディに提供できるように、ILIPSの高度化に取り組み続けます。
- I LIPSに搭載されているAIやデータ分析機能などを目的に応じて組み合わせ、お客さまの多様なニーズにお応えしています。
- お客さまや社外のシステム・データ・プラットフォームとのスムーズな連携により、エコシステム構築とデータ利活用を促進します。
- 安心して利用いただけるよう、強いサイバーセキュリティと、高い可用性・信頼性を常に維持しています。
※ILIPSとの接続機器・設備は1,000台超(2019年度4月時点)
お客さま価値を創造するデータ解析技術
世界各国のお客さまに納めた I H I 製品の稼働データを収集・分析することで、新しい価値をお客さまにご提供します。製品の設計・製造や研究開発、保守・サービスで培った知見にもとづく独自のデータ解析技術や、実際の製品への効果的な適用ノウハウを強みとし、多種多様なI H I 製品に適用しています。
例えば、故障予兆検知において、検知精度の低下の要因となる季節変動のような運転環境の変化がある場合でも、瞬時に高い精度で検知する技術や、保守記録などのテキスト情報からAI・機械学習を用いてベテランのノウハウをメンテナンス作業に活用する技術など、様々なデータ解析技術を開発し、お客さま価値の創造につなげています。