Project Story #02 モザンビークの電力不足の解消へ──。
ガス焚き複合火力発電所建設プロジェクト。

Chapter #01

モザンビークとの友好の歴史に
新たな一歩を刻む

アフリカ東南部に位置するモザンビーク共和国。インド洋に面した美しい海岸線には人気のビーチが点在し、沖合にはジュゴンなどの希少な海洋生物が生息していることでも知られる。
日本から遙か遠く離れた国であるが、実は日本との交流の歴史は古く、外交関係を樹立して既に40年以上が過ぎている。それ以前にも戦国時代の1586年にヨーロッパに渡った天正遣欧視察団は、日本への帰路にモザンビーク港に寄港し、6ヵ月滞在した。彼らはアフリカの地に降り立った最初の日本人とされている。
このように実は古くから関係を深めてきた日本とモザンビークだが、そうした友好の歴史に、2018年、新たな一歩が刻まれた。モザンビークの国営電力公社向けのガス焚き複合火力発電所が完成したのである。
プロジェクトは、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの円借款を活用し2016年2月の契約調印から2018年8月の引渡しまで、30ヵ月に渡った。このプロジェクトで力を発揮したのが、IHI原動機の精鋭メンバーだった。

Chapter #02

モザンビークの
経済的発展を支えるために

話は2012年にさかのぼる。
モザンビークは日本の約2.1倍もの広大な国土をもち、約2,800万人が暮らしている。東アフリカの貿易拠点でもあり、天然ガスや石炭など豊富な天然資源の産出国であることを背景に、年率7~8%という高い水準の経済成長率を誇っている国だ。
当然のことながらそれに伴って電力需要も急増。しかしながら、主要な発電所は北西部にある水力発電所のみ。特に首都マプトの電力需要は平均18%で急増することが予測されており、発電所建設は喫緊の課題となっていたのだ。
こうした状況を受けて、2012年から2013年にかけて日本のエンジニアリング会社によるガス焚きコンバインドサイクル発電設備導入のフィジビリティ・スタディ(FS)が実施された。具体的には発電出力・発電効率・発電設備用地など多岐に渡る評価が行われたのである。
そして、その最終レポートの中で推奨されたのが、IHI原動機のガスタービン・コンバインドサイクル発電設備の導入だった。電力系統が整備されていないモザンビーク南部では、北西部の水力発電所から直接電力供給を受けることはできず、南アフリカからの輸入に頼っている。そうした状況だからこそ、首都マプトで郊外での発電所建設プロジェクトに寄せる人々の期待は非常に大きいものだった。
だが、実際にプロジェクトがスタートすると、様々な想定外のアクシデントが待ち構えていたのである。

Chapter #03

様々な想定外の
困難を乗り越える

プロジェクトはモザンビーク電力公社(EDM)向けに、モザンビークの首都マプト郊外で100MW級ガスタービン・コンバインドサイクル発電設備を建設するというものだ。契約調印以降、設計、製作・調達を経て、いよいよ現地建設エリアの土木工事が始まった。
プロジェクトのメンバーがまず直面したのが、言葉の壁であった。モザンビークの母国語はポルトガル語である。そのため官公庁との意思疎通には大変な苦労を強いられた。それに加えて文化や商習慣、時間に対する感覚の違いなども大きな障害となり、例えば就労手続きや建設許可などの諸申請手続きには、予想以上に手間がかかってしまった。こうした点は海外のプロジェクトにはつきものといえるだろう。
やっかいだったのは、自然環境についても同様だった。
アフリカ南部の干ばつによりマプト市内に取水制限がかかり、現地工事・試運転に必要な水量が得られずに外部から購入せざるを得ないことがあったほか、多くの現地作業者がマラリアに罹患してしまったのである。もちろん安全衛生管理は徹底していたが、それでも患者の出ることは防げず、工程にも影響が出るほどだった。
こうした苦難に直面しつつも、「モザンビークの人々のために、日本を代表して発電設備を提供する」という使命感のもと、プロジェクトメンバーたちは発電設備の建設に取り組んでいった。

Chapter #04

日本人としての誇りを胸に

多くの困難を乗り越えながら機器の据え付けは完了し、現地試運転工程を経て、系統への初送電が実施された。その後、プラント性能が契約値を満足することが確認され、28日間の信頼性確認運転ののち、プラントは引き渡しとなった。契約工期内かつ無災害で完了することができたこのプロジェクトは、「さすが日本人」との賞賛を浴びることができた。
IHI原動機はこれまで、設計・調達・建設までを一貫して手がけるEPCコントラクターとして、日本・タイを中心にガスタービン・コンバインドサイクル発電設備を納入してきた。その実績をもとにプラント運転技術をモザンビーク人に伝承するためのトレーニングも実施。あわせてプラント引き渡し後の2年間はIHI原動機の技術者が駐在し、プラント運転・保守の支援を行うこととなった。
モザンビークの経済発展を支える上で不可欠となる、ガスタービン・コンバインドサイクル発電設備。発電所の開所式にモザンビーク大統領が臨席されたことは、このプロジェクトに対する同国の感謝の深さを示しているようだ。

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