働きやすさを支える両立支援制度。
豊富な選択肢で積極的な育児参加へ
PROFILE
株式会社IHIターボサービス
管理部
後藤 雅子
2014年4月にIHI車両過給器SBUに入社し、海外拠点向けのターボチャージャー関連商品の販売業務に従事。2021年4月より販売業務の移管にともないIHIターボサービスへ出向中。
2016年10月から6カ月間、2021年1月より2カ月間の育児休業を取得。
株式会社IHIエアロスペース
営業部 防衛営業グループ
前田 結姫
2017年2月にIHIエアロスペースに入社し、富岡事業所にて航空機関連素材販売の営業に従事。2019年4月より豊洲本社に異動し、外部顧客向けの営業に従事する。
2018年6月より10カ月間の育児休業を取得。
株式会社IHI
資源・エネルギー・環境事業領域 原子力SBU
システム設計部 プロセス設計グループ
角田 大輔
2014年4月にIHIへ入社。原子力SBU 機器設計部において、化学プラント向け反応器の設計に従事。2018年に業務の移管にともない資源・エネルギー・環境事業領域の事業開発部へ異動。2021年に原子力SBU システム設計部へ異動し、原燃サイクル事業,福島第一原発廃炉事業の設計業務に従事する。
2021年12月より1カ月間、育児のための復活年休制度を利用。
後藤 私は2016年10月から6カ月間と、2021年1月から2カ月間の2度、育児休業を取得しました。育児休業の制度は、こどもが1歳到達後の4月末まで取得でき、さらに長い期間の取得も認められています。しかし、私自身が家にずっといたいタイプではないところもあり、できるだけ早く復帰したいという思いがありました。そのため、どちらも保育園に入れる4月を機に復帰しています。
前田 育児休業の取りやすさ、取りにくさの点で何か感じられましたか?
後藤 周りにも育児休業を取られる方が多かったので、嫌がられるといったことはありませんでしたね。ただし、私の場合は取得期間が短かったので、育児休業期間中の人員補充がなく、同僚に負担をかけてしまう形になってしまったんです。それもあってなるべく早く復帰しようとは心がけていました。
前田 最初の育児休業から4年後に2度目を取得されていますが、この間に育児休業の制度が変わった点はありましたか?
後藤
制度の変化はありませんでしたが、2度目のタイミングではコロナの影響もあって、在宅勤務がしやすくなっていましたね。1度目のときは育児休業明けは毎日出勤していましたが、2度目のときはテレワークを挟みながら少しずつ戻していけました。復帰したてのタイミングでは長時間預けにくかったので、在宅勤務させてもらえるのはありがたかったなと思っています。他にベビーシッターサービスの費用補助もあったので、そちらも併用していました。
前田さんは入社約1年で育児休業を取得されたそうですが、スムーズに育児休業に入れましたか?
前田
そうですね。正直「こんなに早い時期に育児休業に入るのは風当たりが強いかな」と思っていたんですけれども、全く抵抗なく取得できました。当時の部署は同年代の女性が多い環境だったこともあり「おめでとう」という雰囲気で気持ちよく送り出してもらえました。
育児休業を取得した経験者が多かった影響も大きかったと思います。いろいろ相談に乗っていただけましたし、サポートもしていただけました。当時はあまり会社の制度を理解していない面もあったのですが、育児休業取得経験がある方々から「こうしたほうがいいよ」「こういう制度があるよ」と、育児休業に関わる情報をたくさん提供していただけて、本当に助かったなと思っています。
後藤 周囲に女性が多いのはいいですね。復帰もしやすかったんじゃないですか?
前田 産休・育児休業に入る前は富岡の事業所で働いていたんですが、復帰後はパートナーの勤務地を鑑み、豊洲本社に移りました。それに伴って業務も少々変わりました。勤務場所や業務が変わったこともあって、無事に復帰できるか心配していましたが、あらゆる働き方を柔軟に受け入れる風土がありましたので、私の事情もすぐに理解していただけて、抵抗なく受け入れてもらえたと感じています。
後藤 角田さんは復活年休制度を利用して、育児のためにお休みを取られたんですね。
角田 はい。復活年休制度は、取得できずに消滅した年休を最大60日までためて育児や介護などのために使える制度です。先輩の中に1カ月まとめて取得した方がいましたので、自分ももしかしたら使えるんじゃないかと思い申請しました。
前田 思い切った決断だと思いますが、周囲の反応は何かありましたか?
角田 周囲からネガティブな反響は全くありませんでしたね。直属の上司に相談したときも「業務の調整をして準備を進めましょう」と、取得に向けて前向きにフォローをしていただけました。
前田 実際に1カ月間育児に集中していかがでしたか?
角田 今回復活年休を取得したのは、2人目の子どもの育児のためでした。1人目のときは育児休業を取得しなかったんですが、その時の妻の様子を見ていると、本当に大変そうで。それもあって、2人目のときは必ず取得しようと決めていました。実際に育児に参加してみた結果、妻が日頃どれだけ大変な思いをしているのか身をもって理解できました。私が育児に参加することで、実際に妻の負担は軽くなってくれたようです。育児休業を取ると決まった時は、近所に「夫が育児休業を取るんだ」と言い回るほどうれしかったみたいですよ。
後藤 奥様はとてもうれしかったと思いますよ。女性の立場からすれば、男性の育児休業取得はぜひ広がって欲しいと思います。社内でも「育児にはこんなに大変なことがある」という話はしますけれども、実体験として大変さを知ってもらえると、育児への理解がより深まると思います。
前田 全くの同感です。角田さんのように1カ月しっかり見てくれると、育児に必要なスキルの土台ができますよね。お風呂や寝かしつけなどのちょっとしたポイントでお願いできるようになるので、とても助かるなと思います。
角田 仕事面においても、男性の育児休業取得が増えると、育児にまつわる事情が理解できるようになるので、フォローしやすい体制が作りやすくなります。小さいうちは特に急な発熱なども多いので、早退で周りに迷惑を掛けてしまうこともあります。しかし、みんなでお互い様といえるような環境が作れれば、仕事もやりやすくなるんじゃないかと思います。
前田 育児休業を取得できてよかったと思っていますが、一方で仕事に対する向き合い方がちょっと変わったとも思っていまして。以前は「何でもできる!どこまでもいける!」という気持ちで、どんどん仕事をこなしていこうと考えていました。しかし、育児休業が明けていざ時短勤務になってみると、全てを自分で対応できなくなる事態に直面するようになりました。今はまさに自分ができるのはどこまでなのか、着地点はどこに設定できるのかという、働く上での考え方や目標を模索している最中です。
後藤
働き方は考えますよね。私も時間の管理が本当に難しくなったなと感じています。一方で、やっぱり仕事に対するやりがいも欲しいなと思っていまして。私は1人目の育児休業明けのときに、当時の上司にとても気を回していただいて、業務量を減らしてもらったんです。おかげで育児との両立はしやすくなったんですが、やりがいという面ではだいぶ物足りなさを感じるようになってしまったんです。
後日、上司にお願いして業務量を増やしてもらった結果、楽しく仕事に取り組めるようになりました。時間の管理は大変になりましたけど、積極的に仕事に参加できるという充実感があります。
角田
お二人の時間管理のお話、とても共感します。復活年休を取得する前は、時間を気にせず好きなように働いていましたが、今はどうしても時間が限られてしまいますね。遅い時間までの残業はしにくくなりました。
一方で、今後IHIにおける男性の育児休業取得が進むにつれて、男性の働き方も変わっていく必要があると思っています。もし今後私が上の立場に立つとするなら、部下の仕事の状況や家庭環境を気に掛け、適切な仕事の割り振りができるようなマネージャーになっていきたいですね。男性も積極的に育児休業を取得でき、その上で仕事が上手く回るような環境を整えていければと思っています。
現時点でも会社は男性の育児休業取得に積極的に取り組み始めていますので、将来的にはさらにいい環境に進んでいくと思いますよ。
後藤 ぜひ角田さんにはがんばっていただいて、新しい時代のマネージャーのモデルケースになって欲しいです。
前田 そうですね。男女両方が気兼ねなく育児に参加できる環境にどんどんなっていって欲しいですね。