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研究開発・IT 機械・航空系

崔原栄

技術開発本部 基盤技術研究所
熱・流体研究部 燃焼グループ
2010年入社
Division of Mechanical Engineering

崔原栄

低品位燃料を活かし、未来のエネルギーを創造する。

崔原栄

最小限のエネルギーで最大限の効果を引き出すために。

高品位な瀝青炭(れきせいたん)に比べて重量の半分以上が水分という褐炭(かったん)は、燃料としてのエネルギー効率が悪く、火力発電の燃料には適さない資源に位置づけられてきた。しかし、世界的に埋蔵量が多く低コストで入手できる点から、褐炭を火力発電の燃料に利用できれば非常に魅力的な資源に生まれ変わる。熱流体研究部の燃焼グループに所属する崔は、褐炭などの低品位燃料の乾燥・改質を主な研究テーマにしている。その具体的な方法のひとつが、メタノールと褐炭を混ぜ合わせ、褐炭に含まれる水分を飛ばして脱水するというもの。
「低品位燃料の脱水・乾燥を行う方法はいくらでもあります。例えば、何百度の熱風を褐炭に当てればすぐに乾燥できるでしょう。しかし、それではコストがかかり過ぎて意味がありません。私たちの目的は、低コストで利用できる良質な燃料を実現することですから」
最小限のエネルギーおよび添加物で最大限の効果を引き出すこと。非常にシンプルな考え方だが、その研究開発にはさまざまな分野を合わせる総合的なアプローチが必要だ。
「燃料を燃やすことは機械工学の分野ですが、燃料が燃える時の検証は主に化学工学や材料工学の要素が強くなります。燃えるという現象を確認するには、さまざまな観点から物事を捉える必要があります」
目的はひとつでも、アプローチは多岐にわたる。さまざまな学問分野に基づく考え方がなければ、新しい技術を生み出すことは難しく、そこがこの仕事の魅力でもあるという。「現段階では、褐炭に含まれる水分をメタノールで乾燥させる方法を研究しており、さらに、さまざまな触媒物質を混ぜ合わせることで燃料をより燃えやすくしたり、燃焼時の汚染物質の排出量を抑える効果も期待できます」
崔の挑戦は、実用化に向けて着実に進んでいる。

豊かな生活を低コストで実現する技術を目指して。

全世界の人たちがエネルギーを快適に利用して暮らせる世の中をつくりたい。崔の原動力は、その想いにある。
「発展途上国などではまず、電気・石油・ガスエネルギーを使用するためのインフラが必要です。しかし、そのインフラを整備する費用すらないのが実情。だからこそ、低品位な燃料を良質な燃料に簡単に変える仕組みが必要なのです」
今後は、低品位燃料を所有する国と共同事業を展開するなど、より強固な体制をつくりあげ、競合他社が真似できない技術を確立することも必要だと考えている。
「豊かな生活を低コストで実現する技術を、IHIの誇る技術にできれば本望ですね」
そう言って、崔は頼もしく微笑んだ。

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