非常用発電装置 ガスタービン
1. パッケージ内点検
2. 燃料噴射弁点検
3. モータ類点検
4. 燃焼器点検
5. フィルタ類点検
6. ドレン弁点検
7. 点火栓点検
8. 機関潤滑油点検
9. GT-発電機間軸芯点検
10. スタータモータ点検
11. 保護装置点検
12. 燃料小出し槽点検
13. ボアスコープ点検
14. 排気温度センサ点検
15. 機関制御器点検
16. エキサイタ点検
17. 燃料制御弁点検
18. 圧力・温度センサ点検
19. ガスタービン全分解点検
メンテナンス周期・仕様書

1.パッケージ内点検

作業名 「パッケージ内点検」
作業の目的 「機器の取付状態や油漏れの有無,潤滑油油量の確認,不具合の兆候,痕跡がないか目視確認をおこなう」
未実施の場合の不具合事例 「長時間運転した際の機器、配管からの漏洩」

補機,継手部及びフィルタ部の外観点検

機関取付状況

潤滑油量確認

2.燃料噴射弁点検

作業名 「燃料噴射弁点検」
作業の目的 「カーボン堆積による燃料噴射角度のバラツキを軽減させる」
未実施の場合の不具合事例 「始動時の燃料着火不良による着火失敗(重故障)の発生」

作業状況

整備前

整備後

3.モータ類点検

作業名 「始動装置ほかDCモータ 絶縁抵抗測定」
作業の目的 「健全性の確認として、絶縁抵抗測定を実施し電気特性における劣化の有無を確認・判断する」
未実施の場合の不具合事例 「始動時の加速不良,始動失敗(重故障)の発生」

作業状況

燃料油補助ポンプ点検

潤滑油ポンプ点検

4.燃焼器点検

作業名 「燃焼器開放点検点検」
作業の目的 「本点検での燃焼器開放により,燃焼器外筒・内筒・頭部翼の健全状態を確認する」
未実施の場合の不具合事例 「始動時の着火失敗,運転中の排気ガス温度異常(重故障)の発生」

作業状況

整備前

整備後

5.フィルタ類点検

作業名 「潤滑油、燃料油フィルタ点検・交換」
作業の目的 「潤滑油の劣化や回転部品の摩耗等による目詰まりを防止するためフィルタエレメントの目視点検と交換の実施」
未実施の場合の不適合事例 「運転中の潤滑油圧力低下および燃料油圧力低下による機関停止(重故障)の発生」

作業状況

整備前

整備後

整備前

整備後

6.ドレン弁点検

作業名 「ドレン弁点検」
作業の目的 「本点検ではドレン内部の閉塞と、弁の傷等により運転中に圧縮空気が過度に漏れていない等を確認する」
未実施の場合の不具合事例 「ドレン弁閉塞により、燃焼器内に未燃料油や潤滑油ドレンが溜まり込み始動中のばい煙異常の発生」

内部清掃,ガスケット交換

弁の状態

パージタンク内部点検

7.点火栓点検

作業名 「点火栓点検」
作業の目的 「点火栓の中心電極,外側接地電極に損傷や溶損が無いことまた実動作により点火状態が正常であることを確認する」
未実施の場合の不具合事例 「点火不良により始動時の着火失敗(重故障)の発生に繋がる」

点火栓取付状況

電極部点検

点火栓動作確認

8.機関潤滑油点検

作業名 「潤滑油交換」
作業の目的 「潤滑油性能の適正維持を目的に3年を目安に交換し、使用済品の色相や汚損状態、異物混入有無を確認」
未実施の場合の不具合事例 「運転中の潤滑油圧力低下よる機関停止(重故障)、軸受の機器寿命短縮に繋がる」

作業状況

整備前

整備後

9.GT-発電機間軸芯点検

作業名 「ガスタービン減速機-発電機間の軸芯点検」
作業の目的 「ガスタービン減速機-発電機間の軸芯が回転軸が運転状態で同一線上に位置するよう芯のずれが許容値内であること
また調整が必要な場合には軸芯調整を実施」
未実施の場合の不具合事例 「機関運転中の異常な振動、各機器の軸受やタービン軸の損傷等に繋がる」
ローターライン(レーザー)による調整
ローターライン(レーザー)による調整
ボルト,ナット締め付け確認
ボルト,ナット締め付け確認

10.スタータモータ点検

作業名 「スタータモータコンミテータ部点検」
作業の目的 「スタータモータは、モータの健全性確認として整流子(コンミテータ)とブラシとの接触状態、異物有無、摩耗の確認」
未実施の場合の不具合事例 「スタータの動作不良により、始動時の着火失敗(重故障)の発生に繋がる」

作業状況

ブラシ外観点検(摩耗等)
 

11.保護装置点検

作業名 「保護装置試験」
作業の目的 「専用シミュレータを用いて実際に機関が運転している状態を模擬で再現し、発電装置の安全装置(保護装置)動作を確認」
未実施の場合の不具合事例 「運転中の故障発生時に異常が検出できず、機関停止動作(発電装置保護)ができず発電装置を損傷」

作業状況(シミュレーションチェック)

機関制御器の警報表示確認

始動用発電機制御盤の警報表示確認

12.燃料小出し槽点検

作業名 「燃料小出槽のドレン点検」
作業の目的 「燃料油の経年劣化により小出し槽底部の沈殿物が堆積しフィルタ目詰まりの原因になるため、一定量を排出し状態を確認」
未実施の場合の不具合事例 「フィルタ目詰まりによる燃料油圧力低下が発生し,始動渋滞または失火による機関停止(重故障)に至る」

作業状況(ドレンから排出,スラッジの有無)
   

13.ボアスコープ点検

作業名 「機関本体ボアスコープ点検」
作業の目的 「ボアスコープ(内視鏡)を用いて、現地を機関全分解をすることなくコンプレッサ部、タービン部の状態を目視確認し状態評価をおこなう」
未実施の場合の不具合事例 「機関内部の状態について納入時からの継続監視がおこなわれず、動静翼、燃焼器の損傷により機関運転不能に至る」

作業状況

コンプレッサ動翼点検

コンプレッサ動翼点検
 
タービンスクロール点検

タービン動翼点検

14.排気温度センサ点検

作業名 「排気温度センサ交換」
作業の目的 「排気温度センサについて、高温部品でかつ最も重要な計測部位であるため定期的に交換し断線発生を防ぐ」
未実施の場合の不具合事例 「運転中に断線や感温部の異常が発生し、センサ異常または排気ガス温度上昇等発生する」

センサ取付状況

旧品

新品

15.機関制御器点検

作業名 「機関制御器(PLC、電源装置等)交換」*旧型の制御器については、現行型への更新(レトロフィット)
作業の目的 「常時通電機器であり、周囲環境や発熱による経年劣化で内部コンデンサや集積回路等の故障が発生する」
未実施の場合の不具合事例 「機関制御器異常、検出器異常等により発電装置の運転不能に至る」

機関制御器交換前 <例1>

機関制御器交換後 <例1>

機関制御器交換前 <例2>

機関制御器交換後 <例2>

16.エキサイタ点検

作業名 「エキサイタ、ケーブル交換」
作業の目的 「エキサイタ、ケーブルについて定期的に交換し点火不良を未然に防ぐ」
未実施の場合の不具合事例 「経年劣化により火花が弱くなり点火回数が減少し、始動時の着火不良が発生する」

点火栓,エキサイタ及びパワーケーブル
   

17.燃料制御弁点検

作業名 「燃料制御弁(ELV)交換」
作業の目的 「制御弁、ドライバともに経年劣化により内部シール・摺動部の摩耗、電気部品が劣化するため」
未実施による不具合事例 「機関起動時に着火失敗もしく失火が発生し重故障により運転不可となる」

上:燃料制御弁,下:ELVドライバ
   

18.圧力・温度センサ点検

作業名 「圧力・温度センサ交換」
作業の目的 「機関運転中にセンサ読取り不良が発生し、ガスタービン運転中の各種圧⼒を計測し、燃料制御および故障機能として使⽤されます。経年劣化により、内部素⼦の破損や断線を防ぐ。」
未実施の場合の不具合事例「振動や経年劣化により内部素子の破損や断線が発生し、検出器異常により運転不可となる」
 

温度センサ交換

圧力センサ交換
 

19.ガスタービン全分解点検

作業名 「ガスタービン全分解点検」
作業の目的 「経過年数により内部損耗した機関について、工場持ち帰り整備もしくは各部検査・整備済の完成品との交換(エクスチェンジ方式)をおこなう。」 *機種によりエクスチェンジ方式による対応が可能
未実施の場合の不具合事例 「熱疲労による機関本体内部部品(燃焼器、動静翼等)の劣化・損傷により運転不可となる」

整備前

整備後
 

メンテナンス周期・仕様書

表1.定期メンテナンス種別
種別 点 検 間 隔 お客様 メーカ点検
日常点検 外観点検
運転点検
1週間毎
2週間~1ケ月毎

 
定期点検 A点検*1 6ケ月毎  
B点検*1 納入後 1年目毎 (A点検含む)  
C点検 納入後 3~5年目又は、起動回数  200回
いずれか早い方 (B点検含む)
 
D点検 納入後 6~8年目又は、起動回数  400回
又は運転時間  500時間(いずれか早い方)
 
分解点検 E点 検 納入後 10~15年目又は、起動回数  600回
又は運転時間  1000時間(いずれか早い方)
 

注)
・消防法により消防用設備等に電気を供給する発電装置は*1に示す点検結果の報告が義務付けられています。
・部品交換周期年数は、予防保全の観点から纏めたものであり、各機器の実質的な耐用年数ではありません。
・機種により一部内容に相違点がある場合があります。


注)
・点検周期は、C点検を3年目、D点検を6年目、E点検を15年目として纏めておりますが使用状況(運転時間、始動回数)により異なります。
・オンコンディション整備(標準外運転状況に対する整備)は,お客様と協議のうえで決定させていただきます。
・基本(標準)点検種別の内でのE点検はオンコンディション整備に含みます。
表2.基本(標準)メンテナンス周期
年 度


点検種別
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目 12年目 13年目 14年目 15年目








6

12

6

12

6

12

6

12

6

12

6

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A点検                              
B点検                                        
C点検                                                        
D点検                                                        
E点検                                                          
消防点検
表3.メンテナンスインターバルおよび主な内容
  日常点検 A点検 B点検 C点検 D点検 E点検
推奨インターバル 毎日~1ヶ月 6ヶ月 1年毎 3~5年 6~8年 10~15年
主要整備



内容


外観点検

管理運転
日常点検+

補機類の点検

ガスタービンパッケージ
の取付状態確認


燃料噴射弁点検
A点検+

モータ類の絶縁抵抗測定

燃焼器開放点検

燃料油および
潤滑油フィルタエレメント交換


ドレン弁点検清掃

点火栓点検清掃および作動試験

ガスタービンと発電機間の軸芯点検

潤滑油交換(3年毎)

回転ピックアップの点検

スタータモータコンミテータ部
点検清掃


保護装置作動確認

燃料小出槽のドレン点検
B点検+

ボアスコープによるタービンおよびコンプレッサ部の目視点検

点火栓交換

排気温度センサ交換
C点検+

燃料ノズルの交換

燃料高圧ポンプ交換

電磁弁交換

燃料制御弁交換

エキサイタ交換

計器類交換

回転ピックアップ交換

スタータモータ起動用コンタクタ交換(突入側のみ)

圧力・温度センサ交換

機関制御器交換(PLC等)

DC/DCコンバータ交換

ノイズサプレッサ交換

シャーピン交換

D点検+

ガスタービン全分解点検

(工場持込またはエクスチェンジ方式)

燃焼器ライナ交換

潤滑油主ポンプ交換

潤滑油調圧弁交換

スタータモータ交換

カップリングボルト交換

燃料補助ポンプ交換

潤滑油補助ポンプ交換
お客様          
メーカ点検