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サプライチェーン・
マネジメントの強化
IHI回転機械エンジニアリングは、サプライヤーである協力企業の皆さまを “モノ作りを支える重要なパートナー”と考え、相互の信頼関係を築くとともに双方向の努力を通じて「相互利益」の関係構築を目指しています。さらに、昨今の社会要請の高まりを真摯に受け止め、 協力企業の皆さまに対する積極的なCSRの浸透と支援を通じたCSR調達の実現にも取り組んでいます。
考え方
IHI回転機械エンジニアリングは、公平・公正な取引、お取引先との相互繁栄、法令の遵守と社会的責任への対応を3つの柱とする「IHIグループ調達基本方針」を基に調達活動を行っています。
IHIグループは、2022年度に、お取引先に対する具体的なお願い事項を定めた「IHIグループ取引先行動指針」を策定しました。本指針は、全てのお取引先およびそのサプライチェーンに対して、法令順守・品質・価格・納期などの基本要件に加えて、人権・労働、安全衛生、環境、公正取引・倫理、情報セキュリティや鉱物資源の責任ある調達などにも配慮したCSR活動の推進についてのお願いをまとめたものです。
IHIグループの各調達部門は「IHIグループ調達基本方針」にのっとり制定された「IHIグループ調達基本規程」に従って調達活動を行い、持続可能なサプライチェーンを構築することで社会的責任を果たしています。
IHIグループ調達基本方針
IHI回転機械エンジニアリングは、「IHIグループ基本行動指針」に基づき、以下のとおり調達活動を推進していきます。
第1条 公平・公正な取引
IHIグループは、国内外から、意欲と競争力のあるお取引先に対してオープンに競争の機会を提供します。また、品質、価格、納期、技術開発力、経営状況等を総合的かつ公正に評価し、選定を行います。
第2条 お取引先との相互繁栄
IHIグループは、お取引先を価値創造のパートナーと位置づけ、最適な品質・価格・納期を確保し安定調達を実現することを通じて、お取引先と信頼関係を構築し相互の競争力強化と繁栄を目指します。
第3条 法令の遵守と社会的責任への対応
IHIグループは、関連法規を遵守します。また、社会的な責任にも応えるため、品質・価格・納期などの基本要件に加え、人権・労働・安全衛生・環境・情報管理にも十分配慮するCSR調達を推進します。
IHIグループ取引先行動指針
法令遵守と国際規範の尊重
1.1.法令遵守と国際規範の尊重
人権・労働
2.1.強制労働の禁止
2.2.児童労働の禁止
2.3.非人道的な扱いの禁止
2.4.差別行為の禁止
2.5.適切な労働時間管理
2.6.適切な賃金と手当
2.7.結社の自由・団体交渉権
安全衛生
3.1.安全な職場
3.2.緊急時への備え
3.3.労働災害・労働疾病
3.4.産業衛生
3.5.身体的負荷のかかる作業への配慮
3.6.工場設備の安全対策
3.7.施設の安全衛生
3.8.安全衛生のコミュニケーション
3.9.労働者の健康管理
公正取引・倫理
5.1.腐敗防止・不適切な利益授受の禁止
5.2.情報の開示
5.3.知的財産の尊重
5.4.公正なビジネスの遂行
5.5.通報者の保護
品質・安全性・供給の確保
6.1.製品の安全性の確保
6.2.品質管理
6.3.安定供給
6.4.製品事故や契約不適合への対応
情報セキュリティ
7.1.サイバー攻撃に対する防御
7.2.個人情報の保護
7.3.秘密情報の保護
競争力の強化
8.1.競争力の強化
社会課題の解決
9.1.地域社会への貢献
9.2.グローバルな社会課題の解決
管理体制の構築
10.1.マネジメントシステムの構築
10.2.サプライチェーン全体での推進
10.3.鉱物資源の責任ある調達
10.4.適切な輸出入管理
10.5.救済(グリーバンス)メカニズム
10.6.取組状況の開示・提供
マルチステークホルダー方針・パートナーシップ構築宣言
IHI回転機械エンジニアリングは、経営戦略の実行による中長期的な成長を実現するにあたり、お客さまやお取引先、従業員などをはじめとするさまざまなステークホルダーと協力して新たな価値を創造することを重視しています。そこで、2023年度のはじめに「マルチステークホルダー方針」を制定してウェブサイトに公開しました。さらに、お取引先とのより良い関係を構築するために「パートナーシップ構築宣言」も公表しています。
人権啓発推進
人権デュー・ディリジェンス(HRDD)においては、調達パートナーにおける労働・人権リスクの最小化を目指し、IHIグループとしてより効果的かつ説明性の高いプロセスを構築しており、IHI回転機械エンジニアリングもこれに参画しています。
具体的には、以下のようなプロセスの構築・運用を強化しています。
IHIグループは、一般社団法人ビジネスと人権救済機構(JaCER)に正会員として加盟しています。JaCERは、非司法的な苦情処理プラットフォームである「対話救済プラットフォーム」を提供し、 専門的な立場から会員企業の苦情処理の支援・推進を目指す組織です。 以下のJaCERの通報フォームより、IHIグループのバリューチェーンを含むあらゆるステークホルダーを対象に、人権の侵害が疑われる案件に対する通報を受け付けます。
IHI回転機械エンジニアリングのステークホルダー(お取引先、近隣住民、等)全ての方に開かれた窓口です。
- JaCERは、個人情報について適切な管理・運用を行います。
- JaCERは、通報者および該当企業の匿名性を確保しつつ、受付・対応している案件リストを定期的に更新します。
考え方
IHI回転機械エンジニアリングは、キーとなる主要部品を自社工場で製造する一方で、海外を含む多数のお取引先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。資機材価格の急激な変動、特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え、激甚災害や大規模な感染症の拡大により、サプライチェーン途絶などの問題が生じた場合、コストアップ、納期遅延などにつながる可能性があります。
サプライチェーン上のリスク低減に取り組むことは、製造能力の強化につながり、外部要因に影響されにくい事業体制の構築から、業績や財務状況の安定化、企業価値の向上につながるとともに、お取引先との安定した協働体制の継続、発展を推進していきます。
サプライチェーンの強靭化
IHI回転機械エンジニアリングはIHIグループの一員として、近年発生している自然災害、感染症、紛争、CSR調達視点のリスクなどによって、生産を含めた事業活動が停滞することのないよう、サプライチェーンを強靭化する活動をグローバルに推進しています。
主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期などの管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存を避けるために調達先の分散化などを進めています。
特に事業継続に不可欠な重要サプライヤーを抽出して、各種リスクに影響を受けにくいサプライチェーン構築を進めています。
サステナビリティ評価サービス「EcoVadis」の活用
IHI回転機械エンジニアリングは、サプライチェーンに関する第三者評価プラットフォームであるEcoVadis社と2019年に契約を締結し、サプライチェーンリスクを含むサステナビリティを適切かつ公正に評価するための体制を整えました。
当社全体のサステナビリティ活動として「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」を継続的に発展させるとともに、第三者機関からの評価により適切な実行を行います。特にサプライチェーンの強靭化として、購買部門は「持続可能な資材調達」の活動に注力していきます。
セルフチェックシートによる
サプライヤー管理
IHI回転機械エンジニアリングはIHIグループの一員として、全てのお取引先に「IHIグループ取引先行動指針」の各項目に一対一に対応した「セルフチェックシート」を展開しています。お取引先に対しては、セルフチェック結果に基づき取り組むべき項目を認識していただき、CSR活動に取り組むことを求めています。
CSR活動推進のプロセス
反社会的勢力と
贈収賄防止への対応
IHI回転機械エンジニアリングはIHIグループの一員として、お取引先との契約条項に反社会的勢力と一切関係を持たないこと、刑法・不正競争防止法で禁止されている外国公務員への贈賄行為、そのほか、各国の法令で禁止されている贈収賄などの行為は行わないことを定めています。 当社としても、これらの行為があった場合は、報告と調査への協力をお取引先に求めています。
情報セキュリティ方針について
IHI回転機械エンジニアリングは、お客さまやお取引先の機密情報、会社の経営情報や技術情報などを確実に保護するために定められた「IHIグループ情報セキュリティポリシー」に則り、情報の適正な管理と情報セキュリティの維持・向上に取り組んでいます。
お取引先には「情報セキュリティ自己診断」を送付させていただき、診断結果を踏まえてともに改善していく体制を整えていきます。
教育
IHI回転機械エンジニアリングは、安全保障貿易管理・調達関連法規に関する教育や内部監査に注力し、コンプライアンス強化を図っています。
調達部門だけではなく、調達関連法規の理解が必要な部門も対象に、下請法教育等の各種教育会を定期的に開催しています。また、IHIグループ全体の「調達部門向け安全保障貿易管理教育」や「中堅社員向けサプライチェーン・マネジメント教育」、各種e-ラーニングを全調達担当者が受講し、法令・ルール順守の徹底、最新の社会的要請の理解、法令・制度の知識習得を進めています。
また、IHIグループの調達部門として、下請法に関する月次の自主点検、輸入申告業務に関する年次の自主点検を行うことで、適正に業務が行われているかを確認し、改善を進め、加えて内部自己監査による改善指導も行っています。
項目 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
---|---|---|---|
下請法教育 | 389 | 406 | 412 |
建業法教育 | 160 | 168 | 175 |
安全保障貿易管理教育 | 172 | 181 | 176 |
自社製品の品目別教育 | - | - | 281 |
- これらの教育はIHIグループの共通講座の受講者数も含まれています。
- 2024年度は調達力向上を目的とした技術的観点での自社製品の勉強会(計6回)も開催しました。
「IHIグループ取引先行動指針」の周知・浸透
IHI回転機械エンジニアリングは、「IHIグループ取引先行動指針」をウェブサイトで公開するだけでなく、通達文などを通じて既存のお取引先に周知しました。新規契約に関しては、本指針を尊重することが明記された基本契約書を適用しています。また、2024年度から調達企画本部主導で開催されている合同セミナーにIHIグループの一員として参画し、「人権・労働」「公正取引・倫理」「カーボンニュートラル」 等をテーマとしたセミナーも受講しています。
人権リスク低減活動
IHI回転機械エンジニアリングはIHIグループの一員として、2023年度より一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)の協力のもと、IHIおよびグループの関係会社構内に就労する請負業者が雇用する外国人技能実習生に対しての積極的対話(直接のインタビュー)を、「リスク低減活動」として実施しています。職場環境や労働条件における苦情を把握して、苦情の芽を早期に摘み取り是正していくことを目的としています。
紛争鉱物を含む
「鉱物資源の責任ある調達」
IHI回転機械エンジニアリングはIHIグループの一員として、紛争鉱物に関する取り組みを主導する団体Responsible Minerals Initiative(RMI)の趣旨に賛同しています。IHIグループは、当面の調査対象鉱物として、RMIの認定業者の多いスズ、タンタル、タングステン、コバルトを指定しています。これらの指定鉱物を含む全ての購入品が、RMIの認定する精製・精錬業者経由で製造されているかどうかを確認することが最終目標です。
調査対象の鉱物を含む製品群を洗い出し、これらの製品群を製造しているお取引先にRMIの指定するフォーマットに基づく調査票を展開することで、調査と深掘活動を開始しています。調査対象は随時広げていく予定です。経済開発協力機構(OECD)の5 step Frame Workのガイダンスを尊重しながら、IHI調達企画本部の方針と指導のもと、当社の発注担当部門による深掘活動を行っていきます。
なお、お取引先には「IHIグループ取引先行動指針」10.3項「鉱物資源の責任ある調達」にて方針を周知しています。


