Cross Talk02

積み重ねられた
化学工学の知見が
IHIがリードする
技術開発を支える

01_世界が注目する
最先端の環境技術への挑戦

上田 私は,技術開発本部 基盤技術センター システムエンジニアリンググループに所属しています。技術開発本部(以下,技開本)という部署全体では要素技術の研究や基礎的な理論の構築を進めていますが,私たちは,そこで得られた技術や理論を活用して,お客様の役に立つ設備やシステムを構築する部門です。
グループ内には機械系,電気制御系,プロセス系のエンジニアがそれぞれ在籍しています。
機械系のエンジニアだけでは,機械の形自体はできますが,生産システムが動くことはありません。電気制御系エンジニアやプロセス系エンジニアと協力し合って,生産システムが機能するように取り組んでいます。技開本で得られた研究の成果を具現化したプロセスに昇華して,事業部に引き渡すことが理想の姿です。
技開本だけでも小規模システムや設備への対応は行いますが,製品の量産などビジネスのサイズが大きくなった後は,事業部門であるSBUへお任せしています。
これまではIHI社内にある製造工場をはじめとする設備,システムの開発業務がメインでしたが,最近立ち上がってきたアンモニア関連のプロジェクトに対応する人員も増加しています。

山中 私が所属する資源・エネルギー・環境事業領域 カーボンソリューション SBU 技術センター 開発部は,その名の通り脱CO2,低CO2化に向けたビジネスを展開する事業部です。カーボンソリューション SBUは元々は火力発電ビジネス主業務として行ってきたSBUですが,現在では脱CO2循環型社会の実現へ貢献する事業へとビジョンを拡張しています。
技術センター開発部では,SBUの事業戦略実現に必要な,既存製品の研究・開発・改良と,新事業の企画・立案・新技術および新機種開発・技術提携業務を担当しており,当方はこのうち,化学プロセスを用いた新技術・新機種開発を主に担当しています。上田さんが所属されている技開本と連携する機会も多く,それぞれが得意とする役割分担の中で業務に当たっています。

上田 技開本の役割は,基本的には要素技術の開発にあると考えています。山中さんの部門に関連した研究でいうと,NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの委託事業として取り組んでいるオレフィン事業において,キー技術となる触媒開発を技開本で対応しました。

山中 技開本が育てたシーズ技術を事業部で活用し育てるケースだけでなく,逆もありますよね。2000年台初頭から始めたCO2回収プラントでは,事業部側から技開本に必要となる要素技術の開発を依頼してプロジェクトを実現しました。技術が技開本からのシーズ技術をもとに事業部側でニーズに適応する一方通行の関係ではなく,事業部側で示したニーズをもとに技開本がシーズ開発に取り込む等,相互に協力しあうコラボレーションができていると考えています。

上田 基本的に向いている方向が少し違うから協力できるのかもしれませんね。事業部は今いるお客様をしっかり見て開発するのに対し,技開本は技術に向き合い具現化する。技開本としては,技術の先に今はいないかもしれない未来のお客様の潜在ニーズを引き出すのがミッションだと思っています。もちろん我々も技術を出口に結びつける開発は意識していますが,事業部の領域とかぶりきらないところがあるからこそ,バランス良く共存できているんだと思います。

02_前例がない研究への挑戦
ベースが支える専門家への道

上田 今は全社を挙げてCO2抑制に力を入れていますよね。事業部としてその最前線にいる山中さんはどんな気持ちで仕事に取り組まれていますか。

山中 おっしゃる通り,今私のチームが取り扱っているのがCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)に関わる技術です。社内だけでなく社会的にも注目されている分野ですので,強い使命感を感じていますね。
一方で,さまざまな形の規制がある中で,過去に前例がない技術を開発する必要がありますので,大変な難しさも感じています。規制の一例として挙げられるのが,海外のパートナー企業に合わせた連携です。例えばオレフィンの事業ではタイの協力会社の敷地内で実証試験を行う計画としており,先方のスタンダードやリミテーションへ設計的に対応しなければならないため,密なコミュニケーションが必要です。その辺りの対応には大変な負荷がかかることは間違いありませんが,先方の要求に応じて必要な技術を選択し,事業を実現していくことにはやりがいを感じますし,エンジニアとしての成長にも間違いなく繋がっていると思います。

上田 事業部の面白みは,目の前の課題の解決へ集中して取り組めるところにあると感じています。技術開発本部はあらゆる事業部で必要な基礎研究を行うという立場から,その時々の実勢やトレンドに合わせて開発対象を変えることが求められます。開発のスパンは3年から5年,長くて10年程度です。そういう意味では,山中さんがおっしゃった前例のない開発に通じるものがあると思います。
一方で,前例がないものを開発するときには,それまでにいろいろな案件を通じて積み上げてきた経験がものをいいます。たとえばCCUSの案件に携わった経験を生かし,派生した案件に取り組むといった横展開ができるスキルが必須ですし,そのスキルは専門家といえるだけの知識・技術があってはじめて成り立っています。技術と事業の間をつなぐときには,やはりコミュニケーションを取らなければいけません。研究者は,視野が一直線で,その先がクリアに見えています。それはそれで素晴らしいことなのですが,それだけだとシステムは成り立ちません。皆の視点をどう合わしていくか,どこかに危険や抜けがないのか,野球で言えば三遊間みたいな箇所ですね。そこをシステムエンジニアが全体を見て繋げなければいけません。上手く繋ぐことができた時は,誇らしく思いますね。

山中 そういう視点で見ると,事業部側は知識の幅を広く取ることが大切です。我々は技開本だけでなく,社外の研究所や大学などとも連携しながら開発することもありますので,一緒に議論できる程度の知識の深さや幅を持たなければなりません。
私は今,化学プロセス全般を担当していますが,私のもともとの専門性は機械分野です。大学は機械工学を専攻していて,会社に入ってから燃料電池に係り本格的に電気化学に携わりました。それから「電気化学もやっていれば,化学プロセスも行けるだろう」ということで,先ほど出てきたCO2化学吸収や,CCUS等 化学プロセスに関係する開発案件を一から立ち上げる経験を持つことができました。これらの開発案件立上げに際して,必要な技術が無い場合,どこからか持ってくるマネジメントが必要になります。幸いIHIには技開本のメンバーを含む多くの専門家がおりますし,また海外の関係会社や技術アタッシュへのアクセスもできますので,技術や知識の調達先には困りませんね。

03_異文化の経験は
化学反応を生むチャンス

上田 分野を問わず,全ての事象は物理化学現象で捉えられると思っていて,何か問題が起きた時,何がどうなってこういう事象が起きたのかをしっかり捉えて対策を立てることができる方に来てもらえると嬉しいなと思っています。我々も完璧にできているわけではありませんが,そういうマインドを持って,仕事しているつもりではあります。
また,プロセスプラント等のサイズが大きくなると,人の生死に関わるような,被害が甚大になるリスクが増すという側面があります。安全リスクアセスメント手法のひとつであるHAZOP(Hazard and Operability Studies)等に携わった経験があるとより望ましいです。

山中 HAZOPは,我々の海外のお客様との事業でも,相当時間をかけていますね。お客様と一緒にHAZOPをやって,それを設計に落とし込むという事をやっています。HAZOPは知識のあるファシリテーターを立てて実施しないと上手く回らなかったり,非常に難しいところがあります。ただこれも,経験してもらうのが大事なのかなと思います。技開本やSBUの教育というのはもちろんありますが,教育だけじゃなく,自分で情報を取りに行ったり,経験・勉強するなりして,積極的に行動できる人に来ていただけるとありがたいなと思いますね。

上田 社内,社外の展示会等で,自分の知見を高めるということは,会社として推奨しているので,積極的に行動しやすいというのはありますよね。
また, 5年や10年などで携わる分野も変わっていきますが,基本的にグループの中にその案件をやったことがある人はいないので,毎回毎回その分野のトップランナーにならなければいけません。

山中 上田さんがおっしゃっていたように,新しい開発案件に5年ごとに携わるということは,短い周期で新しい専門性を身につけないといけないじゃないですか。周囲に聞ける人はたくさんいるとは思いますが,毎回大変じゃないですか?

上田 そうですね。流用できるベースの知識はあったとしても,前例がないジャンルのトップランナーになることが求められますので,自分の知見を高め続けることは求められます。ただし,裏を返せば皆さん同じスタートラインに立つことになりますので,中途で入った方もハンデを感じることは少ないんじゃないかと思います。
むしろ,IHI社内にはない経験や知見,感覚があることがメリットになるケースも多いのではないでしょうか。HAZOPでもいろいろな視点から見ることで,より安全性を高めるといった作用が期待できます。

山中 異なる文化で過ごされた経験は貴重ですね。私の事業部の例でいうと,専門的には事業部の開発には従来関連性が低かった触媒の専門家の方が中途採用で入社されたのですが,全く違う視点が入ったことで,技術開発や製品開発の幅が広がり,組織として間違いなくプラスになったなと感じました。もちろん専門家としての知見をお持ちである前提にはなりますが,いろいろな分野の方に来ていただくのは大歓迎です。新しい文化が混じり合わないと,新しい挑戦も生まれませんしね。IHIは,挑戦してもらうことを,非常に肯定的に取る文化があると感じています。違う知見を持った方に入ってもらって,その違う知見から「もっとこういうことに挑戦してみたい」という話が出た時に,それを受け入れられる土壌はあると思っていますし,私もそういう中で育ててもらったので,それをできる方向に持ってきたいと思っています。

上田 技開本は未来のお客様の役に立つかもしれない技術を生み出す部門ですから,元からチャレンジングな姿勢が求められています。むしろチャレンジングであることが評価対象ですね。目標設定の10%はチャレンジ項目に設定されています。もちろんチャレンジなので失敗もありますが,目標未達であっても評価はされますので,思い切ったチャレンジができますよ。

山中 事業部でのチャレンジは技開本とは違った形ながら,個々に与えられた裁量の中で積極的な取り組みができます。部門によってできる範囲が違いますが,現場での挑戦が認められるのはIHIの面白さですね。スキルを生かしながら面白いことにチャレンジしたい人にとっては,やりがいを感じられる環境だと思います。

上田 チャレンジしやすいという前提に,他社と比べて裁量が広いという話は良く聞きますね。

山中 それは良く聞きますね。また,お客様とのネットワークの中で仕事をしやすいこともその理由の一つだと思っています。基本的に政府関係者なども含めて,話をしたいと言ったら聞いていただけることが多いです。その辺りはIHIの諸先輩方のおかげだと思っていますが,そういうことができるだけの伝統があるというのは,一つの大きな強みなんじゃないかなと思っています。

04_プライベート

上田 土日のどちらかは必ず小学3年生の子どもを連れて家族で出かけるようにしています。
先日は栃木県の足利にイルミネーションを見にいったり,神奈川県内の牧場に馬やヤギを見にいったりしてきました。
子どもが将来どのような職業に就くかはわかりませんが,さまざまな物理現象を実体験する機会を通じて,感覚を現象として捉えられるエンジニアセンスを身につけてほしいと思っています。

山中 すでに子どもが大きくなり子育ての終わりを迎えたと感じています。子どもが小さな頃は休みの度に一緒に出かけていましたが,今はそれに代わる新しい休みの過ごし方を模索している最中です。
今の狙い目は国内旅行ですね。元々大阪の出身なのですが,新卒入社で上京して以来ほとんど関東から離れていませんので,まだ行ったことがない都市や街を見て回りたいなと思っています。

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