My Job / My Story1年で積み上げた設計図、
およそ700枚。
橋をつくるって、
こんなに大変だったのか。
- 設計
- 橋梁
Y.H2020年入社


My Jobどんなシゴトをしていますか?
地域をつなぐ橋の設計を担当しています。
私は橋の設計部門に所属しており、長年使用した橋の更新工事の設計を担当することが多いです。例えば高速道路のリニューアル工事では、橋の桁(けた)や、床版(しょうばん)の補修や補強、取替工事に関する設計を行います。桁や床版の素材・構造を決定することはもちろん、車が通行している中で橋の工事を行うため、工事中の車線運用を考慮する必要もあります。スムーズかつ安全に工事を行うため、発注者様や自社の施工担当者と綿密な打ち合わせを行い、工事の全体像を構想して仕事を進めていきます。また、所属部署では新設するPC橋の設計も行なっています。
私の原点と入社の理由My Story
原体験は街づくりのシミュレーションゲーム。
街が形になっていくワクワク感が、好きでした。

小さい頃は街づくりのシミュレーションゲームにハマっていました。ゲームの中で橋・道路・建物を自分で作り、その間を縫うように道路を敷設したり電車を走らせる光景にワクワクしていました。そういった背景もあり、大学は土木系の学部に進学し、都市環境工学を学びました。そこで知ったのは、日本国内では橋を含む重要なインフラの多くが老朽化し始めており、更新の時期を迎えているということでした。
そして大学3年の就職活動時に、将来の自分の道を考えた結果、昔から興味を持っていた「街づくり」という大きな枠組みの中で、社会が抱えている課題を解決する技術者になることだと思いました。また自分の行動を振り返ってみると、旅行に行った時は必ず、その地域の有名な橋を見物コースに入れていたこともあり、自分の興味と将来の道がピッタリ重なった気がしました。もちろん、需要の絶えない業界なので安定していること、誰もが知っている地域のシンボルをつくれることも魅力でした。そして、就職活動の時期にこの会社に出会いました。希望と合致する事業内容はもちろん、インターンシップで感じた社員の方たちのフレンドリーな空気感も、好きになりました。
私のシゴト体験談My Story
補修するだけなら簡単?
設計の仕事は机上で計算と作図だけ?

今、高度経済成長期に作られたたくさんの橋が更新工事の時期を迎えています。「古くなった箇所を補修するだけでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、現実はそれほど単純ではありません。例えば現在、更新工事として主に床版という橋を構成する部材の取替えが多く行われていますが、既設の橋を調査した上で、床版の撤去中や床版の取替え後に、橋全体の構造が問題ないか確認しつつ設計を行う必要があります。そこで必要であれば床版を支えている桁の補強や増設も行います。また床版ではなく、橋自体の架け替えとなる、桁の取替えを行うこともあります。
このように更新工事での私の設計としての仕事は、問題なく施工できるようにするため、あらゆる可能性の検討を行います。しかし他にも、構造的な理由だけでなく、工事中の渋滞緩和などといった社会的な理由で決められた条件を設計に反映することも必要です。また、工期内に工事を終わらせることは大前提ですが、耐久性に優れた良いものをつくることももちろん大事です。これらのことを私一人で行うことは不可能です。工事を達成するためには、発注者様を含めて工事関係者が一丸となって臨む必要があるため、設計と言っても、計算して図面を描いているだけじゃなく、現場に足を運び、現地を見て、工事に関わるたくさんの人と話し合い、みんなで協力して最善の方法を出し合っています。
700枚の設計図に、無数の計算書。
目の前の仕事をこなすだけで、必死でした。

もちろん私も、初めから設計ができたわけではありません。印象深いのは、入社2年目に加わった床版取替工事のプロジェクトです。当時は新入社員研修が終わったばかりで、経験もほとんどゼロに等しい状態でした。ところがそのプロジェクトは、社内でも前例がない床版取替工事であり、難易度が高いということしか分からない案件でした。これまでの上下4車線の床版取替工事であれば、そのうち2車線の工事を行なっている間、残り2車線で車を通行させます。ところが、このプロジェクトで対象になる橋は交通量が多いため、1車線ずつの工事しかできませんでした。通常は1枚の床版取替で2車線分をカバーしますが、片側1車線ずつしか工事できないため、2車線で2枚の床版が必要になりました。単純に床版の量が増えただけではなく、床版1枚を2枚に分割したため、分割した床版同士を繋ぎ合わせるという、今まで実施したことのない検討も行う必要があったので、設計する量が倍以上に増えることとなりました。
そして、その「倍以上に増えた」床版取替工事の設計を担当したのが自分で、とにかく頑張るしかありませんでした。「自分の設計ミスで橋が壊れたらどうしよう」という、妄想まで浮かびあがったこともありました。先輩の力も借りながら無我夢中で設計をこなすこと約1年間。最終的に700枚あまりの図面に加え、それに付随する計算書などの作成・チェックという仕事をこなすことができました。そして、設計が終了した後の約1年間は工事チームに加わり、自身が設計した橋の施工管理業務という貴重な経験をさせて頂きました。その現場での経験を一言でいうと、新鮮でした。自分の描いた図面がどのようなスケールで、どんな人たちの手で、どんな機械をつかって、どんな方法で施工されていくのかを間近で学ぶことが出来ました。見るもの、聞くこと全てが初めての経験だったこともあり、目の前の仕事にただ精一杯で、気づいたら工事が終わっていた感覚でした。嬉しかったのは、最後に目に映った光景です。全員の力で期間内に工事を終え、無事に車が橋を通過していくその景色に、なんとも言えない達成感がありました。
当たり前ですけど、現実はシミュレーションゲームではないため、ボタン一つで橋はできません。一つの橋の工事に、どれだけの人間の努力と知恵が必要なのか、身を持って感じられたことが、今でも自分の土台になっています。
Next Interview念願だった、
海外プロジェクトの担当に抜擢!
