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次期排出ガス規制対応型産業用エンジンを開発、EPA認証取得
~排気の後処理装置を大幅に簡素化した国内初のEPA第4次排出ガス規制適合多用途エンジン~

2012年12月17日
株式会社IHIシバウラ

IHIシバウラ(以下ISM)と株式会社IHIは、次期排出ガス規制対応型産業用エンジンを開発し、このたびEPA(Environmental Protection Agency/米国環境保護庁)第4次排出ガス規制(Tier4規制)適合認証を取得しました。
排気の後処理装置を大幅に簡素化した多用途エンジンとしては、国内初のEPA第4次排出ガス規制適合認証取得となります。

出力56kW未満の産業用エンジンに対して、2013年1月1日から米国で適用されるTier4規制は、PM(ススなどの粒子状物質)排出量を現行規制の10分の1(0.03g/kWh)以下に抑えること、8,000時間使用後においても規制値を超えないこと、また、別途定められた標高(5,500ft = 約1,650m)および外気温度での排出ガス基準(NTE ※)を満足することなどを定めた、大変厳しいものになっており、これにより産業用エンジンの大幅な環境負荷低減が期待されています。

ISM/IHIでは、この規制をクリアするために、市場実績が豊富でシンプルかつ信頼性の高い現行のディーゼルエンジンをベースに、ISM/IHIの持つ燃焼、流体、伝熱、構造などの技術を活用して、燃焼室形状の最適化、超高圧燃料噴射システム、高度な燃料噴射制御、過給機仕様の最適化などの最新テクノロジーを融合し、エンジン内での燃焼を極限まで改善することで低エミッション化および燃焼効率の改善を実現しました。

このような燃焼改善により、排気中のススを捕集・除去するために一般的に使用されているフィルタ(DPF ※)を使わずに排出ガス規制に適合し、排気の後処理装置を大幅に簡素化したクリーンな産業用ディーゼルエンジンの開発に成功しました。新開発エンジンは、現行エンジンのシンプルな構造を継承し、産業用のヘビーデューティな使用に高い信頼性をもって堪える堅牢性を有し、かつ、コンパクトなエンジンシステム(DPF付エンジンの約30%体積減)になっています。

また、一般にDPF搭載エンジンでは、フィルター部に捕集したススによる目詰まりを防ぐために、数時間ごとに(定期的に)排気を高温に制御してススを燃焼除去する、再生プロセスが必要ですが、DPFを使わない本エンジンでは、再生プロセス自体が無いため、再生プロセス実行に伴うエンジン運転の制限や排気後処理装置を定期的に高温にする必要もありません。これにより再生プロセスに伴う排気温度上昇のために燃料を消費しないので、実用燃費の悪化もなく、この小さなエンジンでも、1年間で杉の木8本程度に相当するCO2排出量削減(約100kg)が可能です。また、一般的に不可避と言われているDPFの定期的な脱着を伴うメンテナンスを行う必要もありません。ライフサイクル全体を通して、使い勝手が良く、環境およびエンジンを使用してくださるお客様に対して、より優しいエンジンとなりました。

DPFを搭載しない多用途エンジンがEPA第4次排出ガス規制適合の認証を取得するのは、国内メーカとしては初めてになります。

ISM/IHIでは今回の新開発エンジンを、先ずは、排ガス規制が先行する欧米の建設機械、農業機械、発電機、コンプレッサー、フォークリフト、芝草機械メーカを中心に販売を開始し、その後国内に展開、3年後には5万台の販売を見込んでいます。

<主な仕様>
名称:N4LDI-TA
機関形式:水冷4サイクル直噴ディーゼル機関
排気量:2.216ℓ
気筒数:4気筒
気筒内径×行程:84mm×100mm
最高出力:50kW/2800min-1
最大トルク:208Nm/1800min-1
サイズ:660mm×540mm×930mm、235kg(後処理装置含む)

※DPF:Diesel Particulate Filter:ディーゼル粒子状物質フィルター
※NTE:Not to Exceed:EPAが定めたエンジン運転領域、標高および外気温度で別途定めた排出ガス規制値を満足しなければならないとする規制。

次期排出ガス規制対応型産業用エンジン

以上

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