PROJECT
OUTLINE
IHIが「成長事業」に位置付ける「航空エンジン・ロケット分野」では、世界の航空宇宙産業におけるメインプレーヤーの道筋を確立するための、大小さまざまなプロジェクトが進んでいます。その中心となる取り組みが、航空機電動化プロジェクト。2024年1月には、ジェットエンジン後方に搭載できる1MW級のエンジン内蔵型電動機の開発に世界で初めて成功しています。
MEMBER
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航空・宇宙・防衛事業領域
技術開発センター エンジン技術部
将来技術プロジェクトグループ大依 仁
OYORI HITOSHI
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技術開発本部
プロジェクトセンター
電動化開発グループ軸丸 武弘
JIKUMARU TAKEHIRO
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技術開発本部
プロジェクトセンター
電動化開発グループ秋山 雅紘
AKIYAMA MASAHIRO
めざすゴールは、
航空機のトータルエネルギー
マネジメント。
プロジェクトの成り立ちと
それぞれの関わり
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大 依
IHIが中心となってビジネスパートナーとともに2012年に立ち上げたのが「航空機電動化プロジェクト(MEAAP)」です。電動化で私たちがめざすのは、航空機のトータルエネルギーマネジメント。このチャレンジは、欧米のメーカーが業界のほぼ全域を支配する航空機産業の中で、日本企業が新しいポジションを築く機会にもつながります。私がプロジェクトマネージャーを務め、2030年代の実用化を目標にプロジェクトを進めています。
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軸 丸
プロジェクトにおいて、私は電動機や発電機の電機設計を担当しています。入社3年ほどは別の技術開発に取り組んでいたのですが、2014年から航空機電動化プロジェクトに携わることになりました。2020年には、ジェットエンジン後方のテールコーン内部に搭載できる250kW級のエンジン内蔵型電動機の成果を発表することができました。この世界初のチャレンジは、今後のプロジェクトのコアになる部分です。
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秋 山
私は軸丸さんと同じ技術開発本部で、モーターの機械的な要素の設計・研究開発を担当しています。元々は生産装置に興味があって入社したのですが、初めは先輩のサポートという形で航空機電動化プロジェクトに関わるようになり、2020年から本格的にプロジェクトに参画することになりました。これまでの航空機開発の流れとは全く違う、未開拓の技術を確立していくプロセスにワクワクしています。
クレイジーな発想を、
実現させてしまうポテンシャル。
世界初となる
エンジン内蔵型電動機の開発
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大 依
まず、ジェットエンジンの吹き出し口の後ろに電動機を取り付けるという発想自体がクレイジーなんです(笑)。しかし、電機・構造・熱流体のエキスパートの連携によって4年で実現させてしまうネットワークとポテンシャルが、IHIの強みであり凄みだと思います。
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軸 丸
大きなチャレンジであったのである種必然だった思うのですが、もう本当にトラブル続きだったのが印象に残っています。250kW発電の実証を行った際も、社外にコミットした期日ギリギリで定格仕様での実証を達成。成功した時はメンバーから拍手がわき起こり、手を取り合って喜びを分かち合いました。
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秋 山
最初は、私は直接的には関わっていなかったのですが、高温で振動のあるテールコーン内部に取り付けるというコンセプト自体が難しいことはわかっていましたし、苦労されている様子も見ていました。その後プロジェクトに参画して、成功した時にはエンジニアの一人として私も誇らしい気持ちになりました。
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大 依
国内外での反響も非常に大きく、多くのメディア取材や講演依頼を受けている状況です。エンジン内蔵型電動機のトピックに限らず、IHIの尖った取り組みや将来の航空機産業の展望などを発信していくことが重要だと感じています。
海外においては、日本よりもリアルでシビアなビジネスの話し合いが持たれています。さまざまな海外メーカーと議論を重ねています。
航空機電動化の「解」を、
最前線で模索する。
プロジェクトの経験を
どのように活かすのか
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秋 山
入社2年目までは先輩のサポートとしてプロジェクトに関わっており、4年目に初めて特殊モーター設計の主担当を経験しました。主担当になってから、航空機電動化の知識もモーターに関する知識も飛躍的に増えました。航空機電動化の「解」はまだ誰にもわからないという部分に魅力を感じているので、エンジニアとして電動化技術の最前線を牽引していきたいです。
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軸 丸
主担当になると、マインドが変わりますよね。秋山さんのように自立した若手が増えると私たちも仕事が進めやすくなります。
私は、プロジェクトを通じて一流のエンジニアと仕事ができることに刺激を感じています。一流の人々は失敗よりも取り組みが実現した時のことを見据え、目先のことに一喜一憂していません。この貴重な経験を糧に、大きなプロジェクトをマネジメントできるエンジニアに成長したいです。 -
大 依
「航空輸送システムの会社」としての知名度を上げ、ポジションを取れるかがプロジェクト立ち上げ時の目標のひとつだったため、それを叶えた私たちは次のステージに進もうとしています。航空機電動化の産業地図はもちろん、学術地図までを変えるほどのプロジェクトに育てたことを嬉しく感じています。
また、電動化は航空機だけに関係する技術ではありません。優れた技術を広く連携させることにも貢献したいと考えています。
強みを「Unite」し、
世界の夢を実現する。
IHIに興味を抱く学生に
メッセージ
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秋 山
「とにかく技術が好き!」という学生さんの入社を楽しみにしています。技術が好きな方と一緒にいると楽しいですし、新しい発想も出てきます。IHIでは技術的な議論が活発にできますし、いい意味で「教えたがり」な先輩がたくさんいるので、壁にぶつかってもさまざまな解決策を提案してくれます。
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軸 丸
私は「失敗を基に、柔軟に軌道修正できる方」と一緒に仕事がしたいですね。私自身もそうありたいですし、大きな声で「失敗しました!」と言えるくらいの心持ちの方がといいと思います。
IHIはシステムから部品・材料にわたる開発が多いため、一人のエンジニアが担当できる範囲が広いという特長があります。多くの知識が求められますが、それだけ多くを学べます。大きな製品や大きなプロジェクトに携わることができるのも、IHIの魅力です。 -
大 依
海外企業との折衝時によく「あなたたちは夢を実現する(Realize your dreams)んですよね?」と発破をかけられます。もちろんユーモアも含まれますが、それほどまでに期待される世界でも数少ない会社なんです。
従来の重工は技術を「Integrate」すなわち『組み込む』役割を担ってきましたが、今後はそれぞれのビジネスパートナーやチームの強みを「Unite」『結びつけて』さらに強くする仕事が増えるでしょう。IHIは、その中心にあると思います。