「拡散接合」ってどんな技術?
拡散接合とは
JIS Z 3001-2によると、“部材を密着させ,母材の融点以下の温度条件で,塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して,接合面間に金属結合を実現して接合する方法。”とあります。国際規格ISO/TR 25901-3にも“diffusion welding”として同様の記載があり、世界でも利用されている接合方法と言えます。“拡散接合”の英訳としては、 diffusion welding、diffusion joining、diffusion bondingなどもよく使用されています。
とてもかみ砕いた説明をすると、「板と板を加熱しながら接合したい場所をプレスすると接合する」と言えます。
部材同士の変形を最小限に接合することができるため、微細な形状を持つ部品の接合や、溝を切った薄板を多数積層することにより、複雑な内部流路を持った製品の製造を可能にします。
拡散接合のメリットは?
①高い接合強度
・接合面に強度の弱い接着剤などが無く、直接接合物同士が接合されるので、接合面の強度も母材相当の強度が期待できます。
②清浄度
・ろう付けや接着のように接合物以外のものを使用せず、直接接合されるため、コンタミネーションなどの心配が少ない方法といえます。
③微細流路、複雑構造
・あらかじめ溝を切った薄板を多数積層することにより、複雑な流路構造を持った3次元構造製品の製造を可能にします。
④異材接合
・原子の移動を利用した接合方法により、異種材同士の接合も可能となります。
用途例
モバイル機器、車載用電子機器などのヒートシンクやベーパチャンバーといった放熱部品を拡散接合により制作します。アルミ製水冷版のろう付処理品にも使用されています。
エッチング処理をした薄板同士を積層し拡散接合した、数㎜の微小な流路を持った熱交換器はマイクロチャンネル熱交換器と呼ばれています。
セラミックス基板に銅やアルミなどの金属を直接接合します。接合性改善のため、接合面にろう材やインサート材等を挿入する場合もあります。