生産技術
生産センター 生産技術グループ 理工学府 理工学専攻 修了
「高度な設計と、 職人技の現場を繋ぐ仕事」ロケットを創り上げる生産技術者


01
製品製造の最初から最後まで関わることができる、生産技術
入社から一貫して、防衛省向け固体ロケットの組み立て加工に関する生産技術を担当してきましたが、2年目からは、JAXA向け観測ロケットS-520、S-310も担当するようになりました。 生産技術の仕事では、設計部署が作成した図面や仕様書をもとに、生産工程や設備、治工具の仕様決めや設計も行い、これらを製造部署が見る作業標準書にまとめていきます。また、不適合があれば修理方法も考えます。設計部署とものづくりの現場を繋ぐ仕事というと、わかりやすいでしょうか。自分が設計した工程・治工具でロケットが製造されていくのを見るのは、とてもやりがいを感じる瞬間です。 ロケットは多品種少量生産であるために、生産現場はライン生産ではなくジョブショップ生産という体制が主で、機械加工、溶接、組立、接着など作業ごとにエリアが分かれています。言ってみれば町工場を繋げて大きくしたようなイメージが近いかもしれません。当社の場合、型式ごとに担当者が定められているため型式全体の工程を見ることができます。ひとつの製品に対して、工程の最初から最後まで関われるのは、この仕事の醍醐味。おのずと製品に愛着が湧きますね。 当社の製品はサイズが大きく、さまざまな部品や工程があり、すべてを完璧に理解するのは至難の業です。それだけに業務の中では、コミュニケーションを大事にしています。先入観やこだわりをなくし、現場の意見をよく聞くことと、現物を見て判断することを心がけています。
02
3Dプリンタで食品を作る。 航空宇宙技術を応用した、ちょっと不思議な取り組みも
一方で、実は主務には関係のないプロジェクトにも関わっています。今の会社の事業・技術から不連続という意味で「ふれんぞく研究」という研究開発枠組みがあるのですが、その中で3Dフードプリンタの研究開発業務を担当しています。 航空機エンジン部品であるファンブレードの塗装技術を利用すると、粘度の高い素材を吐出できるため、これで食べ物を吐出積層して作ろうという発想です。しかし当社には食べ物の知見はありません。そこで大学や他社と連携しながら進めています。 今は3D積層ロボットでウニ寿司を作れたり、積層後に調理してグミ風の食品を作れたりというところまでこぎ着けました。食品製造関係の展示会に出展したこともあり、複数のメディア(NHK国際、日刊工業新聞など)でも取り上げられました。最近は粉モノにもチャレンジしようかと思っています。いつか宇宙で3Dフードプリンタを使って食品を印刷調理し、食されるようになるかもしれません。主務の方が忙しいので多くの時間を割くことはできませんが、メリハリが付けられることは仕事のモチベーションにも繋がっています。ふれんぞく研究で得られた大学や他企業と連携する経験は、主務にも生かせると思います。

03
子供のころの興味を、大人になってからは仕事にできた
天体望遠鏡をはじめて覗いた小学生のころから、天文や宇宙開発に興味がありました。中学に入り、探査機はやぶさのカプセルが地球に戻ってきたニュースを目にし、「日本はこんなにすごいことができるんだ」と感激し、自分も宇宙開発に関わることができれば嬉しいだろうなと考えるようになりました。 大学のときは再突入体の衝撃波の研究をしていました。自然と宇宙開発に関われる仕事をしたいと考え、IHIエアロスペースでロケットを創りたいと思うようになりました。最初の入口は天文や星でしたが、大人になった今でもずっと航空宇宙に関わってこられたことは幸せなことです。 今のメイン担当は防衛用ロケットですが、大きさが違うだけで宇宙用のものと作り方は大きく変わりません。防衛用ロケットに関しては、新規開発中の大型FRP製ロケットの生産技術と新ライン設計を担当していますが、開発と共に量産化が大きな課題です。今後は、防衛用ロケットの開発・量産化で得られる省人化の知見を、宇宙用ロケットの設計・製造工程にも役立てられるはず。そうすることで宇宙輸送のコストを下げ、世界と競争できる宇宙用ロケットをつくりたいと思っています。

休日・オフの過ごし方
地元でひとり暮らし。長期連休は旅行へ
富岡市からほど近い安中市の出身で、今年(入社4年目)からひとり暮らしです。休日は家で過ごすことも多いですが、群馬県は温泉が多いので温泉に行ったり、望遠鏡を車に載せて星を見に行ったりもします。赤城山や倉渕町からは星がよく見えるんです。 IHIグループでは長期連休(年末年始連休、GW連休、夏季連休、お盆連休)がしっかりあるので、リフレッシュできます。夏季連休とお盆連休が分かれていることは驚きでしたね。仙台や金沢、伊勢などに旅行に行くことも。普段から有給は取りやすいですし、フレックスタイム制を導入しており、出勤時間の調整がしやすいので、ありがたいですね。

schedule
ある1日の流れ
8:30
出社、メールチェック
9:00
現場対応
10:00
打ち合わせ
11:00
作業標準書の作成
12:30
昼食
13:30
打ち合わせ
15:00
現場対応
16:00
技術変更提案に関する検討・審査
16:30
治工具設計、書類作成などの事務作業
18:00
退社