前編では、IHIインフラシステムの浅野主査が、ダム・水門を支える重要な技術「高圧ゲート」について解説しました。後編では、ダムが機能を果たす上でなくてはならない、もうひとつの技術を紹介します。
将来の社長
浅野くん、今回は緊張してないみたいだし、後編もよろしくね!
浅野さん
はい。今回は、ダムが適切に役割を果たすために重要なもう1つの技術「制御情報システム」について説明をします。
将来の社長
制御情報?
浅野さん
はい。河川やダムに点在する水門やポンプをネットワークで接続し、一元的に操作・管理を行うためのシステムです。
将来の社長
つまり、一箇所で操作できるってこと?
浅野さん
その通りです。ダムを管理するシステムは「ダムコン」。河川流域にある水門を操作するシステムは「遠隔操作システム」。農業用水路の管理を行うシステムは「水管理システム」と呼ばれていますが、すべてを同じ場所から操作できます。
将来の社長
ダムコン、響きが良いわね!ダムコン!ダムコン!
浅野さん
ダムや河川の状況を正確に捉え、素早く的確にゲートを操作できるシステムは、ダムの治水・利水機能を最大限に発揮するためにはなくてはならないものです。
将来の社長
どんなにゲートの性能が良くても、必要なタイミングで開け閉めできないと意味ないものね。
浅野さん
そうなんです。さらに我々は、水門設備の現場業務、特に点検業務の効率化・高度化を目指し、新しいシステムの開発も進めています。それが、メガネ型ウェアラブルカメラなどのデバイスとタブレット端末を活用した現場業務サポートシステム「GBRAIN」です。
将来の社長
ダムだから、「D」で「DBRAIN」じゃないのね...。メガネ型カメラ?...って、何に使うの?
浅野さん
たとえば、現場の作業員では判断できない状況が発生した場合、メガネ型ウェアラブルカメラを装着し、その映像を転送・共有すれば、ベテラン作業員の指示をすぐに貰うことができます。
将来の社長
作業員の目がライブカメラになるのね。つまり、作業員の技能レベルに関係なく、正確に作業や点検が行えるようになるのね。
浅野さん
その通りです。GBRAINは、工場や現場検査などでも使えます。遠隔操作できれば、移動する人数が最小限で済み、移動で消費するエネルギーも最小限で済み、作業時間の短縮にもなります。
将来の社長
一石二鳥!いや、一石三鳥ね!
浅野さん
新しいテクノロジーを日々の仕事に取り入れるのは、「技術と叡智」を背骨にしているIHIの使命でもあります。
将来の社長
温故知新ね!
浅野さん
いろんな言葉をご存知ですね。
将来の社長
昨日、習ったばかりなの!
浅野さん
新しいものを積極的に取り入れる。さすが、将来の社長です!
さて、我々は、大正時代から水門に携わってきた「水門のスペシャリスト」として、設計・製作・据え付けから、点検・修繕までトータルに対応する会社となるべく、新しい技術をつくり続けています。
将来の社長
全国各地で洪水被害が増えてるから、水門のスペシャリストに掛かる期待は大きいわよ。国土の未来のために、しっかり頑張ってちょうだい!
浅野さん
はい!今後は、既に運用しているダムへの洪水吐ゲートの増設や、気象予測、モニタリング、自動運転などを複合的に活用したデジタルトランスフォーメーションを進めて、ダムの治水機能をさらに向上させていきます。
将来の社長
防災・減災に、技術と叡智。私が本物の社長になるまで、浅野くんの力が必要よ!しっかり頼む...
浅野さん
うぅっ...はい!
将来の社長
あなた、また泣いてるの?
浅野さん
泣いてません!私たちは、今日も、ダム・水門の治水利水機能を向上させるために、動いています!
将来の社長
あなた、強引にまとめたわね...