燃料電池向けターボチャージャー

概要
私たちは、地球温暖化による気候変動や環境問題を解決し、次世代に向けて持続可能な社会を構築しなければなりません。IHIでは、課題克服に向けて、カーボンフリーにつながる燃料電池システムの高効率化の実現を目指しました。これまでの経験と技術を活用し、業界に先駆けて開発したのが電動ターボチャージャー(Electric Turbocharger = ETC)です。
構造、機能

ETCは、コンプレッサ、タービン、軸受、モータ、インバータで構成されています。コンプレッサとタービンは同軸に配置されており、中心に配置されたモータをインバータで制御しながら回転させることで駆動します。
燃料電池は、燃料中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させ、電気エネルギーに変換します。この空気を効率よく供給するためにコンプレッサを使用します。また、タービンは、FCスタックから排出される水蒸気を多量に含むガスからエンタルピーを回収することで回転エネルギーへ変換します。
この構造を採用することで小型化を実現しつつ、モータの消費電力が削減可能となり、燃料電池システムを高効率化することへ寄与しています。

燃料電池システム用空気供給源の種類
一般的に、コンプレッサは容積式とターボ式の2種類に分類されます。さらに、ターボ式は遠心式と軸流式の2つに分れます。IHIでは、燃料電池システムの空気供給源はコンプレッサとして遠心式(ターボ式)を採用しています。
IHIでは20年以上の燃料電池空気供給システム開発経験から、遠心式コンプレッサが最も効率的なソリューションであると考えています。
特長
◎オイルフリー
燃料電池で使用される触媒の被毒対策が可能です。
◎モータとインバータの機電一体化
IHIのETCはモータとインバータの機電一体化による小型化を実現し、FCシステムの小型化が可能です。
◎タービンによる動力回収能力
FCスタックから排出されるエネルギーをタービンで回収することで圧縮機が必要とするエネルギーの30%をまかない、ETCの小型化・消費電力削減が可能です。
◎起動停止運転可能
車載を想定した軸受設計のため,低燃費走行のような起動停止のドライブモードも対応可能です。
◎高出力密度
インバータサイズの小型化に成功し,従来設計比で出力密度(重量当たりの出力)が58%向上しています。


ラインアップ
燃料電池出力に応じたシリーズ展開をしていき、お客様が必要とする出力毎に選択が可能です。さらに、大出力のシステムに対しては、複数台を用いることにより対応していきます。さらにエアロパーツの最適化により最大限の効率を提供します。
ETC-S | ETC-M 100 ETC-M 150 |
ETC-L | |
モータ出力 | 11kW | 20kW | 30kW |
タービン動力(参考値) | 3.5kW | 6kW | 9kW |
最高回転数 | 100,000rpm | 115,000rpm | 90,000rpm |
過渡性能 ldle to 90% | 1.3sec. | < 1.3sec. | < 2.0sec. |
冷却水 | 6L/min,70℃ | 10L/min,70℃ | 15L/min,70℃ |
HV電圧 | 250-450V | HV3相当 520-750V | HV3相当 620-850V |
燃料電池システムの出力に対応した、ETCのラインナップ位置づけを以下のグラフ(横軸:修正質量流量,縦軸:圧力比)に示します。
様々なご要求をカバーするラインナップをご用意しています。

お問い合わせ
弊社は、ETCを通じて貴社システムを開発をするパートナーとして寄り添っていきます。燃料電池システムへの空気供給源をご検討いただいた際には、お気軽に一度お問い合わせください。