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プレスリリース
資源・エネルギー・環境

帝国石油向けガスタービン発電設備を受注 ~国内初となるNGL(天然ガス液)を燃料としたガスタービン発電~

 石川島播磨重工(IHI)はこのほど、帝国石油(本社:東京都渋谷区幡ヶ谷、社長:磯野 啓)から電力の卸供給事業として使用するガスタービンコンバインド発電設備(発電出力5万7,000kW)を受注しました。

 本ガスタービンコンバインド発電設備は、帝国石油が自社の長岡鉱場(新潟県三島郡越路町)に設置し、同社が電力卸供給事業者となり同発電設備から特定規模電気事業者(PPS)()に売電するものです。IHIは、土木建築を含む設計、調達、建設までを請け負うEPCコントラクターとして全ての工事を担当します。

 本ガスタービンコンバインド発電設備に使用する燃料は、主にNGL()(天然ガス液)を液体のまま使用するのが特徴で、ガスタービンだけでなく、ディーゼル発電など内燃機関を含めて国内で初めての試みになります。なお、起動時などの補助燃料としても長岡鉱場からNGLと同様に発生する天然ガスを使用します。従来、NGLは、発電用としては蒸気タービンを回すボイラ焚の燃料として使用するか、精製を行ない石油製品の原料として使用していました。今回、同社の長岡鉱場のガス田から発生するNGLをそのまま発電用の燃料に使用することにより、燃料の有効活用と低コストでの発電が可能となります。

 今回、ガスタービンの燃料としてNGLの使用を可能にしたのは、航空エンジン転用型のガスタービン「LM6000()」です。同ガスタービンは、燃焼器内の圧力を大気の30倍という非常に高い圧力にすることができるため、NGLを液体のままでも燃焼させることができます。「LM6000」1基あたりの発電出力は約42,000kW、発電効率は約39%ですが、ガスタービンの廃熱を回収し、その熱で蒸気タービンを回すことにより発電出力を高めるコンバインドサイクルシステムにすることにより、発電出力を57,000kW、発電効率も約49%まで高めることができました。
 
 「LM6000」は、NGLのほか、天然ガス、灯油、軽油など多くの燃料に対応することができるほか、航空エンジン転用型の軽量という特徴から、暖気や冷却運転が不要で瞬時起動および瞬時停止のDSS(Daily Start Stop)運転が可能です。 
 
 需要の多い昼間だけの発電を行なう電力卸供給事業者などピークカット用電源として適しており、今回の帝国石油長岡鉱場での発電計画にも最も適しているとの評価をいただきました。
 
 今回の受注により、IHIの国内外における「LM6000」の累計受注実績は31基となりました。当社のジェットエンジンの主力工場である瑞穂工場(東京都西多摩郡瑞穂町)での整備が可能なことから、アフターサービスの信頼性も評価され、国内では電力小売の自由化後、電力卸供給事業者向けに「LM6000」が数多く導入されています。
 
 IHIは、帝国石油長岡鉱場の南長岡ガス田から産出されるNGLを事前にサンプルとしてもらい、当社の技術開発本部の基盤技術研究所(横浜市磯子区新中原町)で詳細な評価を行なった上で、本ガスタービン発電設備の提案を行ない、今回の受注にいたりました。IHIは、今後とも顧客の事業環境に細かく対応できるソリューション型のビジネスを積極的に展開していく方針です。
 
  特定規模電気事業者(Power Producer and Supplier)…特定規模(受電電力2,000kW以上、受電電圧2万V以上)の需要家に対し、一般電気事業者(従来の電力会社)以外で電気供給を行なう事業者。規制緩和により2000年3月から経済産業省に届出を行なうだけで可能となった。
 
  NGL(Natural Gas Liquids)…天然ガス液またはガスコンデンセートと呼ぶ。地中では気体の天然ガスとして存在しているが、地上に産出すると液状になる原油の一種。非常に軽質でナフサに近い性状を持ち、硫黄分を含まないクリーンな特徴をもつ。
 
  「LM6000」ガスタービン発電機…B747などの大型旅客機に搭載されている米国GE社製の「CF6-80C2ターボファンエンジン」を発電用に転用したもので、現在実用化されている4万kW級のガスタービンのなかでは、世界最高レベルの性能を発揮する高効率ガスタービン発電機。IHIは圧縮機後部フレームをRSP(開発・生産を一部負担し、割合に応じて収益を得る方式)で参加しており、今回の受注を含め、海外で21基、国内で10基の受注実績がある。

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