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プレスリリース
資源・エネルギー・環境

世界最大出力の電子制御式舶用ディーゼルエンジンが完成 ~燃料噴射を最適化し、環境負荷を低減した最新式ディーゼルエンジン~

石川島播磨重工(IHI)の関係会社である株式会社ディーゼル ユナイテッド(DU、本社:東京都千代田区神田須田町、社長:小嶋 文稔)は、世界最大出力となる電子制御式の舶用ディーゼルエンジン「12RT‐flex96C」を製作、同社相生事業所(兵庫県相生市)にて完成させました。
この度、完成したのは出力が6万8,640kW(9万3,360馬力)、シリンダー直径が960
mmの12シリンダーの低速ディーゼルエンジン「DU-SULZER 12RT-flex96C」です。本エンジンは、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド呉工場にて建造中の、P&Oネドロイド社(本社:ロッテルダム)向けコンテナ船(7,500個積み)に搭載され、本年11月に就航予定です。DUは、電子制御式エンジンとして「12RT-flex96C」を8台受注しており、「6RT-flex58T-B」の受注を含め、計10台を受注しています。
このエンジンは、燃料の噴射量、噴射タイミングを全てコンピュータで適正に制御します。従来の舶用ディーゼルエンジンは、エンジンの各シリンダーの動きに連動させたカムシャフトによりシリンダーごとに設けた燃料ポンプを稼動し、機械的に燃料噴射のタイミングを調整するシステムで、機械的な負荷が大きいものでした。一方、電子制御式では燃料噴射タイミング、噴射量の適正化を行うことが出来、燃料供給の過不足を防げるため、黒煙の原因となる不完全燃焼を防ぐごとができます。これにより、燃料消費の低減や排ガス中の有害物質を低減することが可能となります。
このシステムは、コモンレール式燃料噴射システムと称するもので、スルザー型エンジンのライセンサーであるバルチラ・スイス社が1996年から開発を開始し、2001年に世界で初めて実用化されています。
コモンレール式燃料噴射システムの特徴は以下のとおりです。

1. 全てのシリンダーに燃料を供給できるコモンレール(共通配管:Common Rail)と呼ばれる燃料供給装置を設置。燃料の圧力を高め一
  定(1000バール)に保ちます。このコモンレールからすべてのシリンダーに燃料を供給することが出来ます。これにより、従来シリン
  ダーごとに設けていた燃料ポンプとそれを稼動させるカムシャフト、駆動歯車が不要になります。
2. コモンレールから供給された燃料は燃料噴射制御装置を経由してシリンダー内に噴射されます。燃料噴射制御装置は、噴射タイミン
  グ、噴射圧をシリンダーごとに個別に調整します。この装置の作動は、併設された電子制御ユニット(バルチラ・スイス社が独自開発し
  たコンピュータソフト)でコントロールします。
3. 燃焼ガスの排気のタイミングを調整する排気弁の駆動も電子制御によっておこなわれるため、排気のタイミングも適正に調整することが
  できます。その他、機関起動も全て電子制御されています。

  
DUは、世界におけるスルザー型エンジンの代表的なライセンシーとして、今後も電子制御式の「スルザーフレックス エンジン」のラインアップを広げるべく積極的に受注活動を展開していきます。




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