JFEスチール、神戸製鋼所と超大型コンテナ船に関する高強度鋼板の共同開発製造法承認を取得
株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(以下IHIMU、所在地:東京都港区海岸、社長:今清水 義紀)は、JFEスチール株式会社(以下 JFEスチール)との2社の間で、また株式会社神戸製鋼所(以下 神戸製鋼)との2社の間で,それぞれ共同研究を行い、超大型コンテナ船への適用を想定した高強度鋼板(※1)を開発し、これらの高強度鋼板について、JFEスチール、神戸製鋼それぞれが財団法人日本海事協会(以下,日本海事協会)より鋼板の製造法承認を取得しました。
今回開発した高強度鋼板は、従来の鋼板(※2)と比較して強度に優れ、高いねばり強さと溶接性を兼ね備えており、超大型コンテナ船に適用することで船体の軽量化が可能になり燃費の改善が見込めます。加えて船体上部が軽くなることで船体の重心が下がり、運航時の安定性が向上します。また、鋼板の強度が増すことで船体をさらに大きくすることが可能になり、貨物の積載量を増やすことが可能になります。これらの長所を活かすことで、従来の鋼板に比べ輸送エネルギー効率の向上が期待できます。
一般的に鋼板は強度が増すと、溶接が難しくなる傾向がありますが、IHIMUは、JFEスチール、神戸製鋼、それぞれとの共同開発において、大型コンテナ船にこれらの鋼板を採用した場合の構造設計・強度計算を行い、本鋼板に要求される性能・仕様を決めるとともに、実際の建造を想定した溶接試験を行い、溶接品質に問題のないことを確認しました。
IHIMUは、現在、これらの新開発鋼板を適用した超大型コンテナ船の構造安全性の詳細な検討を行っており、近いうちに日本海事協会より承認を取得する予定です。このようにIHIMUは高い安全性と環境性能を併せ持つ大型コンテナ船の提供を通して、社会の発展への貢献を図っていきます。
※1:降伏応力460MPa(47kgf/mm2)級高強度鋼板。
MPaは,1mm2に1N(ニュートン)の力が作用する応力を示す単位。
1MPa=1N/mm2
※2:降伏強度390MPa(40kgf/mm2)級鋼板。
<大型コンテナ船>
コンテナ船は、貨物倉にコンテナを積み込むために、上甲板に大きな開口を有しています。一方で、海上を航行する船は、船体全体を曲げるような波の荷重に対して、強度を確保する必要があります。 そのため、大型コンテナ船は、上甲板やハッチコーミングに高張力の厚板を使用して、強度を確保しています。