世界で唯一商業化されたストリップキャスターの2号機を引渡し-画期的な省エネ・省スペースを実現した新型薄鋼板製造設備の拡販にはずみ-
IHIは、2006年に米Nucor(ニューコア)社から受注した、Nucor社および豪BSL(BlueScope Steel)社と共同開発した、世界で初めて商業化に成功しているストリップキャスター(薄鋼板製造設備)「Castrip®(キャストリップ)」による炭素鋼板製造設備の2号機(生産能力:年産50~60万t)を、米アーカンソー州のブライスビル工場に引き渡しました。
本設備は、昨年10月に据付を完了して試運転を開始し、現在はNucor社がサンプル出荷をしながら、今年中に商業稼動レベル生産を目指しています。
従来のスラブ連続鋳造法では、溶鋼から一旦300mm厚のスラブを鋳造し、これを多数の圧延機からなる熱間圧延ラインで延ばし薄鋼板を製造するのに対し、Castrip®では、溶鋼から冷却ロールを通して、直接2mm厚以下の薄鋼板を製造することが可能です。
本技術は、IHIと豪BSL(当時BHP)社が1990年から共同開発してきたもので、世界最大の電炉製鉄メーカーである米Nucor社がパートナーに加わり、2002年に米国インディアナ州のクロフォーズビル工場に1号機を設置しています。
Castrip®は、スクラップを鉄源として、低コスト・省スペースの上、省エネルギー・低CO2排出で薄鋼板を製造可能という大きな特徴を持っています。
初期コストは、電炉を用いた鋼板製造設備と比べても約1/4に抑えることができ、設備の全長は、従来のスラブ連続鋳造設備に比べ1/10以下というコンパクトな設備であることから、地域分散型・資源循環・低環境負荷のマイクロミル(極小製鉄所)を消費地近くに多数設置するという、従来の製鉄業界の構造を大きく変える可能性を持った技術として世界中の注目を集めています。
IHIは、Castrip®技術販売のため、3社の出資でCastrip社を設立し、技術供与と設備の売込みを展開中。現在、ヨーロッパ・東欧・ロシア・中東・アジアなどから多数の引合いが寄せられており、Nucor社2号機の稼動を拡販のはずみとするべく、受注活動をおこなっていきます。
NUCOR Corporation(ニューコア社) | ||
代表者 | : | Mr. Daniel R. DiMicco (President & CEO) |
本 社 | : | 米国ノースカロライナ州(シャーロット) |
BlueScope Steel Limited | ||
代表者 | : | Mr. Paul O’Malley (Managing Director & CEO) |
本 社 | : | 豪州ビクトリア州(メルボルン) |
Castrip LLC(キャストリップ社) | ||
代表者 | : | Mr. Frank Fisher (President) |
本 社 | : | 米国ノースカロライナ州(シャーロット) |

Castrip®2号機