IHIとJMU、中東のユナイテッド アラブ シッピングの大型コンテナ船向け IHI-SPB LNG燃料タンクの開発に合意
株式会社IHI(以下IHI、所在地:東京都江東区,社長:斎藤 保)とジャパン マリンユナイテッド株式会社(以下JMU、所在地:東京都港区、社長:三島 愼次郎)とは、中東の大手船会社United Arab Shipping Company(ユナイテッド アラブ シッピング、以下UASC、本社:ドバイ、社長:Jorn Hinge)が韓国の現代重工業に建造発注した14,000個積みコンテナ船5隻+オプション船6隻及び18,000個積みコンテナ船5隻+オプション船1隻向けに、液化天然ガス(LNG)を推進用燃料とするLNG燃料供給システムの共同開発実施について合意しました。
LNG燃料タンクにはIHIとJMUの独自技術であるIHI-SPB(自立角型IMOタイプB)タンクが採用され、JMUは主にSPBタンクの設計を、IHIはSPBタンクの製作検討を行い、現代重工業と共同でノルウェー船級協会(DNV-GL、本部:オスロ)から基本承認(AIP)を取得します。
LNG燃料供給システムは本コンテナ船が寄港する欧州及びアジアの主要な港でLNG燃料供給のインフラ設備が整い次第順次レトロフィットされていく計画ですが、本コンテナ船の建造段階からレトロフィット時の改造工事を最小化するように設計が行われます。今回のLNG燃料システムのレトロフィットはアジア―欧州間を運航する大型コンテナ船向けでは世界初の試みとなります。
SPBタンクはLNGの海上輸送、洋上生産などの用途の大型船舶や浮体向けに開発された技術ですが、タンク形状及び容積に制約がないため、LNG燃料タンクとしても複雑な船内スペースに合わせて容積効率が非常に優れた配置が可能です。そのため、数千立方メートル規模のLNG燃料タンクが必要となる本コンテナ船においてもLNGタンク及び周辺機器数が最小限に抑えられており、搭載コンテナ個数の減少を最小にするとともに、初期費用及びメンテナンス費用の低減を図ることが可能です。これらの優れた経済性と堅牢なアルミ製SPBタンクの信頼性がUASCに高く評価され、今回のLNG燃料タンクへの採用となりました。
高騰する燃料費抑制と排気ガスによる環境への負荷の低減の二つのポイントから、今後、船舶のLNG燃料化は益々進んでいくものと予想されています。IHIとJMUはIHI-SPBタンクを中心とする技術力で船舶のLNG燃料化に貢献していきます。