IHIが「DX銘柄2022」に選定
~デジタルを活用したビジネスモデル変革が評価~
IHIは,このたび,経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄※1)2022」に選定されました。IHIが選定されるのは,DX銘柄の前身である「攻めのIT経営銘柄」の2016年度,2018年度以来,3度目となります。
IHIは,コロナ禍による業績悪化からの早期回復を目指し,その目標と達成に向けた道筋を示した「プロジェクトChange」のもと,さまざまな「変革」を推進しています。その中で掲げる「ライフサイクルビジネス拡大」や「収益基盤のさらなる強化」において,DXはその変革の中心に位置付けられており,デジタルを活用したビジネスモデル変革を進めています。
今回のDX銘柄選定においては,以下の取り組みが評価され,今回の選定に至りました。
<主な取り組み>
- ライフサイクルビジネス(LCB)の拡大を中心としたビジネスモデル改革 (※2)
IHIグループでは,従来の製品・部品販売と修理が主体の「モノ売り」から,お客さまへの価値提供によってお客さまが変わる「カスタマーサクセス」実現を目指した「提案型ソリューションビジネス(コト売り)」への転換を図っています。中でも,既存ビジネスの製品・サービスの枠を超え,お客さまのニーズに素早く柔軟に対応すると共に,お客さまのニーズの汲み取りやデジタル技術の活用に基づく新たな付加価値の創出と提供により「ライフサイクルを通じてお客さまに価値を提供」するライフサイクルビジネス(LCB)の拡大に注力しています。
その実現に向け,自社開発したIoTプラットフォーム「ILIPS(※3)」により製品・設備のデータを収集・分析するとともに,お客さま情報を共有する「カスタマーサクセスダッシュボード(CSD)(※4)」を構築し,お客さま情報を起点に各種データ連携を進めることで,営業・サービス・技術/製造が三位一体となって連携するビジネスモデル改革に取り組んでいます。
- 事業類型の特性に合わせた業務プロセス改革(※5)
IHIグループは幅広い製品を手掛けるコングロマリット企業であり,事業を「量産系(ジェットエンジン等)」「準量産系(カスタマイズを旨とする産業機械等)」「インデント系(橋梁や発電プラント等)」の3類型に分類し,各々の特性に合わせたデジタル化を通じた業務プロセス改革を図っています。特に,準量産系については,「固変分離(製品を標準化でリードタイム短縮を図るモジュール(固)と,オプションの選択(選),カスタマイズを前提としたモジュール(変)に分ける考え方)」の思想と「標準業務プロセス」の適用を進めることにより,上記のLCBの拡大とも連動しつつ,お客さまへの素早いフォローを可能とすることを目指しています。
- DXを推進し,データ重視の企業文化を担う人材育成
IHIグループでは,DXの推進力を支え,データ重視の企業文化を担う人材育成にも積極的に取組んでいます。
まず,データ分析を実務に適用するスキル習得を目的とした「データアナリスト研修」を2018年度から実施し,2023年度までに1,000名の育成を計画している他,データ分析の独創性やアイディアを競う「AIコンテスト」を開催するなど,データ活用マインドの醸成を図っています。
また,全グループの主要部門で中核を担うミドル層からDXリーダーを選任し,DXリテラシー・スキル向上を図る教育を行なうとともに,DXリーダー間のネットワークを構築する事で,複数部門に渡るDX推進や新事業の取り組みなどを支援しています。 さらに,経営幹部候補者等に向けたDX研修を行い,トップ層のDXリテラシーの向上と意識改革を図っています。
IHIは今後も,お客さま価値の増大と社会課題の解決を目指し,DX推進により,モノ売りからコト売りへの転換を図っていきます。
【注釈】
(※1) DX銘柄:経済産業省が東京証券取引所と共同で,東京証券取引所に上場している企業の中から,企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し,優れたデジタル活用の実績が表れている企業を,業種ごとに最大1~2社ずつ選定して紹介するもの。2015年に「攻めのIT経営銘柄」として選定を開始し,2020年から「DX銘柄」として選定。
(※2) ライフサイクルビジネス(LCB)の拡大を中心としたビジネスモデル改革
* カスタマーサクセス:お客さまが自社製品・サービスを使うことで,成長・成功体験を得ることを支援するビジネス。IHIでは,「お客さまへの価値提供によってお客さまが変わる」レベルへの到達を目指している。
(※3) ILIPS(アイリップス):IHIグループ製品・サービスの高度化を目的に,装置や設備のデータをクラウドサーバに集積し,ライフサイクルビジネスに活用するIHIグループ製品共通のプラットフォーム。
(※4) カスタマーサクセスダッシュボード(CSD):「営業」・「サービス」・「技術/製造」が一体となってカスタマーサクセスを実現するため,お客さまに関連する製品・サービス等の情報を一元管理・分析・共有するために構築したプラットフォーム。
(※5) 事業類型の特性に合わせた業務プロセス改革
*“固変分離”思想:製品を標準化でリードタイム短縮を図るモジュール(固)と,オプションの選択(選), カスタマイズを前提としたモジュール(変)に分ける考え方。
【ご参考】
① 経済産業省ニュースリリース
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220607001/20220607001.html
東京証券取引所ニュースリリース
https://www.jpx.co.jp/news/1120/20220607-01.html
② DX銘柄2022」ロゴマーク