ドバイ初となるグリーンアンモニア製造・販売事業の検討を開始
IHIはこのたび,アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイ首長国有石油・ガス公社であるEmirates National Oil Company*1(ENOC)と,UAE・ドバイおよび周辺首長国において,豊富な太陽光資源を活用した再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造・販売の事業性を検討・調査する覚書を締結しました。本件は実現すると,ドバイ首長国初となるグリーンアンモニア事業となります。
現在市場に流通している化石燃料由来のアンモニアは製造時にCO₂を排出しますが,再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアの製造が実現すると,発電や船舶用燃料,肥料用原料といったアンモニア利用に係わるサプライチェーンでのCO₂排出量を極めて低く抑えることが可能となります。 またアンモニアは,製造・貯蔵・輸送に係わる技術が既に確立されていることから早期社会実装が期待されています。
両社は,ENOCの100%子会社であるHorizon Terminals Ltd. (以下,HTL)が複数所有する既設石油ターミナル内にてグリーンアンモニアを製造し,日本・アジア市場への輸出や現地での発電・船舶用燃料供給を目的としたアンモニア販売事業を検討します。IHIは主に技術的検討と日本での需要調査を担当し,ENOC社は再生可能エネルギー・水素源となる水の可用性,サイト選定,適用法規などの現地に関する諸調査を担当します。事業性評価を行った後,実証プラント建設および運用を目指します。
2023年のCOP28(第28回国連気候変動枠組条約締結国会議)開催国であるUAEは,2030年までのCO₂排出量を31%削減する新たな目標を発表しており,その実現にむけて豊富な土地と日射量を活かし,多くの再生可能エネルギーを利用した計画を推進しています。IHIとENOCは,日本・UAEのCO₂削減目標実現のため,両社にてアンモニアバリューチェーンの早期構築に努めます。
(*1):Emirates National Oil Company
Emirates National Oil Company(ENOC)グループは国内外の石油・ガスバリューチェーンに幅広く事業展開するUAEドバイ首長国公社です。ENOCは石油ターミナルの所有・運営,ガソリン小売,航空燃料の供給,事業者向け石化製品の供給など探査・製造・供給に至る幅広い分野でアセットを所有・運営しています。また医薬・食料品事業など石油・ガス以外にも多角化をすすめており,60の事業分野に進出,全世界で11,000人の社員を有しています。
ENOC Web Site: www.enoc.com