「DX銘柄2023」に選定
IHIは,このたび,経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「DX銘柄(※1)2023」に選定されました。IHIの選定は2年連続となります。
IHIは,コロナ禍による業績悪化からの早期回復を目指し,その目標と達成に向けた道筋を示した「プロジェクトChange」のもと,さまざまな「変革」を推進してきました。この中で掲げる「ライフサイクルビジネス拡大」や「収益基盤のさらなる強化」において,DXをその変革の中心に位置付け,デジタルを活用したビジネスモデル変革を進めました。「プロジェクトChange」は2022年度を最終年度として終了し,新中期経営計画「グループ経営方針2023」に基づき,新たな目標を設定し,施策を推進しています。
今回のIHIの「DX銘柄2023」の選定は,昨年度までの「プロジェクトChange」における取組の内,特にDXに係る企業姿勢と取り組みが評価されたものです。
同銘柄の選定において評価された主な取り組みは,以下のとおりです。
- ライフサイクルビジネス(LCB)拡大に向けたカスタマーサクセスの実現と業務プロセス改革
IHIグループは全事業領域において,お客さまへの製品の納入~利用~更新までのライフサイクル全般でお客さまへの提供価値(カスタマーサクセスの実現)による収益拡大を目指す「LCBの拡大」を掲げ,その実現に必要なビジネスモデル変革,業務プロセス変革および重点分野へのリソースの集中を目的にDXを推進しています。
まず「モノ売り」から「コト売り」への転換によるライフサイクルビジネスの拡大に向け,お客さまのデータを収集・分析してお客さまにより高い価値を提供する「カスタマーサクセス」の実現を図っています。
またIHIグループは幅広い製品を手掛けているため,事業を「インデント(橋梁や発電プラント等の大型インフラを扱う事業)」「準量産(産業機械等の製品のカスタマイズとエンジニアリングを含めた量産品を扱う事業)」「量産(ジェットエンジン等の量産品を扱う事業)」の3つに分類し,各々の特性に合わせた業務プロセス改革を進めています。
- CO₂排出/削減量を管理・環境価値化するデジタルプラットフォーム
IoT プラットフォーム(ILIPS(※2))で収集した個々の製品・設備の稼働データ・消費燃料 / 電力を基に CO₂排出量や削減量を管理,環境価値を算出し,CO₂削減量のトークン化(カーボンクレジット)を実現し,ブロックチェーンを活用して金融市場で流通させる枠組みを構築しました。
今後,GXリーグ(※3)等を通じて他社と協働でルールメイキングを進め,社会全体で大きなCO₂削減効果を発揮できる規模感,サプライチェーン全体を網羅する仕組み作りへと発展させ,将来的に,グリーンアンモニア,メタネーション等のカーボンフリー燃料や,CO₂吸収に寄与する森林等の維持・拡大など様々な環境価値管理へ展開を進めていきます。
参考: ブロックチェーン技術を活用した新たな環境価値流通プラットフォームの実現に向けた共同事業プロジェクトを開始 ~世界的な需要が著しいCO₂削減量などの環境価値取引を実現~
- 「DX指針三箇条」の制定,DXの推進を担うDXリーダーの選任とDX関連人財の育成
IHIグループでは,DXの推進力となり,データ重視の企業文化の醸成と人財育成に積極的に取組んでいます。
2022年度にはIHIグループ全体として「組織間の壁を超えて」改革を進める意識の向上と企業文化の醸成を目的に,DX 指針三箇条(「社会課題とお客さま価値を意識する」,「ソト/ヨコ/タテとつながり,対話する」,「データに基づき,改革を貫徹する」)を制定し,全従業員に対して,その徹底を図っています。
また,IHIグループの主要部門で改革マインドを持つミドル層からDXリーダーを各SBU×各業務プロセスの個々のサイロ(部門)に1名以上任命・配置(2022年度184名)。DXリーダーのDXリテラシー・スキルの向上を図りつつ,全社CDOとDXリーダーとの対話会やコミュニティ活動を通じてネットワークを構築する事で,複数部門に渡るDX推進や新事業の取り組みなどを支援しています。
さらにDX関連人財育成についてはDXを担う人財の確保に向け,将来の幹部となりうる者へのDX研修に加え,データ分析を実務に適用するための高度なスキルを短期間で習得する「データアナリスト研修」を2018年度から実施し,2023年度までに1,000名の育成を計画している他,AIに関するアルゴリズム開発,新しい技術の適用研究を実施するデータサイエンティスト向けの教育カリキュラムを構築・試行しています。
IHIは今後も,デジタル技術の積極的な活用を通じて,DXを推進し,技術をもって社会の発展に貢献するとともに,自然と技術が調和する世界を目指して事業を展開していきます。
(※1) DX銘柄:東京証券取引所に上場している企業の中から,企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し,優れたデジタル活用の実績が表れている企業を,業種ごとに最大1~2社ずつ選定して紹介するもの。
経済産業省は,
「DX銘柄に選定された企業は,単に優れた情報システムの導入,データの利活用をするにとどまらず,デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業です。」
「これら企業のさらなる活躍を期待するとともに,こうした優れた取組が他の企業におけるDXの取組の参考となることを期待します。」
としている。
(※2)ILIPS(アイリップス/IHI group Lifecycle Partner System):IHIグループ製品・サービスの高度化を目的に,装置や設備のデータをクラウドサーバに集積し,ライフサイクルビジネスに活用するIHIグループ製品共通のプラットフォーム。
(※3) GXリーグ: GX(グリーントランスフォーメーション:経済社会システム全体の変革)に積極的に取り組む「企業群」が,官・学・金でGXに向けた挑戦を行うプレイヤーと共に,2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みを通じて,一体として経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場。
【ご参考】
① 経済産業省ニュースリリース
URL :https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230531001/20230531001.html
東京証券取引所ニュースリリース
URL:https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/1120/20230531-01.html
② 「DX銘柄2023」ロゴマーク