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プレスリリース
資源・エネルギー・環境 研究開発

IHIとGE Vernova,2030年までに開発するアンモニア専焼ガスタービン燃焼システム技術ロードマップの次の段階へ移行

  • IHI とGE Vernovaは,共同開発契約(JDA)の下で,GE Vernovaのガスタービン6F.03型,7F型および9F型でアンモニアを燃料として使用する新しい燃焼器の共同開発に取り組みます。
  • 燃焼試験は国内にあるIHIの施設で行われる予定です。
  • 今回のJDAは両社が以前に締結した覚書に続くものです。

 水素から合成されるアンモニアは,ガスタービンで燃焼させた際に二酸化炭素を排出しないため,エネルギー転換を支援するものとして,火力発電所や調整電源といった電力部門における二酸化炭素排出量の削減に重要な役割を果たすことが期待されています。株式会社IHI(以下,IHI)とGE Vernova ガスパワービジネス(以下,GE Vernova)は本日,GE Vernovaの6F.03型,7F型および9F型ガスタービン向けに,発電用燃料として有望な選択肢であるアンモニアを活用した新しいガスタービン燃焼器の開発において開発技術とエンジニアリングを次のフェーズへと進めるための共同開発契約 (JDA) に署名したことを発表しました。

画像:GEV製 9F.04ガスタービン ー 提供:GE Vernova
画像:GEV製 9F.04ガスタービン ー 提供:GE Vernova

 今回の協業合意は,両社間の従前の覚書に続くものであり,IHIの100%液体アンモニアを使用した2MWガスタービン発電技術開発実績を踏まえたものです。このかつてない技術開発プロジェクトにより,アンモニアの燃焼中に発生する亜酸化窒素(N2O)を含む温室効果ガスを 99%以上削減することに成功しています。

 GE Vernovaの水素バリューチェーン担当ディレクターのジェフリー・ゴールドミアは次のように述べています。「アンモニアバリューチェーンの経済性に関する2年間の共同検討を経て,私たちは今,IHIとの協力に新たな章を刻みました。アンモニアロードマップで合意された既設発電所への投資を活かす脱炭素化の道のりに向けて,開発技術とエンジニアリングを次のフェーズへと進めることができて期待に胸をはずませています。ガスタービン燃焼システムのエンジニアリングと製造,および周辺機器システムに関するGE Vernovaの専門知識と,アンモニア燃焼技術に関するIHIのノウハウを活用して,今後2年間で燃焼技術の検証を行い,2030年の実用化に向けて技術開発とその成果獲得に注力していきます。」

 今回のエンジニアリング・フェーズでは,燃焼技術のコンセプトが発電所における主要な運用要件を満たすこと,また発電所全体への影響について評価していきます。また,IHIとGE Vernovaは排出ガス規制を遵守した100%アンモニア燃焼を実現するために2段燃焼法の燃焼器を開発する予定です。なお,新しい燃焼器設計を成熟させるための燃焼試験は,日本国内のIHIの施設で行われます。

 さらに,新しい燃焼器は,新設にくわえて既存のガスタービンユーザーに対しても既設ガスタービン発電所を活用した新たな脱炭素化手段を提供すると期待されています。ガスタービン本体を交換することなく天然ガス燃焼器から新しいアンモニア燃焼器への変更と燃料システムや周辺機器システムへの最小限の変更だけで,従来燃料で運用している発電所を脱炭素燃料で運用できるようにアップグレードできます。

 また,2023年10月にセムコープインダストリー(以下、セムコープ),IHI,GE Vernovaの間で締結された3社MOUで合意されたとおり,GE Vernova製9F型ガスタービンを使用するセムコープのサクラ発電所(シンガポール・ジュロン島サクラ地区)でのアンモニアへの燃料転換改造の可能性が検討される予定です。このプロジェクトは,セムコープによる既存発電所を活用した形での低炭素発電に加え,シンガポールにおける燃料多様化と電力部門での脱炭素化への取り組みを支援するものです。また,シンガポールにおけるアンモニアバリューチェーン開発に対する市場の信頼を高めることが期待されます。

 IHI事業開発統括本部副本部長兼アンモニアバリューチェーンプロジェクト部長の山本建介は次のように述べています。「このGE Vernovaとの共同開発契約はアンモニアバリューチェーン構築による持続可能な未来に向けた重要なマイルストーンです。水素キャリアとしてのアンモニアは日本のような海外からのエネルギー輸入国において,もっとも現実的な脱炭素の手段です。アンモニアは体積当たりの水素含有量が多く,また既に取り扱いインフラは世界中に構築されています。さらにIHIが開発したアンモニアの燃焼技術は,アンモニアを脱炭素燃料として直接利用することを可能にします。このGE Vernovaとの共同開発はグローバルな発電事業者規模の脱炭素化手段であり, 我々がネットゼロへ向けたグローバルトランジションを加速するために進めるアンモニアバリューチェーン開発の中の一つのミッションです。」

Notes to editors
 アンモニアは今日,肥料,化学原料等の産業用途で利用されています。アンモニアは水素のキャリアとして効率的かつ低コストの輸送と貯蔵を可能にします。加えて,アンモニアには炭素が含まれていないため,燃焼してもCO2を排出しない脱炭素燃料として発電に直接利用することができ,電力部門のCO2排出削減への貢献が期待されています。


IHIについて
 IHIは日本を代表する総合重工業グループです。1853年創設の日本初の近代的造船所を起源とし,造船技術をもとに陸上機械,橋梁,プラント,航空エンジンなどに事業を拡大。近年は,資源・エネルギー,社会インフラ,産業機械,航空・宇宙の4つの事業分野を中心に幅広いソリューションを提供しています。発電分野においては,火力発電所向けにボイラやガスタービンなどを製造しており,現在は,脱炭素社会の実現に向けて,アンモニアの燃焼技術の開発や,カーボンフリーな燃料アンモニアサプライチェーン構築を推進しています。IHIについての詳細はウェブサイトをご覧ください。https://www.ihi.co.jp/


GE Vernovaについて
 GE Vernovaは世界的なエネルギー企業です。電力,風力,電化部門で構成され,先端研究,コンサルティング・サービス,および金融サービスのアクセラレーター ビジネスによってサポートされています。また,GE Vernovaは130 年以上にわたって世界の課題に取り組んできた経験に基づき,世界の電化を継続すると同時に脱炭素化に取り組むことで,エネルギー転換をリードする独自の立場にあります。さらに,GE Vernovaはお客様が経済を活性化し,健康,安全,セキュリティに不可欠な電力を供給できるようお手伝いすることで,クオリティ・オブ・ライフの向上に貢献します。GE Vernovaは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置き,世界100か国以上に8万人の従業員を擁しています。GE Vernova ガスパワーのビジネスは,天然ガスを利用した高度で効率的な技術とサービス,および低炭素の未来の電化を支援することを目的とした脱炭素ソリューションを提供しています。

 GE Vernovaのミッションはその名前に刻まれています。長い伝統を表す「GE」を冠することで品質の高さと発明の才を表し,「Ver」または「Verde」は地球の緑と青にあふれたエコシステムを表しています。「Nova」はラテン語の「novus(“新しい”という意味)」から引用し,低炭素エネルギーがもたらす新しい時代を表しています。我が社のパーパスである「The Energy to Change the World」に支えられ,GE Vernovaはより安価で信頼性が高く,持続可能で安全なエネルギーの未来の実現に貢献します。

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