F-35戦闘機搭載エンジン部品を米国Pratt&Whitney社向けに初出荷
~防衛事業におけるグローバル展開を強化~
IHIは,航空自衛隊でも運用されている最新鋭戦闘機「F-35」に搭載される「F135エンジン」の構成部品の一つである第1段ファン一体型ローター(*)(以下「本部品」)のグローバル向け量産初品を,相馬工場(福島県相馬市)で製造し,米国Pratt&Whitney社(プラットアンドホイットニー,以下「P&W」)に向けて4月26日に出荷しました。
F135エンジンは,世界最新の再熱式ターボファンエンジンの一つであり,優れた先端技術が反映され,世界最大級の推力を発揮できる戦闘機用エンジンです。このエンジンは,F-35プログラムとして世界18か国が参画しています。
IHIは,2017年から2022年にかけて,航空自衛隊向けに同エンジンの新製エンジン納入および部品製造を行ってきた経験・知見をもとに,新たに,グローバル向けエンジン部品製造事業へ参画するため,2022年にP&Wと契約を締結し,製造準備を進めてまいりました。
本部品は,最先端の接合技術が使用される高付加価値部品で,この製造能力を有する企業はP&Wのほかに世界で当社だけであることから,今回の部品供給が実現しました。本年4月には,P&Wから製造認可を取得し,併せて量産初品の出荷を達成しました。
このたびのグローバル向け出荷を踏まえて,本部品において今後全世界の一定シェアを担っていくために必要な生産能力増強の準備を進めており,今回の出荷は今後の生産増加に向けた重要なマイルストーンです。また,IHIは,本部品製造事業に加えて,F135 エンジンのグローバル整備拠点(リージョナル・デポ)としての整備事業を,2023年6月に瑞穂工場(東京都西多摩郡瑞穂町)で開始しており,今回のエンジン部品輸出事業は,整備事業に続く新たなグローバル事業となります。
IHIでは,引き続き,パートナーである米国P&Wと協力して高品質な製品を提供し,全世界の同機ユーザー国の運用を支援するとともに,防衛事業における競争力を強化し,グローバル展開を進めてまいります。
*第一段ファン一体型ローター(Stage1 Integrally Bladed Rotor):
ローターは円盤状の部品(ディスク)の円周にブレードを取り付ける構造が一般的だが,本部品は,ブレードとディスク部を接合により一体化しており,従来品よりも精度向上および軽量化されている。