我が国初の航空向け高バイパス比ターボファンエンジン「FJR710」が航空宇宙技術遺産に認定
IHIが開発に携わった日本初の航空向け高バイパス比ターボファンエンジン「FJR710」が、一般社団法人日本航空宇宙学会より「航空宇宙技術遺産」に認定されました。航空宇宙技術遺産は、日本の航空宇宙技術発展の歴史を形づくる画期的な製品や技術を顕彰する制度です。
FJR710エンジンは1971年に通商産業省 工業技術院(当時)の大型プロジェクトの下で、工業技術院のほか、科学技術庁 航空宇宙技術研究所(当時)および民間3社(石川島播磨重工(当時)、川崎重工、三菱重工)が開発に携わりました。IHIはプロジェクトの中で製作された数台のうちのエンジン1台の贈与を受け、「そらの未来館」(東京都昭島市、IHIの航空宇宙事業に関する展示館)に保管しています。認定証贈呈式は、2025年4月4日に東京大学本郷キャンパスの安田講堂(東京都文京区)にて開催され、科学技術庁 航空宇宙技術研究所の後継組織である宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに、展示・保管する団体として認定証を受理しました。
IHIは、この貴重な遺産を未来にわたって展示・保管し、歴史的意義を広く社会に共有しその価値を次世代に伝えることで、未来の技術革新につなげてまいります。

〈認定理由〉
FJR710エンジンは、1971年に通商産業省工業技術院の大型プロジェクト「航空機用ジェットエンジンの研究開発」の下で開発された、わが国初の高バイパス比ターボファンエンジンである。イギリス国立ガスタービン研究所 擬似高度エンジン試験設備を使用した高空性能試験において、極めて性能が良いことが確認され、かつ、試験中のエンジン不適合が皆無であった。このことにより、国際的にも高性能であることが示され、この成果が、以後の日英でのRJ500エンジン共同開発、更には日米英独伊の国際共同によるV2500の開発などのエンジン開発に引き継がれている。
また、FJR710の発展形であるFJR710/600Sは航空宇宙技術研究所(現:JAXA)のSTOL実験機「飛鳥」に搭載され、100回近くの飛行試験に供された。
以上により、日本の民間ジェットエンジン技術および事業に大きく寄与したものであるとして、航空宇宙技術遺産として認定する。