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大いなる可能性を秘めた
超小型成層圏観測プラットフォームとは?(前編)

IHIは、超小型成層圏観測プラットフォームの開発に注力しています。
この技術は、気象観測をはじめ、災害時の通信、上空からの映像撮影など、さまざまな用途への活用が期待されています。
将来の社長が、この技術の可能性について、明星電気株式会社気象防災事業部ラジオゾンデ担当の清水事業開発グループ長と宇宙防衛事業部の澤村事業開発グループ長にお話を伺いました。

清水さん 澤村さん
将来の社長、お待ちしておりました! 

将来の社長
今日は、我が社の技術が活躍する将来の話が聞けるっていうから、将来の社長として、楽しみにして来たよ。

清水さん
はい。今日は、「超小型成層圏観測プラットフォーム」の大きな可能性について説明します。
こちらの写真をご覧ください。


将来の社長
これ、気球? この箱の中に人が乗るの?

清水さん
人は乗りません。観測装置や機械を載せるゴム気球です。

将来の社長
ゴムなの?

清水さん
そうです。「ラジオゾンデ」という気象観測システムに使われているゴム気球を応用して、開発しました。

将来の社長
ラジオゾンデって、なに?

清水さん
ラジオゾンデというのは、ゴム製の気球に気象観測装置を取り付けて大気中を上昇させながら、高度ごとの気圧、気温、湿度のデータを観測するためのものです。
1921年にフランスで発明され、日本では1938年にIHIのグループ会社である明星電気が陸軍から依頼されてつくったのが最初です。

将来の社長
へぇ~、100年以上前からある技術なんだね。今でも使ってるの?

清水さん
はい。現在も世界中で利用されており、世界気象機関(WMO)は、世界の天気図を作成するため、各国に1日2回ラジオゾンデを放球してデータを収集するよう依頼しています。
日本では、毎日9時と21時に全国の16ヶ所からラジオゾンデが飛ばされています。

将来の社長
え~っ、16ヶ所から毎日2回!?
これまで一度も見たことないし、知らなかったよ。
気球だから、風で遠くに流されるよね?
データはどうやって取ってるの?

澤村さん
ラジオゾンデは造語で、ラジオはradioで無線。
ゾンデはフランス語sondeで探査を意味します。
あの箱の中に電波通信機が入っており、無線でデータを送っているんですよ。
それで、即時に上空の気象情報が手に入ります。

将来の社長
へぇ~。考えてみたら、遠くで起きていることがすぐに分かるって、すごいことだね。

清水さん
そうですね。昔から人間は、「遠くの人へ早く情報を伝えたい」と願っていたんですね。
その手段として、狼煙(のろし)や、太鼓の音が使われていました。
その後、伝書鳩や、双眼鏡を使った手旗信号、手紙を届ける飛脚など、さまざまな通信方法が生まれました。
気象情報の技術の大元には、人間の早く伝えたいという思いが詰まっていて、ロマンを感じます。

将来の社長
おもしろいこと言うね。そういう発想のできる技術者は好きだよ。
ところで、このゴム気球は、他の会社も作っているの?

澤村さん
以前は国内では3社がつくっていたのですが、今は明星電気だけが製造しています。

将来の社長
ほぉ!うちは、国内唯一のラジオゾンデ製造メーカーなんだね。
そもそも、なぜラジオゾンデに着目したの?

清水さん
どんどん上昇するだけだったゴム気球に、高さをコントロールできる技術が加わったら、小型衛星のような働きができるのではないか。しかも、安価に運用できると考えたのです。

将来の社長
ゴム気球に衛星の代わりをさせるなんて、おもしろい発想だね。

清水さん
それを可能にしたのは、IHIが開発した飛行高度維持制御装置です。
これまでのゴム気球は、放球すると上昇して約2時間で破裂していました。
それは、周囲の気圧が下がることでゴム気球が膨張し続けて、最後にはゴムが伸びきれなくなるからです。

将来の社長
どのくらいまでゴムは伸びるの?

清水さん
ラジオゾンデのゴム気球は地上で直径が約2mですが、上空では約10mに達することもあります。

将来の社長
5倍も大きくなるの!?
キミたち当たり前のように語ってるけれど、ボクが5倍になったら、身長7mだよ。

清水さん
ほぉ!そうなったら、社長の服はすべて特注ですね。

将来の社長
布団も、家具も、家そのものも特注だよ。
って、何の話をしてたんだっけ?

清水さん
周りの気圧が下がると気球が膨張することです。
そこで我々は、気球の上昇を止められたら、つまり、浮力をコントロールできれば、膨張もコントロールできると考えました。

澤村さん
この飛行高度維持装置のおかげで、1日半~2日間の飛行が可能になりました。

将来の社長
すごいね!これまでは約2時間の飛行だったよね?
それが20倍以上、長くなると何が変わるの? 

清水さん
いろんな用途が考えられます。それについては...

将来の社長
まさか、「次回」って言わないよね?

澤村さん
正解です。次回です!

将来の社長
わかったよ。早く次回に行こう!

(中編へつづく)

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